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スローな筋トレのほうが筋肉は発達する!はどこまで本当か?

 

 

スロートレーニングで筋肉が発達する!」みたいな話があります。1回の動作で3〜10秒ぐらいかけてダンベルを上げ下げしたほうが筋肉が増える!といった話ですな。

 

 

 

では、この説は正しいのかってことで、「スローな筋トレはどこまで意味があるか?」を調べた新たなデータ(R)が出てて参考になりました。

 

これは13人の若い男性を対象にしたテストで、

 

  1. 早いスクワット=1秒でしゃがんで、1秒で立ち上がる

  2. 遅いスクワット=1秒でしゃがんで、3秒で立ち上がる

 

って2パターンの筋トレの効果を比べてます。トレーニングは週に2回ずつで、8週間後に太ももの最大筋力と筋肉量がどう変わったかをチェックしたそうな(超音波を使って測定)。筋トレのテンポはメトロノームで計測して、1~4週目には8~10RMで3セット、5~8週目には4セットを行ったとのこと。

 

 

でもって、これに加えて各自の「筋トレ時の辛さ」を10点満点で評価してもらったところ、こんな結果になりました。

 

  • 最終的な筋トレのボリュームは、どちらのグループにも違いがなかった

 

  • 筋トレの辛さについては、遅い筋トレのほうがわずかながら数値が高かった(7.98 vs 8.59)

 

  • 太ももの筋肉量は、早い筋トレ(+0.24cm、+3.6%)と遅い筋トレ(+0.20cm、+3.1%)のどちらも同じように増えていた。その他のエリアも、筋肉の増え方に差はなかった

 

  • 最大筋力の変化にも、グループ間の変化はなかった

 

ということで、全体的に見れば「筋トレが早くても遅くても違いはなし!」って感じっすね。というか、遅い筋トレのほうが主観的な辛さは増していて、その意味ではスロートレーニングの方がやや不利かもしれません。

 

 

なんでスローのほうが辛く感じるかは不明ですが、著者たちは「遅い筋トレの方が作業時間が長いからでは?」とシンプルな推測をしておられます。確かに、普通に考えれば嫌な時間が早く過ぎた方が、最終的な辛さは減るでしょうからね。

 

 

もっとも、これで「スロートレーニングは無意味!」と決まったわけではなく、たとえば2016年の研究(R)なんかでは、

 

  • 4秒の筋トレは1秒の筋トレよりも上腕二頭筋の筋肉量を増やした!

 

って報告も出てたりします。また別の実験(R)でも、やはり「遅い筋トレの方が上腕二頭筋が増えた」ことを確認してまして、もしかしたら筋トレのテンポは異なる繊維に影響を与えるのかな〜って気もしますが、そのあたりはまだよくわからんですな。

 

 

 ちなみに、この問題については、現時点では2015年のメタ分析(R)がもっとも頼りになりまして、

 

  • 筋トレのテンポを0.5~8秒のあいだで変えても、筋肉の増え方はほとんど変わらない
  • さらに、筋トレのテンポが1回10秒を超えると、短いテンポよりも筋肉が増えにくくなる

 

みたいな結論が出てたりします。ただしこれとて決定的なものではなくて、研究間でトレーニングの種類、研究期間、評価された筋肉などが大きく違ってて、いまんとこまとまった知見を導き出すのは超難しいんですよね。

 

 

ってことで、いまんとこの印象としましては、

 

  • もしかしたらスロートレーニングに意味はあるかもだけど、現時点ではそこまでこだわる意義は低そう(微妙な違いしか生まないみたいなんで)

 

  • スローな筋トレはケガの予防にはいいかもしれないけど、筋トレの辛さを増す可能性は高そう

 

  • スロートレーニングをするにしても、10秒を超すようなスーパースロー筋トレはやめておいた方が良さそう

 

って感じがしております。私はいままでどおり普通に筋トレを続けるつもりっすね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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