アスリートですら座り過ぎの人は体脂肪が多めになっちゃうかもだぞ!みたいな観察研究の話
「不老長寿メソッド」では「運動の前にNEATを増やそうぜ!」みたいな話に結構なページを割いております。簡単に言えば、意図的なエクササイズじゃなくて「階段を上ぼる」とか「通勤でダッシュする」とか、普段の暮らしでもっと体を動かそうぜ!ってことっすね。ちょっとだけ激しい運動をするなら、日常のゆるい活動量を増やす方が言いわけっすね。
で、新しい試験(R)もNEATに関する話で、「アスリートですら座り過ぎの人は太る」なんて結果が出ておりました。
これは女性アスリート65名と男性アスリート70名を対象にしたテストで、29.6%が国際レベル、68.1%が全国レベルの選手だったそうな。スポーツの内容は、体操、陸上、空手、ボクシング、ラグビー、テニス、バレーボールなど、多岐にわたるジャンルから集められております。
研究チームは、全員に対していろんな質問と検査を重ねまして、
- 全員の体脂肪や筋肉量
- いつもトレーニングに費やしている時間
- いつもスマホをどれぐらい使ってるか
- 体を動かしてない時間はどれぐらいあるか
と言ったポイントを調べまくったうえで、それぞれがどんな関係にあるかをチェック。結果、具体的にどんな傾向が見られたのかと言いますと、
- 週のトレーニング時間が増えるほど、総脂肪量率(r = -0.31; p < 0.001)が低い傾向があった
- しかし、毎週のトレーニングに費やした時間は、他の体組成測定値や摂食行動とは有意に関連していなかった(なので筋肉量とかは関係がなかった)
- 電子画面を見ている時間が長い人ほど、体脂肪が多い傾向があった。なかでもスマホを使う量が多い人ほど体脂肪率が高かった
- 椅子に座ってる時間が長い人ほど腹部脂肪が多かった
ということで、非常に直感的にもわかりやすい相関が出てますね。いかに激しいトレーニングを積んでいるアスリートでも、座りっぱなしの時間が長かったり、スマホばかり見ていたら体型は悪い方向に向かっちゃうわけっすね。おそらく「自分は定期的にジムで走ってるから大丈夫!」のように思っている方も多いかとは思いますが、ゆめゆめ普段のNEATレベルを甘く見てはいけませんなぁ………。
ちなみに、当たり前ですが、これは各参加者の一瞬の状態を切り取ったスナップショットみたいなものなんで、あくまで因果関係はわからないところはご了承ください。要するに、スマホを良く見るアスリートの方が体脂肪率が高いことはわかったものの、果たしてスマホを見る時間を減らしたところで体脂肪が減るかどうかはよくわからないってことっすね。
ただ、ちょっと前にも書いたとおり、「日常的によく体を動かしている人ほど運動の脂肪燃焼メリットは大きくなる」って傾向は何度か確認されてるんで、座りっぱなしの時間が長い人ほど体型が悪くなってもおかしくはないかなー、とは思っております。
さらに余談ですが、「歩数と健康状態の関係」について調べた過去のデータ(R)を見てますと、
- 高齢女性の全死亡リスクは、1日あたりの歩数が4400歩を超えると、2700歩に比べて激しく減少する。さらに、そのまま1日あたり7500歩までは着実に減少し続ける
- 現在、座り仕事をしている場合(1日1000~3000歩レベル)は、1日5,000歩まで歩くだけでも死亡リスクに大きな違いが生まれ、1日7,000~9,000歩まで上げれば、座り仕事の悪影響を完全に排除できる(かもしれない)
ってな傾向も出てたりします。普段の座りっぱなしが気になる方は、ここらへんの数値を参考に、歩数を稼いでみてくださいませー。