今週末の小ネタ:年収と心肺機能の関係、睡眠不足でプロテインの効果が消える? 肥満の人に聞く脂肪燃焼サプリメントは存在する?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
年収が高い人は心肺機能も高い
「年収が高い人は心肺機能も高い!」なんてデータ(R)が出ておりました。心肺機能といえば長寿につながる最大要素のひとつですから、気になっちゃうとこですね。
これは9,406人の日本人にWebアンケートを行った調査で、
- いつもどれぐらい運動しているのか?
- 職業や雇用形態はどのようなものか?
- 年収はどれぐらいあるのか?
ってあたりを質問。すべてのデータをみんなの心肺機能(VO2max)と比較したんだそうな。
すると、分析の結果いくつかの偏りがわかりまして、
- 学歴がある人ほど、心肺機能が高い傾向があった
- パートタイム従業員よりも、フルタイム従業員や雇用者のほうが心肺機能が高かった
- 年収が高い人ほど運動習慣があり、心肺機能も高い傾向があった
だったそうです。学歴や年収が高い人ほど運動習慣があり心肺機能も高いのだ、と。
まー、これについては「運動するから年収が高くなるのか、それとも年収が高い人ほど運動するのか」ってのはわからないわけですが、このデータでは「運動ができない理由」として「金がない」と「時間がない」の2つが上位を占めてまして、やっぱ年収が運動を妨げる要因になってるのかなーって気はします。
なかなか切ない話ですけど、金がなくてもできるのが運動の良いとこなんで、気をつけたいとこっすね。
プロテインは食欲が減る!ただし、よく寝ている限りは……みたいな話
プロテインで食欲は減る!ってのは有名な話ですけど、新たなテスト(R)では「睡眠不足だとプロテインが食欲を減らす効果が下がるのでは?」って話になっておりました。
これはランダム化クロスオーバー試験で、27名の女性が対象。みんなをラボに呼んで、以下の4パターンで過ごしてもらったそうな。
- いつもどおりの睡眠+高タンパク質の朝食をとる
- いつもどおりの睡眠+高炭水化物の朝食をとる
- 睡眠時間を33%削る+高タンパクの朝食をとる
- 睡眠時間を33%削る+高炭水化物の朝食をとる
朝食の内容は、高タンパク食が「タンパク質30%+炭水化物44%+脂肪26%」、高炭水化物食が「タンパク質8%+炭水化物65%+脂肪27%」ってバランスに設定。これを、それぞれ4日ほど続けた上で、空腹感や満腹感の変化をチェックしたらしい。
その結果がどうだったかと言いますと、
- 朝食の種類にかかわらず、睡眠時間を削ると満腹感が減少し、空腹感が増大した
- 高たんぱく質の朝食は、いつもどおりの睡眠をとった翌日に満腹感を増加させたが、睡眠を削った翌日には増加しなかった
- 高炭水化物の朝食後のほうが、高タンパク質の朝食後よりも食欲は大きかった
って感じだったそうです。睡眠不足のせいで高タンパク食の満腹効果が無効になるとまでは言わないものの、だいぶメリットを削る方向に働くみたいっすね。んー辛い。
もともと睡眠不足は脂肪を増やす方向に働くわけですが、タンパク質の効果も消しかねないってことで、いろいろ気をつけにゃいきませんなぁ……。
肥満の人に聞く脂肪燃焼サプリメントは存在するの?
「肥満の人に聞く脂肪燃焼サプリメントは存在するの?」ってのを調べたメタ分析(R)が出ておりました。どんな調査かと言いますと、
- 21件のランダム化対照試験を集めて、肥満の人における脂肪減少サプリメントの有効性を検討する
- 対象となった研究は、期間が8週間以上で、参加者のBMIが24.9以上
- 対象となったサプリは、EGCG、エフェドラ、フェンテルミン、モリンガ、パントテン酸、カチン、ガルシニアカンボジアなど
みたいになっております。わりと幅広いファットバーナーが選ばれてますね。
で、結果はこんな感じです。
- 熱発生系のサプリメントは、筋肉量の維持に役立つ可能性はあるが、一般的に効果がないという傾向が見られた
- 一部の研究では脂肪減少に対するプラスの効果が認められたが、すべての研究のデータを分析した結果、95%信頼区間が広く統計的な有意性が認められなかった
- 心血管系の健康については、サプリメントの摂取期間が20週間を超えると、コレステロールや中性脂肪にプラスの効果があるかもしれないが、HDLへの影響はない
ということで、全体的には痩せるためにサプリを使うのは無意味なんだろうなーって結果です。まぁ予想はしてたことですけど、なんか良いものはないもんですかねぇ。