他人とのコミュニケーションがうまくいかない!を解決する4つのポイント#2「価値観探し」
「他人とのコミュニケーションがうまくいかない!を解決する4つのポイント」の続きです。これは、「弁証法的行動療法」で有名なマシュ−・マッケイ先生が手がけた「対人問題ワークブック」のポイントをまとめております。
前回は自分のスキーマを特定する方法をチェックしたので、次のステップに進んでみましょう。
ポイント2. 行動しない
前回のポイント1であなたをコミュ障に追い込むスキーマがわかったら、続いては「スキーマが起動しそうな状況」に身を置いていきます。たとえば、私の場合ですと「偉そうな人と話すと卑屈になる」という情けないスキーマがあるんですが(幼少期に父親に怒鳴られまくったのが原因と思われる)、このような人とあえてコミュニケーションを取ってみるわけですね。
この他にも、「パートナーと話し合っているとき」や「職場の嫌な奴と話すとき」など、スキーマが起動する条件は人それぞれなんで、自分なりの発動条件に身を置いていただければ幸いです。あー、正直あんまやりたくないな(笑
で、その状況でスキーマが発動してきたら、続いて「行動しない」を徹底します。私の場合ですと、スキーマが「さぁ!卑屈になってこの場をやり過ごそうぜ!」とか「とりあえず笑っておこうぜ!」みたいにささやき始めたり、軽い嫌悪とか悲しみの感情がわいてきて困っちゃうんですけど、ただただなにも反応せずにほうっておくわけですね。
まぁこのポイントについては、かなり言うは易く行うは難しなところがありまして、スキーマはガンガンに私たちを操ろうとしてきますんで、わかっていても動悸は激しくなるし、筋肉は緊張するし、後頭部は重くなるしで、あらゆる手を使って「この不快から逃れたい!」と思わせてくるんですよね。
が、それでもひたすら行動には起こさず、ひたすらスキーマが起動するままに任せておくのが吉。これを繰り返すうちに認知のマルウェアによる古いパターンに従わずにすむようになりますんで(まぁ本当に難しいですが)。
ポイント3. 価値観を明確にする
で、スキーマに行動しない態度が身についたら、次はスキーマを別の行動に置き換える作業を目指します。ここで出てくるのが「最高の体調」でも1章を割いてご説明した「価値」であります。
マッケイ先生いわく、
人間関係について、あなたの価値観は何でしょうか? じっくりと時間をかけて、このことについて考えてみよう。
両親、パートナー、子供、友人、上司との関係において、あなたにとって最も重要なことは何だろうか?
あなたのスキーマは、「批判を避けることが最も重要だ」とささやきかけるかもしれないが、あなたのより深いところでは、正直さ、愛、または尊敬など、より肯定的で強力な価値観を持っている。
とのこと。誰もがスキーマよりもポジティブな価値観を持っているはずなので、あなた自身が、仕事、家族、友人、パートナー、子供などに対してどんな価値観を持ってるかを知るのが大事なんだ、と。たとえば、
- 私は誰にも良い友人でありたい! 私はつながりを維持することを大切にしている人間だ! なので、もし「相手から見捨てられた」とスキーマが言ってきても、引きこもるのではなく、逆につながりを増す手段を模索するのだ!
- 私は良い恋愛パートナーでありたい! なので、私が興奮したときも、相手に八つ当りうるのではなく、私がどのように間違っているかを考えてみるのだ!
みたいな感じです。スキーマという古いアプリの代わりに、新たに「善き価値観」というアプリをインストールするわけっすな。この価値観については個人でかなりの違いがありますんで、「自分の価値観ってなんなんだろう……」と思う方は「人生をより有意義にしまくる「生きがいチャート」で自分の価値観をガッツリ掘り下げよう」などをご参照ください。
ポイント4. 行動する
さて、「善き価値観」という新たなアプリを手に入れたら、次はその新たなアプリをインストールしましょう。その方法は非常にシンプルで、
- ことあるごとに価値観に従って行動してみる
って感じになります。実際に新たなアプリを使ってみないことには、脳が「こっちのほうが重要なんだな」と判断してくれないので、これしかないんですよね。
が、これもまた言うは易く行うは難しの典型で、価値観にもとづいて行動する作業ってのは、私たちに不快感をもたらす傾向があるんですよね。なんせ私たちはずっとスキーマに従って行動してきたんで、慣れ親しんだスキーマに従い続けるほうがラクなんですよ。
なので、もしスキーマに抵抗すると、その直後にすぐ否定的な思考が飛び出してきまして、脳内が大混乱におちいってしまうんですよ。
「また拒絶された!」とか「これは相手が絶対に悪い!」とか、そんな感じですな。
ただ、自分の感情はコントロールできないものの、幸いにも自分の反応だけはコントロールできますんで、どうにかしてスキーマに従って行動せず、価値観に従って行動し続けるしかないんすよね。そのためにマッケイ先生が推奨するのが「脱フュージョン」で、このブログでも過去に何度か取り上げてきた技法です。くわしくは、
あたりを参考にしていただければ幸いです。ざっくり言えば、思考や感情から自分を切り離すためのテクニックで、なにか難しい思考と感情に取りつかれても、いったんそこから離脱してネガティブな気持ちが過ぎ去るのを待つ技法の総称っすね。これは練習すればするほど簡単になりますんで、ぜひ日常的に取り入れていただければと(私もよくやってます)。
以下、雑感
ってことで、マシュ−・マッケイ先生によるコミュ障攻略のポイントを見てみました。いずれも先行研究で認められたナイスな手法ばかりでして、実践すればかなりの効果は得られるでしょう。
が、何度も書いたとおり、これは非常に大変な作業でして、最初のうちは「こんなの無理ゲーでしょ!」って感覚になるはずであります(私もなりました)。なにせ、私たちのスキーマってのは何十年もの積み重ねでできあがってますんで、これを読んだところですぐに自体改善するはずもないんすよね。
ただ、続ければ確実に改善は見込めますし、私のようなド級のコミュ障が現在ではどうにか社会生活を遅れているのも、ここらへんを地道に練習してきたおかげではあります。まぁいまでも知らない人だらけの会合に参加すると寝込んだりするんですが(笑