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今週半ばの小ネタ:食物繊維めちゃ脳に良い説、好きな音楽で性格がわかる、4分で幸福度が上がる3つのエクササイズ


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

食物繊維、脳機能にめちゃ大事説

食物繊維が大事なんてのはもう耳タコでしょうが、筑波大学などの先生方が「食物繊維は脳にも良いかもだぞ!」という研究(R)を新たに発表してくれていて良い感じありました。

 

 

これがどんな調査だったかと言いますと、

 

  1. 1985年から1999年の間に、 参加者たちに食事の摂取量を評価するアンケートに答えてもらう(この時点でみんな健康で、年齢は40歳から64歳)

  2. その後、1999年から2020年まで追跡調査を行い、認知症で介護が必要なったかどうかを調べる

  3. 合計3739人の成人のデータを、いつもから摂取している食物繊維の量によって4つのグループに分けて、食物繊維と認知症の発症リスクを調べる

 

みたいになります。もちろん参加者はすべて日本人でして、非常にありがたいですねー。

 

 

で、結論をざっくり抜き出すとこんな感じです。

 

  • 食物繊維を摂取している人ほど認知症が起きにくくなる

 

  • 水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類で比較した場合は、水溶性食物繊維の方が確実に重要っぽい

 

だったそうです。ご存じのとおり、不溶性食物繊維は、全粒粉や野菜にふくまれ、腸の健康に重要であることが知られている成分で、水溶性食物繊維は、豆類、リンゴ、柑橘類、ニンジンなどの食品にふくまれ、腸内の善玉菌のエサになってくれる成分であります。やっぱ腸内細菌を養うと脳にまで効いてくるのかなーって感じですね。

 

 

研究チームいわく、

 

 

(食物繊維が脳に良い)メカニズムは今のところ不明だが、腸と脳の間で起こる相互作用が関係しているのかもしれない。水溶性食物繊維が腸内細菌の組成を調節し、この組成が認知症の発症に関与する神経炎症に影響を与える可能性がある。

 

また、食物繊維が、体重、血圧、脂質、グルコースレベルなど、認知症の他の危険因子を減らす可能性もある。

 

とのこと。まだ明確な理由はわからないものの、脳と腸のつながりについては昔から言われていたことなので、「確かにありそうな話だなー」とか思うわけです。もうちょいイヌリンを摂取してみるか……。

  

 

 

好きな音楽で性格がわかるのでは?説

「性格によって好きな音楽って変わるよねー」って研究は定期的に行われていて、

 

 

みたいな話が過去にも出てたりします。定番の研究テーマなわけですね。

 

 

で、新しい研究(R)も「性格と音楽」の話で、6大陸の約100カ国に住む35万人からデータを集めて、みんなに自分の音楽の好みと性格を報告してもらい、両者の関係性をチェックしたんだそうな。いままでの類似研究のなかでは最大クラスですね。

 

 

その結論がどんなものだったかと言いますと、

 

  • 外向性が高い人は現代音楽を好み、明るく、前向きで、踊りやすい特徴を持つ音楽が好き
  • 誠実性が高い人は気取らない音楽を好み、攻撃的で反抗的なテーマを特徴とする激しい音楽は好まない
  • 協調性が高い人は、メローで気取らない音楽を好む
  • 神経症傾向が高い人は、より攻撃的なテーマを含む激しい音楽スタイルを好む
  • 開放性が高い人は、メローな音楽、現代的な音楽、激しい音楽、洗練された音楽など、さまざまなスタイルを好む。

 

だったそうです(外向性や誠実性の意味がわからない方は、「簡易版ビッグファイブテスト」をどうぞ)。全体的に納得感がある結果というか、「そんな感じになりそうだよなー」って内容になってるんじゃないでしょうか。ちなみに、この研究で採用された音楽の分類はこんな感じです。

 

  • メロー:ソフトロック、R&B、アダルトコンテンポラリーなど、ロマンチックでゆったりとした静かな音楽
  • 気取らない:カントリーのジャンルに典型的な、複雑でなく、リラックスでき、攻撃的でない音楽
  • 洗練された:クラシック、オペラ、アバンギャルド、伝統的なジャズなど、刺激的で複雑、かつダイナミックな音楽
  • 攻撃的: クラシックロック、パンク、ヘビーメタル、パワーポップなどのジャンルに特徴的な、ラウドでアグレッシブな音楽
  • 現代的:ラップ、エレクトロニカ、ラテン、ユーロポップなどに見られる、リズミカル、アップビート、エレクトロニックなどの属性を持つ音楽

 

私の場合は、完全に解放性と神経症傾向のミックスでして、攻撃的な音楽を中心にしつつ、メローな音楽も好んで聞いてる感じですね。

 

 

研究チームいわく、

 

音楽と性格の間に見られるパターンが、世界中で再現されていることに驚いた。人々は地理、言語、文化によって分断されているかもしれないが、世界のある地域の内向的な人が、他の地域の内向的な人と同じ音楽を好むとしたら、音楽が非常に強力な架け橋になり得ることを示唆する。音楽は、人々がお互いを理解し、共通点を見出すのに役立つ。

 

また、神経症傾向が強い人は、孤独を表現するために悲しい音楽を好むか、気分を変えるために明るい音楽を好むか、どちらかに分かれると思っていたが、実際には、平均してより攻撃的な音楽スタイルを好むようだ。これは、おそらく内なる怒りやフラストレーションを反映しているのだろう。

 

とのこと。うーん、わかるー。自分が攻撃的な音楽を好むのは神経症傾向のせいだったのか……。

 

 

 

たった4分で幸せになるエクササイズが3つあるぞ

たった4分で幸せになるエクササイズが3つあるよー」みたいな研究(R)が出ておりました。まずはそのエクササイズがどんなものだったかを紹介すると、

 

  1. 過去の人生で自分の幸せな瞬間をとらえた写真を選び、その写真にシンプルな説明を加える

  2. 昨日起きたポジティブな体験を書き出して、その体験に感謝する
  3. 昨日起きた最も印象的な体験を書き出して、明日にどんなポジティブな体験が起きそうかを書き出す

 

みたいになります。たとえば、ひとつめのエクササイズだと「友人と楽しく飲んでる写真」みたいなのを1枚選んで、「久々に会った親友も交えて騒いだ4年前の飲み会」みたいに数ワードで説明を加えていくわけですね。

 

 

これらのエクササイズの効果をどうやって検証したかと言いますと、

 

  1. 薬物乱用の経験がある(またはあった)500人以上を集める
  2. 全体に3つのエクササイズをやってもらう
  3. その前後で幸福度がどう変わるかを調べる

 

みたいになります。研究チームいわく、

 

アディクション研究者は、薬物使用の削減や排除に焦点を当てた従来の治療法から、生活の質を包括した治療プロトコルを提唱するようになってきている。しかし、薬物使用の治療に、ポジティブな体験を使った対策が取り入れられることはほとんどない。

 

これらの知見は、依存から回復するための難しさを、ポジティブな経験で相殺することの重要性を示している。依存からの回復は困難だが、その努力を持続させるためには、その過程でポジティブな経験を得ることが必要なのだ。

 

 ってことで、治療の現場にポジティブなメンタルを導入することの重要性を強調しておられました。いずれにせよ、どれも非常にシンプルなエクササイズなんで、試してみちゃいかがかと。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。