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イヌリンこそ最強の食物繊維なのでは?説

Fiber

 

 イヌリンは最強食物繊維か?

当ブログでは、よく「イヌリン」って食物繊維を取り上げております。イヌリンは水溶性食物繊維のひとつで、カロリーは1.5kcal/gぐらい。

 

 

腸内で細菌のエサになり、有用な物質を生むことがわかってまして、お腹の調子はもちろん「コレステロールにいいんじゃない?」とか「糖尿病にもいいかもよ?」とか言われてるですね。とにかく近年の研究例が豊富で、食物繊維のなかでも最強クラスのひとつかもなーとか思ってる次第。

 

 

で、近ごろパキスタンの研究者さんが、ここ十数年で出たイヌリンに関する精度の高いデータをまとめたレビュー論文(1)を出してくれてて、これがとてもいい感じです。参照してる論文の数は69件で、かなり幅広くイヌリンの効果をチェックしております。

 



 イヌリンの素敵な効果4選

さて、具体的にイヌリンの何がよさげかと言いますと…

 

 

1.食欲のコントロール効果

イヌリンが食欲のコントロールに効くよ!ってのは、これまでも何度取り上げた話。腸内細菌がイヌリンを発行させて短鎖脂肪酸を作り出し、こいつが脳に働きかけてるみたいなんですね。

 

 

で、さらに最近でもイヌリンには良い成績が出ていて、1日16mgのイヌリンを330mlの水で飲んだ被験者は、一週間でプラシーボ群にくらべて主観的な食欲が激減したとか。実際、その後で全体の食事量をチェックしたところ、イヌリンを飲んだグループは21%ほど摂取カロリーが減ってたそうな(453 ± 47 kcal VS.571 ± 39 kcal)。

 

 

このへんは過去のデータでも何度か確認されてて、イヌリンを摂った人はグレリン(食欲アップホルモン)が減り、ペプチドYY(満腹ホルモン)が増えてたりとか。この現象はすべての水溶性食物繊維に起きるわけではなくて、たとえばグアーガムなどは食欲系のホルモンに影響がないなんて報告もあったりします。なんでこういった違いがあるのかは不明。

 

 

2.プロバイオティクスのブースト効果

腸内細菌サプリ(プロバイオティクス)と食物繊維(プレバイオティクス)を一緒に摂るといいってのは有名な話で、シンバイオティクスなどと呼ばれております。最近ではシンバイオティクスなサプリも増えてまして、Now Foodsのプロバイオティクスは腸内細菌と一緒にフルクトオリゴ糖が入ってたりとか。

 

 

で、最近は「シンバイオティクスにはイヌリンがベストかも?」って風潮が出てきてまして、たとえば新生児を対象にした実験では、100億CFUのLGG菌+225mgのイヌリンを飲ませたところ、5年後に喘息を発症する確率が半分になったそうな。いっぽうで325mgのイヌリンだけを飲ませたグループには、同じ効果が得られなかったとのこと。これは凄いっすね。

 

 

もちろん、これで「イヌリンこそ最強!」とはならんのですけど、いまプロバイオティクスをお飲みの方は、シンバイオティクス効果を狙ってイヌリンを取り入れてみるのはアリかも。

 

 

3.糖尿病をやわらげる効果

そもそも食物繊維は糖のコントロールに有効なので、よく糖尿病の対策に使われているのは有名な話。ただしイヌリンは他の水溶性食物繊維にくらべて発酵性が高いもんで、糖尿病の進行を遅らせる効果が高くなる模様。要するに、ほかの食物繊維よりも腸内細菌のエサになりやすいってことですな。

 

 

実際、近年の研究でも、食品に入っている天然のイヌリンほど発酵性が高い傾向がありまして、1型糖尿病のマウスにも高い効果を示したとのこと。と同時に、イヌリンがファーミキューテスとバクテロイデス(いわゆる痩せ菌とデブ菌)のバランスを改善してくれたおかげで、免疫システムにも良い影響が出たんだとか。

 

 

ってヒトに対する試験はこれからの段階ですけど、かなーり期待が持てそうな内容ではありますね。

 

 

4.コレステロールを改善する効果

もちろん、たいていの食物繊維はコレステロールを低下させる機能があったりします。が、ここ数年はハイパフォーマンスイヌリン(HPイヌリン)と呼ばれる強化バージョンが出てて、こいつの効果がデカいんじゃない?と考えられてたりします(重合度が24で他のイヌリンよりも高い)。

 

 

もっともHPイヌリンの効果はまだラットを使ったものがメインなので、どれだけヒトでも同じ作用があるかは不明。ただしラット実験では軒並み中性脂肪とコレステロールを下げる効果が出てて、いい感じではあります。

 

 

 

まとめ

そんなわけで、あらためてイヌリンはいいなーとか思った次第です。ちなみに、イヌリンにはいろんな種類があって迷っちゃうとこなんですけど、現時点では、2017年の実験で良い成績を出した「イヌリン FOS」がベストチョイスではないかと考えております。 

 

 

ただ、私もそうだったんですけど、FODMAPに弱い人などは イヌリンでお腹にガスが起きるケースが多いのでご注意ください。あまりに不快感が出るようだったら、他を試したほうがいいかも。

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。