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無意識のうちに健康になれる「グーグル式健康法」4つのポイント

Google

 

グーグルは社員を健康にするために何をしているのか?

行動経済学と公衆衛生」って本を読んでたら、「グーグル社が社員の健康を高めるためにどう考えてるか?」みたいな話が出てておもしろかったです。なんでもグーグルは、イェール大学と組んで行動経済学の理論を使い、社員の健康レベルを高めるための実践をしてるらしい。

 

 

実際、グーグルは過去にもいろんな大学と組んで実験をしていて、「従業員がお菓子を食べないようにするには?」みたいなことをマジメに考えたりしてるんですな。偉いもんですなぁ。

 

 

で、本書によれば、いろいろと研究をしてみた結果、グーグルは「社員の行動を変える方法」として、「4つのP」ってガイドラインを作ったらしい。4Pというとマーケティング用語みたいですけど、あれとはまったくの別もの。具体的には、

 

  • プロセス(Process)
  • 説得力(Persuasion)
  • 可能性(Possibilities)
  • 個人(Person)

 

の4つのフレームワークで成り立っております。



 

 

1.プロセス

ちょっと状況をいじることで、従業員の行動を変化させよう!みたいなことです。前に取り上げた「ドリンクバーを遠ざけるだけで間食が減る」とか「皿を小さくすると不健康な食事が減る」とか、そういった話。行動経済学でいう「チョイス・アーキテクチャ」の発想っすね。

 

 

グーグルさんは、プロセスを効果的に使うためのポイントを3つにわけていて、

 

  • 順番を変える:ヒトは目立つものを選ぶ傾向があるので、健康的なメニューをリストのトップに持ってきたりといった調整を行う。

 

  • 標準だと思わせる:ヒトは難しい選択が嫌いなので、「標準」とか「平均的」なものを選びがち。そこで、より健康的なメニューを「定番」として提示する。

 

  • アクセスしやすくする:ヒトはよく目にするものや、近くにあるものを手に取りやすいので、サラダバーを入り口付近に置いてみるなどの工夫をする。

 

って分類をしております。行動経済学のポイントが手際よくまとまってていい感じですねー。

 

 

2.説得力

健康的な食事をよりクールに見せて、ジャンクフードなどの魅力を下げよう!みたいな考え方。こちらも3つのポイントにまとめられております。

 

  • 鮮明さ:健康的な食事の良さをアピールするために、直感と感情に訴えかけるようなメッセージを作ろう!という。ここで引き出す感情は「喜び」と「嫌悪」のどちらでもよくて、とにかくエモーションに響くように調整するのが大事。

 

  • 比較:ヒトはなんらかの比較を使うと、正しいメッセージを受け入れやすくなる。たとえば「ケーキ1個分のカロリーを減らすには2時間のランニングが必要です」みたいな感じ。このとき、メッセージの受け手が得られるものよりも、「失うもの」を強調したほうが行動につながりやすくなる。

 

  • タイミング:メッセージの受け手が、もっとも影響を受けやすい時間と場所を受け入れよう!という話です。当然ながら、「野菜を食べよう!」みたいなポスターは、町中で見るよりビュッフェの脇に貼ってあったほうが効果はデカいですからね。

 

ちなみに、グーグルが実践したのは「今日の野菜!」ってキャンペーンで、カラフルな写真に野菜の豆知識をあしらったポスターを作り、食堂のサラダバーに貼ったんだそうな。その効果は絶大で、野菜の消費量が64%もアップしたとか。凄いもんですねぇ。

 

 

3.可能性

従業員に対する「選択肢の提示のしかた」を変えよう!って発想です。どんなに野菜がいいとわかっていても、「これを食べろ!」と強制されたら嫌になっちゃうので、反発を起こさずに選択肢を出すのが大事なんだ、と。こちらもポイントは3つ。

 

  • バラエティ:ヒトはバラエティが豊富なものに脳を刺激され、欲望がブーストする傾向が強い。グーグルが行った実験だと、いろんな種類のケーキを毎日ならべたときよりも、1日1種類のケーキを日替わりで出したほうが、全体の消費量は減ったそうな。セットポイントの考え方と同じですね。

 

  • バンドリング:「ご一緒にポテトもいかがですか?」の健康バージョン。ヒトはつい一緒になったものも消費しがちなので、健康なものと健康なものを組み合わせたほうがよい。サラダを頼むと自動的にウーロン茶がついてくるとか。

 

  • 一人前:ヒトは「これが一人前です」と提示されたものは、そのまま受け入れて消費する傾向がある。なので、そもそも「一人前」の分量を前よりも減らせば、それだけ総摂取カロリーは減る。グーグルの実験では、マーブルチョコをよそうための一人前の容器を小さくしたところ、平均の摂取カロリーが58%も減ったとのこと。

 

 

4.個人

1から3までのステップを分でも、どうしても行動が変わらないケースはよくある話。これは、最終的には個人のモチベーションの問題に帰着するので、そのへんをサポートして上げようぜ!という考え方です。ポイントは3つ。

  

  • ゴール:ゴール設定と達成度の記録が大事だよ!って話です。記録の大事さは以前にもメタ分析を紹介してますし、これは間違いないっすね。

 

  • プレコミットメント:人間は疲労とかストレスにすぐ負けちゃう生き物だから、事前に自分と約束をしとこうね!という話。前もって行動を決めといたほうがうまくいきやすいのはメタ分析でも実証されてて、具体的には「目標達成にはやっぱり「if-thenプランニング」が最強説」などをどーぞ。

 

  • 習慣:習慣化すればオートマチックに健康的な暮らしができるんだから最高でしょ!って話です。といっても習慣化は難しい問題ですが、グーグルは「ゴールとプレコミットメントがしっかりしてればいずれ習慣になるから頑張れ!」って見解らしい。まあそうかも。

 

 

 まとめ

ってことで、グーグル先生による健康的な暮らしのTIPSでした。というか、行動経済学を実践に移すためのわかりやすいガイドラインとして有用なんで、健康目的じゃなくても普通に使えそうっすね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。