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ホラー映画を好きな人って知性的なんじゃないか?説

 

  

ホラー映画にはいろんなメリットがあるよなー」って研究をよく見かける昨今でございます(私がホラー映画好きだからかもしれませんが)。具体的には、

 

 



みたいなのがありまして、ぜひ脳トレのためにもホラー映画をご覧いただきたいわけですが、新しい研究(R)は「ホラー好きってどんな人なの?」ってあたりを深掘りしてくれておりました。

 

 

著者グループがどのポイントに興味を持ったかと言いますと、

 

  • なんで「恐怖」や「ショック」みたいにネガティブな感情を引き起こす体験をわざわざ楽しもうとするの?

 

ってポイントです。人間は基本的に不快なものを避けるように設計されているはずなのに、なんでホラーが娯楽として成立してるのか?ってことですね。著者いわく、

 

私は長い間、ホラーの逆説的な魅力に興味を持っていた。そこで今回の研究では、ホラーファンの性格プロファイルをよりよく理解するための調査を行った。怖い話に惹かれるのは、特定の種類の人なのだろうか?

 

ということで、ホラーを好むのは人類に一般的な現象なのか、それとも変人がホラーを好むだけなのかってところを調べてくれたわけですね。

 

 

これはオーフス大学などの調査でして、まず実験デザインをまとめておくと、

 

  1. 1,187人の成人をサンプルとして募集し、オンライン調査を実施する

  2. みんなにホラーが好きかどうかを尋ね、そのようなコンテンツにどれくらい簡単に怖がるか、それを消費する頻度はどれぐらいかなどを尋ねる

  3. みんなのビッグファイブを調べて、ホラー好きに特有の性格などを確認する

 

みたいになってます。そこでどんな結論が出たのかと言いますと、

 

  • 約81%の回答者は、年に数回以上ホラーメディアを消費すると回答し、55%がこのジャンルを楽しんでいると回答した
  • 基本的に、みんな自分にとって「信憑性が高い」と思われるホラージャンルを好む(超常現象を信じていればオカルトものを好むし、幽霊より人が怖いと思っていれば殺人鬼ものを好む)
  • ホラーをより楽しんでいる人は、その内容からより多くの喜び、信頼、期待、驚きを経験していた
  • ホラーが好きな人ほど、「知性/想像力」のスコアが高くな傾向があった(つまり、ホラー体験を求める人は「想像力の刺激」を求めている)

 

ということで、たいていの人はホラーを好むが、それは特に好奇心と知性レベルの高さと相関しているんじゃないか、と。こりゃあホラーファンにはうれしい結果ですね。

 

 

研究チームいわく、

 

ホラーは、安全で想像力に富んだ方法で恐ろしいシナリオを体験することで喜びを得る、一種の「良性マゾヒズム」である。特に、知的刺激を欲する人は、ホラーを利用することに喜びを感じる。脅威シナリオを媒介としたこのような経験は、感情的・認知的な遊び、行動調節や規範の探求のための広大なシミュレーション空間を開く。

 

とのこと。なんだか複雑な表現ですけど、要するにホラー映画ってのは斬新なアイデアで勝負する作品が多いし、恐怖を疑似体験させてくれることで実際の人生で起きるトラブルのシミュレーションとしても機能しているんじゃないの?みたいな話です。

 

 

確かに私がホラー好きなのも、「ヘレディタリー」とか「ハッピー・デス・デイ」とか「キャビン」とか「ゲットアウト」みたいなオモシロ発想の作品が定期的に出てくるからってのはありますね。そこまで予算を使わないでいいってのもあるし、そもそもが客を驚かしてナンボのジャンルなので、アイデア勝負の作品が増えやすいってのはありますね。

 

私たちは、恐怖と戯れることに喜びを見出すように仕組まれているようだ。ホラーはそれを可能にし、スラッシャー映画、スティーブンキングの小説、サバイバルホラーゲームに喜びを見出すことは、病的でも奇妙でもない。

 

ということで、脳トレのためにもホラー映画を見てはいかがかと思った次第です(まぁこの研究だとホラーが脳トレになるのかはわからないですけど)。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。