頭を悪くしないための最小の運動量&ベストな運動量はどれぐらいなんですかねーのメタ分析
https://yuchrszk.blogspot.com/2022/03/blog-post_18.html?m=0
脳の劣化をふせぐには運動が必須!という話は死ぬほど書いてますけども、新たに「高齢者の頭が良くなるためのベストな運動ラインはどれぐらいだ?」ってのを調べてくれたメタ分析(R)が出ておりました。誰でも50歳を超えるとガンガン脳機能が下がってくるもんですが、これを防ぐための運動ラインはどれぐらいかという話ですね。私もすでにアラフィフに足を踏み込んでますんで、これは気になるところっすね。
この研究がどんな内容だったかと言いますと、
- 1995年から2021年までに発表された44のRCTをピックアップ
- 50歳以上の参加者4,793人のデータをまとめて、どんな運動をどれぐらいやると脳に一番良いのか?を決める
- 参加者のうち、45%が軽度認知障害と診断され、54%がBMIが過体重または肥満だった
みたいになります。あくまで50オーバーを中心としたデータではありますが、若い人にも参考になりそうですね。
ちなみに、ややマニアックなポイントも押さえておくと、認知機能の評価にはすべての研究でミニメンタルステート検査(MMSE)が使われていて、それぞれの介入についてMET(異なるタイプの運動間のエネルギー消費量を比較できるツール)を計算し、1週間あたりのメッツ・分(MET-min)として割り出した。
というわけで、結果はこんな感じです。
- 約1200MET-minまで、運動は認知機能に対して大きなプラス効果を示した。この数値は、だいたいWHOが推奨する身体活動の上限値(中強度の活動で300分/週、精力的な活動で150分/週)に相当する。
- 約1200MET-minの運動量を超えた場合、1800MET-minまでは運動による認知機能の向上が続いたが、100MET-minあたりの認知機能向上の増分はかなり小さくなった(だいたい1200MET-minまでの半分以下になる)。1800MET-minを超える運動が認知機能を引き続き向上させるかどうかを判断するには、データが不十分でよくわからない。
- 脳を改善するために必要な最小限の運動量は724MET-minと推定された。バイアスリスクが高い研究を除外した結果、認知機能の改善に関連する最小運動量は1075MET-minだった。
ってことで、基本的にはWHOが昔から推奨している運動レベルを守っておけば問題なさそうで、それ以上の運動はメリットが低いかもしんないですね。
参考までに、「脳の働きを改善するための運動量の推奨値」を以下にまとめておきます。
- 有酸素運動と筋トレ(中強度)
- 最小レベル=1回25分を週に3回、または1回15分を週に5回
- 最適レベル=1回45分を週に3回、または1回30分を週に5回
- 有酸素運動と筋トレ(高強度)
- 最小レベル=1回20分を週に2回
- 最適レベル=1回35分を週に2回、または1回25分を週に3回
- 自重、フリーウェイト、マシン筋トレ(中強度)
- 最小レベル=1回40分を週に3回、または1回30分を週に5回
- 最適レベル=1回45分を週に5回
- 自重、フリーウェイト、マシン筋トレ(高強度)
- 最小レベル=1回30分を週に2回
- 最適レベル=1回35分を週に3回、または1回20分を週に5回
- 有酸素運動(中強度)
- 最小レベル=1回45分を週に4回、または1回35分を週に5回
- 最適レベル=1回60分を週に7回
- 有酸素運動(高強度)
- 最小レベル=1回30分を週に3回、または1回25分を週に4回
- 最適レベル=1回60分を週に4回、または1回40分を週に6回
- レジスタンス・バンド(中強度)
- 最小レベル=1回10分を週に2回
- 最適レベル=1回35分を週に3回、または1回20分を週に5回
- レジスタンス・バンド(高強度)
- 最小レベル=1回15分を週に1回、または1回20分を週に2回
- 最適レベル=1回25分を週に3回、または1回15分を週に5回
- ウォーキング(中強度)
- 最小レベル=1回60分を週に3回、または1回35分を週に5回
- 最適レベル=1回65分を週に3回、または1回40分を週に5回
- ウォーキング(高強度)
- 最小レベル=1回40分を週に3回、または1回25分を週に5回
- 最適レベル=1回45分を週に3回、または1回25分を週に5回
ということで、こうして見ると「そこまで厳しい運動は必要ないけど、やっぱ意識してキツめの運動をしないとダメっぽいなー」という感じでした。まー、認知症の症例は2060年までに倍以上になると予想されるレベルだし、これと言った治療法も知られていないんで、ここらへんの知識は押さえておきたいですねー。