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今週半ばの小ネタ:VRの自然すごい説、政治好きの性格、好きな音楽と性格

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

VRの自然映像は幸福感を上げてくれるみたいよ

最高の体調」では「データの自然でも健康は改善するよ!」みたいな話を書いてて、とにかくどんな形でもいいから大自然の光景に触れよう!ってポイントを強調しております。わざわざ山奥までキャンプに行かなくても、ニセの自然でそれなりの効果は得られるんですよね(もちろん本物の自然の方がベターですけど)。

 

 

で、新しい実験(R)では「VRの自然が人間を幸福にする!」みたいな結論になってていい感じでした。これは96人の男女を対象にしたテストで、実験の流れは以下のようになってます。

 

  1. みんなに退屈な話を聞かせて、ストレスを感じさせる

  2. 次に全体を3グループに分けて、「高画質テレビで海中シーンを見てもらう」「ヘッドマウントディスプレイを使って360度の海中映像を見てもらう」「VRマシンを使って海中のCG映像を体験してもらう」のいずれかを体験させる

  3. 全員の気分がどのように変わったかを調べる

 

みんな似たような映像を見たんだけど、そのインタラクティブ性や没入感によって自然のメリットが変わるんじゃないか?と研究チームは想定したわけですね。

 

 

すると、結果にはちょっとした違いが出まして、

 

  • どのグループも退屈感やネガティブな感情は減少していた
  • が、唯一VR映像を見たグループのみ幸福感が増大していた

 

だったそうです。自然の映像は一律にネガティブ感情を減らしたものの、VRにはマイナスをプラスに変えるレベルの効果が見られたんだ、と。CG映像って点ではVRのほうが画質は悪いはずだったんですけど、インタラクティブと没入感には、そのデメリットを超える作用があるのかもしれんですな。

 

 

個人的にもVRの自然系アプリは気に入ってまして、たまにオキュラスの「Nature Treks VR」で遊んでたりします。ただ、私は人一倍VR酔いに弱い人間なので、こういうチル系アプリでも長時間やると気分が悪くなっちゃうのが難点なんですけどね…‥。

 

 

 

政治に参加しやすい人の特徴とは?

ネットをボーッと見てると、やたら政治的な発言が多かったり、デモや集会に積極的に参加してる人に出くわすことが多いわけです。ほとんど政治に興味がない私としては「みんな偉いなぁ……」とか思うんですけど、新しいデータ(R)は「政治参加に積極的な人は何が違うのか?」ってのを調べてくれてておもしろかったです。

 

 

これは過去にアメリカとデンマークで行われた3つの意識調査を使った研究で、それぞれサンプル数は2280人、2450人、500人となっております。これらの調査では、参加者の投票歴や政治活動、特にデモや集会への参加、政治家やメディアとの接触、金銭的な寄付などについて質問。さらに、みんなの性格的特徴なども調べたうえで、すべてのデータをひっくるめたところ‥…

 

  • 政治に参加する人はナルシストが多い?

 

って感じで、ナルシシズムにあふれた人ほど草の根レベルで政治活動に参加しやすい傾向があったそうな。

 

 

ちなみに、このテストでは、参加者のナルシシズムレベルを「私は自分にふさわしい敬意を得るべきだ」や「私はいつも自分にふさわしいレベルの敬意を得ている」などの文章に賛成するかどうかで判断したとのこと。とにかく「他人から敬意を受けたい!」って人ほど政治に興味を持ちやすいのではないか、と。

 

 

研究チームいわく、

 

全体的には、「自分は他の人より優れている」と信じている人ほど、政治活動に参加する傾向が強い。

 

要するに、多くの政策や選挙の結果は、より多くを望むばかりで他人に利益を与えようとしない人々によって導かれる可能性があるということだ。

 

とのこと。確かに「政治」が持つ権力的なイメージは、ナルシストを引きつけやすいのかなーって気はしますね。ネットで政治系の話が燃えやすいのも、ナルシシズムが多い傾向が一役買ってるんですかねぇ。

 

 

 

神経症傾向な人が聞く音楽、外向的な人が聞く音楽

音楽の好みは性格を反映する!みたいな研究は定期的に出てきまして、このブログでも類似の調査をいくつか紹介してきたわけです。新たなデータ(R)も同じタイプの研究で、5,808人のSpotifyユーザーを対象にしてます。

 

 

調査ではみんながどのような音楽を好んで聴いているかを3ヶ月かけてチェックし、これを全員のビッグファイブと比べてます。分析結果をザーッとまとめるとこんな感じです。

 

  • カントリーやR&Bが好きな人は、より外向的な傾向がある
  • ロックやインディーズ、オルタナティブを聴く人はより内向的な傾向がある
  • 誠実性が高い人(慎重でコツコツやれる人)は、ソウルやファンクを好む
  • エモ系の音楽が好きな人は、情緒不安定で内向的な傾向がある
  • ジャズやブルースが好きな人は感情的に安定していて、協調性が高い傾向がある
  • パンクが好きな人は、情緒的に不安定で反社会的な傾向がある
  • レゲエが好きな人は開放性が高く、多様性や知的好奇心を好む傾向がある
  • クラシックが好きな人も開放性が高く、好奇心が大きい傾向がある

 

私みたいなポストロック系好きがどこに当てはまるのか謎ですが、とりあえず上記のような傾向が出た理由としては、

 

  • 感情が安定していない人は、自分の感情コントロールのために音楽を使うことが多い
  • 誠実性が高い人は、目標を達成するために音楽を使うことが多い(勉強のモチベーションアップとか、運動でテンションを上げるためとか)

 

みたいな仮説が提示されておりました。もちろんこの調査だと「音楽によってパーソナリティが変わるのか? 特定のパーソナリティーは特定の音楽を好むのか?」ってのは謎なんですけど、おそらくは両方のメカニズムが働いてるんじゃないかなーとか考えております。

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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