D-アスパラギン酸でテストステロンと筋肉量が増えまくる!はどこまで本当か?
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「D-アスパラギン酸は筋トレに効くんですか?」ってご質問をいただきましたんで、ちょっと考えてみたいと思います。
D-アスパラギン酸で男性ホルモンが42%もアップ?
D-アスパラギン酸は昔から筋トレ界では有名なサプリで、飲むとテストステロン(筋肉を作るのに必要なホルモン)がドバドバと増え、筋肉の量がグンと上がるとか言われております。
その証拠としてよく引き合いに出されるのが2009年の実験(1)。43人の男性を対象に、1日3.12gのD-アスパラギン酸を飲んでもらったんですね。すると、12日後、D-アスパラギン酸を飲んだ参加者は、
- テストステロン値が平均で42%アップ!
- 黄体ホルモンは平均33%アップ!
との結果だったそうな。大半のサプリメーカーは、このデータを根拠に「D-アスパラギン酸は筋トレに効く!」と言っております。
追試では「D-アスパラギン酸には効果なし!」
ただし、この話には続きがありまして、その後で行われた実験では「D-アスパラギン酸には効果なし!」って結果が出ちゃってるんですよ。たとえば、
- 1日3gのD-アスパラギン酸を飲みつつ週4の筋トレをしてもらったが、28日後にも特に筋肉の量は増えていなかった(2013年,2)
- 1日3gまたは6gのD-アスパラギン酸を飲みつつ週4の筋トレをしてもらったところ、3gを飲んだグループには特に変化なし。6gを飲んだグループは逆にテストステロンのレベルが下がってしまった(2015年,3)
といった感じ。見事な食い違いを見せております。
ここまでデータに差が出た原因としては、「参加者のテストステロンレベルが違う」のが大きそう。
というのも最初に行われた実験では、参加者のテストステロン値は平均450 ng/dLでして、かなり低めになってるんですね。いっぽうで後の実験は平均650-800 ng/dLぐらいでして、もともとのテストステロン値に大きな差が出ております。
まとめ
以上の話をまとめますと、
- もともとテストステロン値が低い人ならD-アスパラギン酸は効くかも
- テストステロンが多い人がさらに増やすのには不向き
といったところです。というか、そもそもステロイド剤の効果を調べた実験(4)とかを見てますと、テストステロン値が600%ぐらい上がってからようやく筋肉が増えるレベルなんで、 D-アスパラギン酸で42%増やしたところで筋肉量には大した影響はなさそうですけどね。
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