他人に「親切」にするとホルモンバランスが整って長生きできるぞ!みたいな話
親切でどこまで長生きできるか?
明けましておめでとうございます!というわけで、新年一発目は、「親切で寿命が伸びるよ!」っていう景気がいい研究(1)でも。
これはドイツで行われた研究で、70〜103才までのご長寿さん500人を対象に、「日常的に他人に親切にしてる人の健康状態」を調べたもの。1990〜2009年のあいだに集められた「ベルリンエイジング研究」のデータセットを使ったみたい。
似たような研究は過去にもあったんですけど、今回の論文では、
- 定期的に孫のめんどうを見ている老人と、孫がいない老人を比較
- 子供がいない高齢者の場合は、何らかのグループに対して世話を焼いてる人とそうでない人を比較
ってところにポイントを絞ったのが新味。要するに、やむにやまれず介護を続けているような参加者(伴侶が倒れたとかで)のデータを取り除いたので、さらに正確に「親切」の効能をチェックできるわけですな。
親切にしていた高齢者は生存率が高い
そこでどんな結論が出たかといえば、
- 1990年の時点で孫がいた、または社会的なグループに所属した参加者のうち、半数は10年後も存命だった
- 1990年の時点で孫がいない、または社会的なグループに所属しなかった参加者のうち、半数は5年後に亡くなっていた
- 他人へ親切にしていた高齢者は、その後平均で7年ほど長く生きた
- 他人へ親切が少なかった高齢者は、その後の寿命は平均で4年だった
みたいな感じ。とにかく、肉親でも他人でも誰でもいいから、何らかの世話を焼いていた人ほど長生きな傾向があったんだ、と。
親切で神経系と内分泌系に良い影響が
研究者いわく、
おそらく、向社会的な行動(親切な行動)は人間の神経系や内分泌系に良い影響をもたらすのだろう。これは、進化の過程で、共同生活や利他的な行為が重要だった事実がベースになっているはずだ。
とのこと。ヒトの体は「親切」に良い反応をするように進化してきんで、おのずとホルモンの分泌が最適化されていくんじゃないかって話ですね。これまでも「親切」のメリットは何度も確認されてるんで、わりと納得であります。
ただしこの研究には注意点もありまして、
他人への親切は、長生きの万能薬ではない。適切なレベルの親切は健康に良い影響があるが、過去のデータでは、親切のしすぎがストレスの原因になり、体と心にダメージを与えることがわかっている。
とのこと。なにごとも「ほどほど」が一番だそうで、このあたりは「GIVE & TAKE」のアダム・グラントが主張する「人助けは1年に100時間まで!」ってガイドラインと重なりますな。
まとめ
ちなみに、他にも「親切のメリット」はいろいろあって、
といった現象が確認されております。まさにWin-Winな感じでよろしいのではないでしょうか。