美女とイケメンとブサイクのための経済学 |「美貌格差」
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ダニエル・ハマーメッシュ「美貌格差」を読み終わり。「結局、美人はどれだけ得なの?」って疑問を経済学の手法で調べた本で、著者は労働経済学のお偉いさん。
基本的には、これまでハマーメッシュ教授が取り組んできた「美人とイケメンの経済学」の集大成になってまして、軽快な翻訳もあいまって楽しく読める一冊になっております。本書の知見をざっくりまとめますと、
- 見た目の評価は世界中でほぼ一致している:「時代や文化によって美の基準は変わるんじゃない?」って疑問がわきそうですが、大規模なリサーチにより、世界のどの文化圏でも美に対する評価は大筋では一定していることがわかっている。つまり、美人とイケメンの経済的な影響も、ちゃんと数値化して判断できるわけですね。
- 平均で美女は8%、イケメンは4%ほど稼ぎがいい:見た目がいいと収入もアップすることは、ハッキリと統計の差として出ている。逆に見た目がよくないと稼ぎは悪くなり、ルックスが下位15%にランクづけされた女性は、平凡なルックスの女性より収入が4%低かった。男性の場合はさらに見た目の影響が大きく、ルックスが下位15%にランクされた場合、収入は13%も低くなった。
- ルックスが関係なさそうな職業でも、見た目の良し悪しは影響する:事務や在宅ワークのようにルックスが関係ないと思われる仕事でも、見た目が良い人は収入が6%高かった。
- 見た目がいいと昇給のスピードも速い:MBA卒業生を調査した研究では、ルックスが良い男性は初任給が高く、その後10年間の昇給スピードも速かった。ルックスが良い女性は、初任給こそ低かったものの、やはり昇給のスピードは速かった。
- 見た目がいい社員は企業の収入も高める:ルックスが良い社員は稼ぎがいいので、給料が高くなるマイナス面を差っ引いても企業の総収益を高める。
- 美女とイケメンは借金でも有利:銀行はルックスのよい人ほど低利子で金を貸し出すってデータがあるそうな。そのいっぽうで、美女とイケメンに貸した金は債務不履行になるケースが多いそうで、なかなかタチが悪いですねぇ。
- ルックスがいい人は人生の満足度が高い: 美女とイケメンの55%が「人生に満足だ」と答えた。対して、見た目が下位にランクされた人たちが同じ返答をした割合は45%。
と、美女とイケメンのメリットがさんざん紹介されております。さらに、ここから「だから見てくれが悪い人たちは法律で保護したら?」という展開に向かうあたりが本書のユニークなところ。実際、フランスやサンフランシスコには、「見た目で賃金や職種に差をつけてはいけない」って法律があるそうな。
そんなこんなで、ひたすら正直すぎるネタが続くストレートな一冊。身もフタもない話が好きな人なら、とても楽しめるかと思います。ちなみに、本書の締めはこんな感じ。
ブサイクな容姿は人の足を引っ張るし、それは今後も変わらないだろう。でも、ブサイクだからってお先真っ暗ってわけじゃない。少なくともいくらかは自分で乗り越えられる。ブサイクだからって心の底からくじけてしまわなくてもいい。ブサイクなみなさんが背負った重荷はそこまでどうしようもないわけじゃあないのです。
うーん、最後まで直球。