心理学的に正しい「値引き交渉」成功法
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/03/blog-post_49.html?m=0
値引き交渉に関する研究は昔からあるんですが、よく言われてきたのが「価格の幅を持たせるな」というもの。たとえば、家電量販店などで値引きをしてもらいたい場合、「1割か2割ぐらい下げてくれません?」切り出すよりも、ズバリ「2割下げてくれませんか?」と言ったほうが良いって説であります。
ところが、近ごろ行われた実験(1)では、この説は間違いだったって結論が出たみたい。これはコロンビアビジネススクールの論文で、まずは研究者の言葉を引用しますと、
長いあいだ、われわれは「価格の幅を持たせた交渉はするな」と生徒たちに教えてきた。価格に幅があると、交渉相手に選択肢をあたえることになり、選択的注意の状態が生まれてしまう。すると、交渉相手は、こちらが提示した価格の「高いほう」にしか意識を向けなくなるからだ。
とのこと。提示する価格のバリエーションを増やすと、相手にとって有利な値段が強調されちゃうからダメって話ですね。
ところが、
しかし、今回の結果には驚かされた。これまで学生に教えてきた説がくつがえってしまった。「幅を持った交渉」が100%効くというわけではないが、間違いなく交渉術の1つとして使う価値がある。
というわけで、時と場合によっては「幅を持った交渉」のほうが効くみたい。
具体的には、今回の研究では5つの実験が行われまして、いずれも現実にありそうなシチュエーションで値引き交渉を実践してもらったもの。車の取り引き現場などを設定して、実際にさまざまなパターンの価格交渉を演じさせたわけですね。
その結果は、すべての実験で「幅を持った交渉」の圧勝。たとえば、フリマで2,000円の本を売りたい場合、ストレートに「2,000円でどうですか?」と切り出すよりは、「2,000〜2,500円ぐらいでどうです?」と言ったほうが、希望価格で交渉が成立しやすいんだそうな。高級ブランドメーカーが、あえて誰も買わないような超高値の商品を作っておいて、相対的に定番商品を安価に見せるのと似てますね。
この効果は逆の方向でも成り立つので、昔から値引き交渉でよく使われる「まずは買いたい値段の半額をふっかけてみる」って手法にも正当性がありそう。値引きの場面のほかにも、賃上げ交渉や価格付けの場面でも使えそうな話ですねぇ。
credit: Neil. Moralee via FindCC