人工甘味料はホルモンのバランスを崩し、糖アルコールは腸内環境を悪化させるかも
ちょい前に「大豆レシチン」の話をした際、「人工甘味料や糖アルコールは腸を荒らす可能性がある」と書いたところ、「もっとくわしく!」との声をいただきましたので、そのへんの話でも。
まず前提として、いま市販に出まわる砂糖の代用品は、大きく2種類にわかれております。
- 糖アルコール:ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトールなど
- 非栄養性甘味料:アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン、スクラロース、アセスルファムKなど
どちらも体が上手く代謝できないため、エネルギーとして吸収されず、ゼロカロリー系の加工食品などに使われております。ただ、この2種には大きな違いがあるので、そこらへんを見ていきたいと思います。
お腹が弱い人は糖アルコールに注意
糖アルコールは糖分を水素化分解したもの。血糖値に影響をあたえないため、糖質制限ダイエットではよく砂糖の代用品としてオススメされております。
ただし腸を荒らす作用もありますんで、お腹の調子が悪い方の場合は、
- 下痢
- お腹のむかつき
- お腹が張った感じ
- 腸内ガスの発生
- 空腹でもないのにお腹が鳴りまくる
- アトピー
といった症状を引き起こすことも。
その原因は、糖アルコールが腸内で悪い菌のエサになるから(1)。その結果、腸内細菌のバランスがくずれまして、上にあげたような悪さをしちゃうわけです。
また、別の研究(2)では、キシリトールやマンニトールなどの糖アルコールが、腸の上皮細胞(腸のメイン機能をつかさどる細胞)に穴を開け、リーキーガットの原因になるなんて話も。なかでも怖いのがエリスリトールで、2013年の論文(3)によれば、やはり腸に穴が開きやすくなるうえに、ブルセラ族の細菌を増やす作用まであるそうな。ブルセラは、腐った牛乳なんかに発生しやすい悪性の細菌であります。
もちろん個人の感受性や糖アルコールの種類によって症状は大きく変わりますし、糖アルコールとリーキーガットの関係も完全にあきらかになったわけじゃないんですが、腸内環境の改善はパレオダイエットの重要ポイントなんで十分に気をつけていきたいところ。
非栄養性甘味料はホルモンバランスを崩す
非栄養性甘味料は、その名の通りカロリーがない甘味料のこと。そのためダイエット食品などによく使われております。
が、おもしろいことに、いくつかの実験(4,5)では、非栄養性の甘味料をとらせたマウスは食事の量が増えなかったにも関わらず肥満になってしまったんだとか。どうやら、人工甘味料はカロリーがない代わりに、ホルモンバランスや代謝に悪影響をあたえちゃうみたい。
実際、ヒトを対象にした実験(6)によれば、人工甘味料は糖代謝に悪影響をあたえる可能性がデカいんだそうな。具体的には、
- 人工甘味料が腸とすい臓のホルモンを分泌する細胞にくっつく
- 腸から食欲をコントロールするホルモン(グルカゴン)が上手く出なくなる
といった流れになっております。腸内で悪さをして、必要なホルモンの分泌量を下げちゃうわけですねー。
また別の実験(7)によれば、一部の人工甘味料にはインスリンをドバドバ出す作用があるそうで、
- 人工甘味料が舌の甘味センサーを刺激する
- 舌が「甘い物を食べたよ〜」と脳へ伝達
- 脳が「血糖値が上がるからインスリンを出さないと!」と勘違い
- 血液中のインスリンレベルがムダに上がる
- インスリン抵抗性が上がる
- 糖尿病に!
といった可能性も指摘されております。
まとめ
そんなわけで、基本的には人工甘味料は避けたほうがよく、糖アルコールはお腹が弱い人は避けたほうがよさげです。
いったん人工甘味料の甘味に慣れてしまうと食事報酬が暴走した状態になりがちなんで、最低でも2週間はかけて少しずつ減量していきつつ、フルーツやサツマイモのような、加工度の少ない食品を取り入れていくことをオススメします。