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免疫を暴走させる6つの環境トリガー「アレルギー対策用パレオダイエット #1」

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アトピー対策はどうすべきか? 
アレルギーに関するご質問をいただきました。

アトピーを治すためにはなにが有効でしょうか?

わたしは22歳の男性です。数年前から、治っていたアトピーが再発しました。ここ一年は、レジスタントスターチやフラクトオリゴ糖、ビオスリーを飲んでいます。(中略)

しかし、アトピーは悪化する一方です。半年前、病院では「すぐに治る」と言われましたが、悪化への一途を辿っているように思えます。 アトピーの悪化でメンタルも悪化し、痒みとストレスで夜もろくに眠れなくなりました。

とのこと。私もかつては激しい鼻炎と肌荒れに苦しみましたので、お気持ちお察しいたします。夜も眠れないのはツラいですねぇ…。





そもそも免疫はなぜ暴走するのか?
アトピーはかなり壮大なテーマでして、正直なところハッキリした解決策はありません。なにせ様々な原因によって起きる症状なので、一朝一夕にはいかないんですよね。


もちろん、狩猟採集民にはアトピーのような症状がないことを考えれば、パレオダイエットの食事法などで体の炎症を鎮めるのは大事。ただし、アトピーのように免疫系の暴走による症状の場合は、さらにひと手間もふた手間も必要になるんですよね。ホント、アレルギーって大変。


そんなわけで、ここからは「アレルギーや自己免疫疾患のためのパレオダイエット」について、何回かのシリーズで考えてみようかと思います。第一回めは、「そもそも免疫の暴走ってなんで起きるの?」ってとこから。



免疫の暴走をもたらす3つの要因
ご存じのとおり、アレルギーは免疫が暴走して人間の体を攻撃しはじめる状態のこと。その結果、細胞や組織に傷がつきまして、アトピーやリウマチといった症状に結びついていくわけであります。


つまり、アトピーは免疫システムが敵と仲間をみわけられなくなった時に起こります。アルソックに防犯を頼んだら、なぜか警備員が雇い主を攻撃してきたような状況ですな。


 その原因は山ほどあって特定は難しいものの、大ざっぱにまとめる3つの要因に集約されます。

  1. そもそも遺伝的に弱い
  2. ライフスタイル
  3. 環境的な要因

このうち、遺伝はどうにもなりません。 いまんとこ免疫の暴走に関わる遺伝子変異は数十以上はありまして(1)、両親から受け継がれるケースも多め。これらの遺伝子が多い人ほど、化学物質などの影響でアレルギーを発症しやすくなったりします。


また、2番めの「ライフスタイル」は、要するに「現代の環境と遺伝のミスマッチ」のこと。加工食品が多い食事はもちろん、人口照明による睡眠不足、対人関係のストレスといったすべての要素がふくまれます。



免疫に悪さをする6つの環境トリガー
さらに3つ目の「環境要因」は、感染や化学物質といった外的な問題です。食事や睡眠を改善するのはもちろんのこと、まずは修正できる環境から正していくのは手っ取り早いかも。


では、具体的にどんな環境がトリガーになるのかといいますと、


▼実は感染してる

アレルギーや自己免疫疾患は、実は感染のせいで起こりがち。いくつかのバクテリアは、ヒトの体内のタンパク質に似たものを持ってまして、敵味方をみわけるのが難しかったりするんですね。


具体的な感染源を挙げてるときりがないんですけど、ざっと代表的なところを言いますと、
  • ピロリ菌
  • ヘルペス
  • 腸管ウイルス
  • パルボウイルス
  • レンサ球菌
  • トキソプラズマ

などなど。もちろん、感染したからといって必ずしもアレルギーが起きるわけじゃないものの、可能性はなきしもあらず。感染が原因だった場合はライフスタイルを改善しても効果がないので、ぜひお医者さんにご相談ください。



▼重金属に汚染されてる

水銀、カドミウム、アルミニウムなどの重金属が体にたまったときも、アレルギーや自己免疫疾患の症状は出がち。ただし、たとえば金なんかはリウマチの治療に使われるのに、腎臓にはアレルギー反応を起こさせたりで、重金属がどう関連してるのかは不明であります。


といっても重金属が体にたまって良いことはあんまないんで、気になる方はテストを受けてみるといいかも。



▼処方薬の飲み過ぎ

抗生物質や降圧剤のせいで、とくに顔などに激しい症状が出ちゃうパターン。これは薬剤誘発性ループスと呼ばれてまして、いまんとこ38種類のクスリが原因として特定されております。


この場合は服薬をやめれば改善するので、心当たりがある方はお医者さんにご相談ください。



▼タバコ

タバコは体を壊滅状態にしますが、当然ながらアレルギーにも厳禁。タバコと自己免疫疾患の関係はよくしられてまして、関節炎の原因にもなったりします。当然、受動喫煙も最悪なので、わたしのようなアレルギー持ちは万難を排してでも逃げるべし。



▼紫外線

太陽の光はビタミンDを作るのに欠かせない要素なんですけど、いっぽうで浴び過ぎは「皮膚筋炎」(2)のような自己免疫疾患のリスクを増やしがち(かなり遺伝に左右されますが)。


このへんのバランスについては、「太陽の光を浴びよう!」などをご参照ください。



▼環境エストロゲン

環境エストロゲンは、身のまわりにあって女性ホルモンに似た働きをする物質の総称。豆やフラックスシードに多い植物性エストロゲンや、プラスチック類、洗剤などにも入ってたりします。


少量なら問題ないものの、現代はエストロゲンが過剰になるケースが多め。体内の量が多いと免疫に悪さをすることがわかってるんですな(3)。


具体的には「女性ホルモン増えすぎ問題  対策編」などをどうぞ。環境エストロゲンがどれだけ悪いかについてはよくわかってないものの、環境エストロゲンとアレルギーの相関はほぼ確立されてますんで、とりあえず避けておくのがよさげです。



 まとめ
そんなわけで、まず初回は「アレルギーや自己免疫疾患の環境トリガー」を見てみました。以上をふまえたうえで、次回はさらに「ライフスタイルのトリガー」をくわしくチェックしていこうかと思います。


そこから、さらに具体的な改善法に進んでいければと。どうぞお大事になさってくださいませ。
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。