現代の環境と遺伝子の悲しいすれ違い「パレオダイエットってなに?2015年版 #1」
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当ブログでは、パレオダイエットという食事法をオススメしております。その考え方については、これまでも書いてきたわけですが、いろいろと強調したいポイントが変わったりもしましたんで、備忘録を兼ねて最新バージョンの解説を書いてみることに。まずはパレオダイエットの前提からです。
そもそも「パレオ」ってなに?
「パレオ」は、水着をカバーするスカートのことではなく、「旧石器時代」を意味する「パレオリシック」の略。深く考えずに「パレオな男」ってブログ名にしたら、たんに女装癖の男みたいな印象を持つ方もいらっしゃったようで、いまでは後悔しています(笑)で、旧石器時代が始まったのはおよそ260万年前で、終わったのが1万年前ぐらい。つまり、人類はおよそ10万世代にわたって狩猟採集民として暮らしてきたことになりまして、その環境にあわせて遺伝子や脳が作られてきたわけであります(1,2)。
もちろん、人口が増えれば進化のスピードもあがるので、農業が始まってから1万年間のほうが遺伝子の変化は大きいわけですが、さすがに現代の環境にまで適応していると考えるのはムリでしょう(3,4)。
ならば、旧石器時代や狩猟採集民のライフスタイルを参考にすれば、もともとの人間の仕組みに逆らわずに楽しくやっていけるんじゃないの?って考え方が「パレオダイエット」のベースになっております。
当然ながら、これは現代の暮らしを否定してるわけではなく、逆に原始人を理想化してるわけでもございません。なにせ狩猟採集民は現代医療がないので感染症に弱いし、抗争による死亡率も高いしで、そのあたりは現代のほうが良いのは間違いないところ。
あくまで、現代の生活と狩猟採集民の「いいとこ取り」をするのが目標であります。
現代生活の何が問題なのか?
そんなわけで、現代の環境とヒトの遺伝子には悲しいすれ違いがあるわけですが、この問題点をざっくりまとめると、以下の3パターンになるでしょう。- 多すぎる:旧石器時代には少なかったものが、現代では豊富すぎて体と脳がついていけない
- 少なすぎる:旧石器時代には豊富だったものが、現代では少なすぎて体と脳がついていけない
- 新しすぎる:旧石器時代には存在しなかったので、現代人の体と脳がついていけない
たとえば、
- 多すぎるものの例:総摂取カロリー、糖質、オメガ6脂肪酸、塩分、飽和脂肪酸など
- 少なすぎるものの例:食物繊維、オメガ3脂肪酸、抗酸化物質、タンパク質、運動、睡眠時間など
- 新しすぎるものの例:トランス脂肪酸、食品添加物、人工甘味料、ブルーライトなど
といった感じ。これらの“ズレ”が脳やホルモンバランスにダメージを与えて、肥満、糖尿病、慢性疲労、心臓病、ニキビといった現代病を引き起こすわけですね。
実際のところ、遺伝と環境のミスマッチが少ない狩猟採集民には、上にあげた現代病がほぼ見られないことがわかってまして(5)、そのライフスタイルは大いに参考にしたいところです。
でも、狩猟採集民って短命じゃないの?
というと、よく聞かれるのが「狩猟採集民は寿命が短いでしょ?」 って疑問。一般的に狩猟採集民の平均寿命は30歳ぐらいと言われてまして、「短命な人たちの暮らしを参考にしてどうするの?」と思っちゃうのも無理からぬところです。ただし、ここで重要なのは、狩猟採集民たちがガン・心疾患・脳卒中といった生活習慣病で死ぬケースが少ないところ。彼らの平均寿命を押し下げる要因になっているのは、
- 幼児の死亡率が高い
- 感染症にかかる確率が高い
の2つ でして(6)、これは現代医療が使えないのが原因になっております。
上の要因をはぶいたうえで計算しなおすと、狩猟採集民の平均寿命はだいたい68〜78歳ぐらい(7)。これでも日本人の寿命とくらべれば短いですが、あくまで延命治療がない世界の話ですし、なにより寿命をまっとうした狩猟採集民たちは死の直前までピンピンしてるケースが多いそうな。逆を言えば、現代人は「寿命は長いが健康じゃない」わけですねー。
まとめ
そんなわけで、パレオダイエットの前提は以上です。要は現代の暮らしは遺伝子とミスマッチを起こしてるんだよーというお話でした。次回以降は、この考え方をもとにパレオダイエットの実践法を見ていきたいと思います。具体的には、
- 食事の方法
- 有害な物質を避ける
- 腸内細菌の調整
- 睡眠の質を上げる
- ストレスを減らす
- 定期的な運動
- 自然の中で活動する
の7パートぐらいにわかれる予定。