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「LCHFダイエットで痩せない!」ケースと、その他の問題点

High fat

LCHFダイエットに関するご質問をいただきました。

いつも楽しみに読んでいます。40代後半女性です。LCHFダイエットを始めて1ヶ月が経ち、体重、体脂肪ともちょっと減少しました。
朝のトレーニング後にプロテインを摂取し、昼食は自作弁当で、炭水化物は10%そこそこ、あとはたんぱく質より脂肪がちょっと多いぐらいです。カロリーは気にしていません。
最初は良かったのですが、最近は体重・体脂肪ともジワっと増えはじめています。何か原因はありますか?もし教えていただけたら、ウレシイです。

とのこと。LCHFは低炭水化物高脂肪の略でして、糖質をガッツリ減らして健康な脂肪を多めにとる食事法であります。糖質制限ダイエットの一種ですね。




「脂肪は食べても太らない」って考え方は捨てる
「LCHFで逆に太った!」という話はよく聞くんですが、この悩みを糖質制限系のコミュなどにぶつけると、

  • まだまだ糖質の減らしかたが少ない!
  • 脂肪のチョイスが悪い!
  • 実は筋肉が増えてるだけだから心配するな!

みたいな解答ばっかり出てきちゃって、「うーん、糖質は減らしてるのに…」などと思いつつも、さらに極端なLCHFに走ってしまう展開がよく見られます。特にフェイスブックのコミュなどではおなじみの光景といいますか。


この問題に共通してますのは、糖質制限ダイエットの世界では

  • 脂肪は食べても太らない

という考え方が根強いところかと思います。糖質さえひかえれば脂肪は体にたまらない!って説ですね。


が、当ブログでも何度か触れてきましたように、脂肪も摂りすぎれば太ります。具体的な説明としては、


をご参照いただければと思いますが、要は体脂肪を増やすホルモンはインスリンだけじゃないってところがポイント。なので、糖質をひかえても脂肪はちゃんと体にたまっていきます。



高脂肪食には他にもいろんな問題が
そんなわけで、まずは「脂肪は食べても太らない」って考え方は捨てていただくのが第一段階。で、さらに高脂肪食に関しては、以下のような難点があるかと思います。


1)食事の満足度が低い
高脂肪食の大きな問題の1つとしては、カロリーあたりの満足度が低いところ。糖質制限ダイエットの世界では「脂肪はお腹いっぱいになりやすい」なんて主張もみかけますが、これは大きな間違いであります。


有名なのは、食品ごとの満足度を出した1995年のインデックス(1)で、これによるとクリームやチーズ、バター、ココナッツオイルといった高脂肪食品は、つねにランキングでは下のほう。逆に満足度が高いのはジャガイモ、果物、赤身肉などで、糖質の量とはまったく関係なさげ。つまり、高脂肪食はカロリー過多につながるリスクが高いわけですね。


)LCHFは慢性炎症の原因になる
ここ数年、高脂肪食で問題になっているのが慢性炎症の問題。脂肪を多くとると血中の毒素量が増えまして(2)、体に慢性的な炎症を起こすことがわかってきたんですね(3,4)。


以前に「体内に火事を起こして、あらゆる不調を引き起こす『慢性炎症』の話」にも書いたとおり、体内の炎症は老化や万病のもと。やはり過度な高脂肪はよろしくないのではと思う次第です。


)LCHFは腸内細菌にダメージをあたえる
腸内環境の大事さについては当ブログでも何度書いているところですが、高脂肪食は腸内細菌にダメージをあたえるとのデータも結構多め。たとえば、

  • 高脂肪食により腸の上皮細胞が減り、リーキーガットを引き起こした(5,6)
  • 大量の飽和脂肪酸で腸内細菌に変化が起き、食後の炎症が増した(7,8)

 などなど。どうやら、LCHFは腸内細菌のエサが足りなくなりがちなんで、どうしても腸の具合が悪くなっちゃうらしい。



じゃあ、どうすればいいのか?
というわけで、いろいろ書いてきましたが、かく言うわたしもパレオダイエットを始めた当初は「脂肪は食べ放題だ!」とか思ってましたので、エラそうなことは言えません(笑)


ただ、その後で狩猟採集民の生活をいろいろ調べてみたら、ちゃんと炭水化物を食べるのが正しいパレオダイエットだと気づきまして、その後はジャガイモサツマイモ白米などは普通に食べるようになりました。具体的には「パレオダイエットと低糖質ダイエットの違いとは?」をご参照ください。


で、具体的な三大栄養素のバランスで言いますと、

  • 炭水化物 22〜40%
  • タンパク質 19〜35%
  • 脂肪 28〜58%

ぐらいが多くの狩猟採集民の平均値になっております。まずは、この範囲で炭水化物と脂肪をしっかりとるのが大事かと思います。


その際には、もちろん加工度の高い炭水化物や脂肪はNGなので、


あたりをご参照ください。逆に脂肪が少なすぎてもいろいろと問題が出てくるので、こころあたりがある方は、


 などをチェックしてみるといいかも。それでは、どうぞよしなに。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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