もっとも満腹になりやすい食品はどれだ!選手権
ちょい前に、脂肪が多い食品は満足度が低いよーって話を軽く書きましたところ、「もっとくわしく!」とのメールをいただきましたので、いろいろ書いてみます。
「食品の満足度」は、1995年にシドニー大学のスザンナ・ホルト博士が考案したもの(1)。「食後にどれだけ満足できるか?」のレベルを、食品ごとに数値化したんですね。
具体的には、参加者たちに特定の食品を240kcalずつ食べてもらいまして、
- 食後にどれだけ満腹感があったか?
- その後の食事の量は増えたか?
の2点をチェックしたわけです。そのうえで、食パンの満足度を100として、それぞれの食品の数値を決めていった感じ。たとえば、このデータだと白米は138なんで食パンよりも満足度は高いわけですねー。
食品ごとの満足度リスト
具体的な食品の満足度は、以下のようになっております。
食品満足度 |
||||
パン系 | 炭水化物系 | |||
クロワッサン | 47% | 食パン | 100% | |
ケーキ | 65% | フライドポテト | 116% | |
ドーナッツ | 68% | パスタ | 119% | |
クッキー | 120% | 玄米 | 132% | |
クラッカー | 127% | 白米 | 138% | |
菓子系 | 黒パン | 154% | ||
チョコバー | 70% | 全粒粉パン | 157% | |
ピーナッツ | 84% | 全粒粉パスタ | 188% | |
ヨーグルト | 88% | 茹でジャガイモ | 323% | |
ポテトチップス | 91% | タンパク質系 | ||
アイスクリーム | 96% | レンズ豆 | 133% | |
ゼリービーンズ | 118% | チーズ | 146% | |
ポップコーン | 154% | タマゴ | 150% | |
シリアル系 | ベイクドビーンズ | 168% | ||
ミューズリ | 100% | 牛肉 | 176% | |
サステイン | 112% | タラ | 225% | |
スペシャルK | 116% | フルーツ系 | ||
コーンフレーク | 118% | バナナ | 118% | |
ハニースマック | 132% | ブドウ | 162% | |
オールブラン | 151% | リンゴ | 197% | |
オートミール | 209% | オレンジ | 202% |
食物繊維・タンパク質・水分が多いほど食品の満足度は高い
こうして見ると、茹でジャガイモの満足度がズバ抜けてますね。以前に紹介した「じゃがいもだけを2カ月も食べ続けて10kg痩せた男」の事例も、あながち眉唾ではないのかも。
この結果についてはホルト博士いわく、
おおまかに言って、食物繊維・タンパク質・水分が多いほど食品の満足度は高くなる。ただし、それでも個々の食品によって満足度は異なるので、この指数を使うのは有益だろう。
とのこと。食物繊維とタンパク質という、当ブログでもおなじみのテーマがやはり出てまいりました。
脂肪については、
一般的なイメージとは違って、高脂肪の食品は満足度が低い。ヒトの体にとって脂肪は緊急時のエネルギーなので、すぐに体脂肪として貯めこまれてしまうからだ。そのため、体は脳に空腹信号を送り続け、もっと食べたくなるのだ。
とのこと。脂肪は「エネルギーが足りてますよ!」って信号を脳に送りにくいので、空腹感が避らないままになっちゃうんだ、と。このあたりは、マイケル・モス「フードトラップ」にあった「脂肪は糖分と違って飽きる上限がない」って話と通じるところですね。
さらに炭水化物については、
炭水化物は脂肪と逆の作用を持っている。血糖値を上げることで脳に「燃料は十分ですよ」という信号を送り、満腹感をアップさせるのだ。
とのこと。糖質制限ダイエット界の主張とは真逆ですが、なにせインスリンには空腹を抑える効果があるので、個人的にもホルト博士の見解のほうに賛成かなーと。
まとめ
というわけでいろいろ見てきましたが、最後にホルト博士のアドバイスをどうぞ。
フルーツ、ジャガイモ、牛肉、魚といった「未加工」の食品は、もっとも満足度が高い。また、おもしろいことに、豆類にふくまれる抗栄養素には、栄養素の吸収を遅らせ、腸内でホルモンの分泌をうながす効果もあるようだ。これらの要素が重なって、食品の満足度を高めている。
まぁ、満足度が高いからといって抗栄養素をとるのはオススメできませんけども、加工食品を避けるのは大賛成。結局のところ、「あらゆるダイエット研究から導き出された唯一の『正しい食事法』」で書いた結論と同じになりますねぇ。
credit: pallavi_damera