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アルファリポ酸って中性脂肪を下げるのに役立つの?問題のわりと良いデータの話

 

アルファリポ酸どうよ?」って話は昔から書いてて、

 

 

みたいな知見がいくつか得られております。いまのところは、「なにかしらの効果はありそうだけど、積極的に推奨するほどでもないよなぁ‥…」ぐらいのモニョっとした印象ですかね。

 

ただ、アルファリポ酸そのものはおもしろい成分で、ミトコンドリアの代謝に関わってたり、脂肪酸の合成酵素の働きをジャマしたりと、いろんな可能性を持ってるんですよ。その点でまだまだ調べがいのある成分かなーとか思うわけです。

 

 

そこで新たな研究(R)では、「アルファリポ酸は中性脂肪に効くのか?」ってのをガッツリ調べていて、なかなかためになりました。

 

 

これは18~60歳(平均39歳)の健康な男女64名を対象にしたテストで、過体重または肥満の人だけを選んだらしい(BMIが25以上)。試験では全体を2つのグループに分けて、

 

  1. 朝食の30分前に600mgのアルファリポ酸を飲む
  2. 見た目がそっくりのプラセボタブレットを飲む

 

って感じにして24週間の違いをチェックしたそうな。アルファリポ酸のテストでこれだけ長期なものはなかったし、事前登録もされてるし、非常によろしいのではないでしょうか。

 

 

ちなみに、実験期間中の身体活動は加速度計でモニターして、参加者には「いつもと同じような運動と食事を続けてねー」と指示したとのこと。特に食事や運動の改善をせずに、アルファリポ酸だけでどこまでの違いが出るかを調べたわけっすね。

 

 

でもって、12週後と24週後に空腹時の中性脂肪やら体内の炎症レベルを調査したら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 中性脂肪の変化については、アルファリポ酸を12週間(p=0.69)または24週間(p=0.56)摂取しても、プラセボと有意差はなかった

 

  • 同様に、グルコース、総LDLおよびHDLコレステロールについても、両グループで差は認められなかった

 

  • 24週目のBMIの変化については差が検出され(p=0.04)、アルファリポ酸グループはBMIが0.6kg/m2減った(プラセボグループは0.2kg/m2増加)

 

  • また、アルファリポ酸グループは24週目の時点で体重(-1.7% vs 0.1%)、体脂肪量(-0.9kg vs 0.3kg)、ウエストまわり(-0.8cm vs 0.1cm)の減少が見られた(ただし有意差はなし)

 

  • 酸化および炎症マーカーについては、アルファリポ酸グループはTNF-αが悪化。一方でICAM-1やHMOX1などの酸化ストレスのマーカーはプラセボグループより改善していた

 

  • アルファリポ酸グループは、プラセボグループよりも胃腸障害を報告した人が多かった

 

ということで、全体的には「なんらかの効果があるかもだけど微妙かなー」という、やはりモニョモニョした印象になっちゃいますね(笑

 

 

まー、いちおうBMIについては違いが出てますけど、実用的なレベルとはとても言えないぐらいでして、やっぱダイエット目的で使うのは無理っぽいですかね。今回の主目的だった中性脂肪や炎症マーカーについてもイマイチな感じでして、正直、期待してたよりもだいぶ数値が小さいな印象ですしね。とりあえず、アルファリポ酸については買わなくても良さそうであります。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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