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今週末の小ネタ:不安型の愛着スタイルはモテない、ゲームで意思決定能力が上がる、明晰夢で現実の恐怖を解決


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

不安型の愛着スタイルは秒で見抜かれるしモテないぞ!みたいな話

「愛着スタイル」ってのがありますわな。これは、「他人との関わり方」をベースに人間の性格を分類した理論で、くわしくは「あなたの性格は住む場所によって大きく変わる」をご覧ください。

 

 

ざっくり言うと、人間の愛着スタイルは3パターンにわかれまして、

 

  • 安定型:他人と自分を信頼してコミュニーケーションが取れるタイプ。
  • 不安型:拒絶されたり見捨てられたりすることを頻繁に心配するタイプ。
  • 回避型:他人と距離を置いたコミュニーケーションを取ろうとするタイプ。

 

みたいになります。当たり前ですが、安定型ほど他人との良い関係を築きやすく、人生もわりとイージーモードになったりします。

 

 

で、この愛着スタイルは恋愛の問題に関わることも多く、新しい研究(R)だと、

 

  • 他人は短時間で相手の愛着不安を正確に察知できる!
  • 愛着不安の人は、恋愛の相手として関心を持たれにくい!

 

みたいになります。相手がコミュニケーションの不安を抱きがちかどうかは、ほんの少しの時間でもわかるわけですね。

 

 

この研究のために、チームはアニメコンベンションで行われた8回のスピードデートイベントから参加者を募集。その際に、参加者は異性と13回のスピードデート(所要時間約3分)を行ったそうで、最終的には、女性74名、男性90名、計1,869名のスピードデートのデータを収集したそうな。

 

 

この時、参加者は、スピードデートの前に愛着不安と回避を測定するテストを実施。さらには各スピードデートが終了した後、相手が恋愛相手として好ましいかどうかをチェックしたらしい。

 

 

その結果を、チームはこう言っておられます。

 

参加者はスピードデート相手の愛着不安を正確に認知していたが、愛着回避は認知していなかった。

 

デートにおいては、人々は潜在的なパートナーの愛着不安を正確に判断できるようであり、相手を愛着不安だと判断するほど、恋愛相手としての興味は低下した。

 

ということで、たった3分しゃべっただけでも、私たちは相手の愛着不安を見抜けるし、その判断は恋愛のパートナー選びに大きく影響するのだ、と。確かに対人不安系の人って、すぐわかりますもんね(私もそうですが)。

 

 

ちなみに、この研究では「愛着不安が高い人は、回避傾向も高いと認識される」って傾向も見つかったそうな。そう考えると、回避型の人も恋愛相手としては避けられそうな気もしますけど、この研究ではそこまでわからないっすね。

 

 

まぁ、いずれにせよ恋愛でモテたいならば、なるたけ不安型は抜け出しておきたいところですねーってことで。

 

 

 

 

ゲームをする人は意思決定能力に優れている?

ゲームは脳に良い!って話は昔からいくつかあって、いまも調査が進められているところです。ゲームは時間の無駄って評判がある一方で、脳の機能に良い影響を与えるって報告もわりと多いんですよね。

 

 

そこで新たに出た研究(R)でもゲームに有利な見解で、結論から言うと、

 

  • ゲームは意思決定能力の向上や脳活動の改善につながるかも?

 

みたいになります。ゲームは別に怠惰な行為でもなんでもなく、感覚的に豊かで認知的な刺激も大きいため、プレイヤーの脳を活性化する働きがあるのではないか?という話なんですよ。

 

 

これまでの研究だと、ゲームで遊ぶことでワーキングメモリや注意力などが改善するといわれてきたんですけど、今回のジョージア州立大学などの調査は、具体的にfMRIを使って脳の活性レベルを測っております。具体的には、

 

  1. 47名の男女を集め、ゲーマー(週に5時間以上プレイする人)と、非ゲーマーにわける

  2. すべての参加者をfMRIにかけ、スキャン中に修正左右移動点課題を行ってもらう

 

みたいな手順で、ゲーム好きとそれ以外の人たちの脳をチェックしたらしい。

 

 

その結果、ゲーマーとそうでない参加者の間で、意思決定にかかわる脳と行動の反応に違いが見られたとのこと。ゲーマーは意思決定の精度が高くて反応時間も短かく、さらには感覚運動と認知処理に関連する脳領域も活性レベルが大きかったらしい。

 

 

この結果だけだと、ゲームによる脳の活性が、現実の世界における意思決定の強さにつながるかは謎なんですが、とりあえずゲームで遊ぶことで感覚と知覚のプロセスが強化され、意思決定の能力が向上するかも?とは言えそうであります。

 

 

研究チームいわく、

 

この結果は、ゲームが、意思決定に関連する認知トレーニングの良い候補となりえる事実を示す。

 

とのこと。まぁ、ご覧のとおり、かなりゆるい研究ではあるので、まだまだ信頼レベルは低いんですけど、ゲームへの罪悪感をちょっとは減らしてくれるんじゃないでしょうか。

 

 

 

明晰夢で現実の恐怖を解決できるぞ!という話

個人的にずっと興味がある対象のひとつが「明晰夢」。「いま自分は夢を見ている!」と気づいて、その夢の内容を自由に操れるってやつですね。

 

 

一説には、「明晰夢のなかでトレーニングしても現実のスキルが上がる」なんて話もありまして、個人的にも明晰夢を見るトレーニングをしてたこともありました。結局、「いま夢を見ているな」と気づくとこまでは行ったものの、自由なコントロールができるようにはなりませんでしたが……。

 

 

で、最近の研究(R)も明晰夢の話で、こちらも結論から申し上げますと、

 

  • 明晰夢で不合理な恐怖症が克服できる!(かも)

 

みたいになります。なんでも、明晰夢で恐怖に立ち向かった参加者の半数弱が、目覚めた後に恐怖が軽減されたらしいんですな。

 

 

研究チームは、明晰夢をよく見る人をオンラインで募集し、全部で76名に協力を依頼。みんなに「明晰夢を見たら、その後、夢の中で自分が恐怖を感じているものに直面してもらえますか?」と指示したとのこと。

 

 

そのうえで、夢を見る前と夢の中で恐怖のレベルどう変わったかを報告してもらったところ、

 

  • 55人の参加者の報告を分析した結果、ほとんどの参加者の最初の恐怖レベルは高く、71%が明晰夢を見る前に強い恐怖を感じていた。

 

  • 目覚めた後、51%の参加者が恐怖は変わらず、49%が恐怖が減ったと報告した。夢を見たせいで恐怖心が高まったと答えた参加者はいなかった。

 

  • 明晰夢を見る前の恐怖が大きいほど、目が覚めた後の恐怖が減る可能性が高い傾向もあった(夢を見る前に「強い恐怖を感じる」と答えた参加者のうち、62%が目覚めた後に恐怖が減少したと報告。夢を見る前に普通の恐怖を報告した人で、目覚めた後で恐怖が減少したのはわずか25%だった。

 

ということで、みなに成果が出たってわけじゃないものの、なにかに強い恐怖を感じている人ほど、明晰夢が癒やしになる可能性が高いみたいっすね。

 

 

この効果について、研究チームいわく、

 

恐怖症で苦しんでいる人は、眠っている間にその問題を解消することが可能だ。最も簡単な方法は、明晰夢を誘発する方法を学び、そこで意図的に恐怖の源に遭遇することだ。

 

このような明晰夢の応用は、すべての人の助けになるはずだろう。おそらく、多くの心理的な問題は、夢の世界で解決されるかもしれない。

 

とのこと。明晰夢の中では、多くの人は安全な環境にいながら恐怖を体験できるため、これが癒やしをもたらすのではないかってことですね。

 

 

そう考えると、おそらくVRとかでも同じような似た効果を得られるはずなので、私のように明晰夢を見るのが苦手な方は、技術の進化を待つと良いかもしれません。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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