今週半ばの小ネタ:コエンザイムQ10が疲れに効く? ピスタチオの健康効果がすごい? 朝のプロテインと夜のプロテイン
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
コエンザイムQ10が疲れに効くかも?なメタ分析
「コエンザイムQ10が疲れに効く!」ってなメタ分析(R)が出ておりました。
一応おさらいしておくと、コエンザイムQ10は、体の中で作られる抗酸化物質で、ミトコンドリアがうまく働くために必須の成分。このブログでも、
- 「コエンザイムQ10で激しい疲れが改善する!…かも」(2016年)
といった内容を取り上げてことがありました。とにかく、コエンザイムQ10はミトコンドリアがエネルギーを作るときに必要な成分なんで、不足すると元気がなくなっちゃう可能性は十分あるんですよ。
ってことで、研究チームは、過去のコエンザイムQ10研究から1,126人のデータをまとめてくれております。参加者のなかには、肥満、心不全、線維筋痛症といった問題に悩む人から、疲れぎみだけど健康な人も含まれていたとのこと。試験期間は 4 〜 24 週間となっております。
では、分析の結果を見てみましょうー。
- コエンザイムQ10は、2つのグループで疲労を減少させた
- コエンザイムQ10化合物(コエンザイムQ10 +NADH)で治療したグループでは疲労の減少効果が見られなかった
- 以上の違いは、コエンザイムQ10化合物の投与量が1日30〜200mgだったのに対し、コエンザイムQ10のみを投与したグループは、1日300〜500mgを摂取していたためではないかと思われる。
ということで、どうも 疾患を持っている人も、健康状態が良い人も、コエンザイムQ10で疲れを取る効果が得られるかもしれないらしい。
研究チームいわく、
コエンザイムQ10は、統計的に有意に疲労を減少させることが示され、この結果は感度分析でも維持された。さらに、コエンザイムQ10の1日の投与量と治療期間が増えるほど、疲労が減るレベルも大きくなった。
とのこと。サプリを飲む期間が長くなるほど、1回の摂取量が多ければ多いほど、コエンザイムQ10の疲労回復効果は大きくなるのではないか、と。
まー、疲労は複雑な問題だし、コエンザイムQ10が枯渇してない人が飲む意味があるのかと言われれば、「まだまだわからん!」ってとこが多い感じではあります。個人的には、コエンザイムQ10のサプリはまだ使わないと思いますが、「興味があるなら試してみては?」ぐらいは言えますね。
ピスタチオの健康効果がすごいかもしれない件
「ピスタチオは健康食だ!」ってメタ分析(R)が出ておりました。なんでも、ピスタチオを食べると血圧や中性脂肪が改善するというんですな。
これは17の研究をまとめたメタ分析で、ピスタチオの健康効果を調べてくれたんですよ。試験の参加者は計940人で、コレステロールに問題がある人(4試験)、メタボな人(2試験)、糖尿予備軍な人(1試験)、勃起不全の人(1試験)、健康体の人(6試験)など、幅広い層が集められております。
その他の研究条件は、こんな感じです。
- 試験期間は2~24週間で、1日あたり25~126gのピスタチオを食べる
- ほとんどの試験では、いつも食べているスナック菓子と同じカロリー量をピスタチオに置き換える形になっていた
つまり、ジャンクフードのカロリーをピスタチオに変えたらどこまで健康に良いかをチェックしたわけですね、
で、結果でーす。
- ピスタチオを食べると、最高血圧(-2.89mmHg)、中性脂肪(-18.76mg/dL)、血糖値(-3.62mg/dL)が下がる
- ついでに、ピスタチオでHDLコレステロール(+1.43mg/dL)が増えた。
- ただし、ピスタチオは、BMI、ウエストサイズ、最低血圧を変化させなかった。
ということで、このメタ分析を見る限り、ピスタチオは代謝の改善につながり、アンチエイジングに役立つと言っていいんじゃないでしょうか。
ちなみに、この研究ではLDLコレステロールは評価してないんですけど、2020年のネットワークメタ分析(R)を見てみると、おそらくピスタチオは悪玉コレステロールにもいいんだろうなーって感じ。
全体的に、ピスタチオを食べるとLDLコレステロールが6.6 mg/dL(0.17 mmol/L)減り、その効果は他のナッツより上かも?って感じらしい。こうして見ると、思ったより健康に良い印象ですね。まー、ピスタチオはカリウムと食物繊維が豊富なので、こういう結果が出てもおかしくはないですが。
ただし、ピスタチオにはいくつかの欠点もありまして、FODMAPの量が多いんですよねぇ。なので、一部の人には胃腸障害を引き起こすかもなので、ご注意くださいませ。
朝のプロテインと夜のプロテイン、筋肉が増えやすいのはどっち?
午前にタンパク質を摂取したほうが筋肉が増えるかも?って研究(R)が出ておりました。
こちらは12週間のRCTで、40名の高齢者(年齢65歳以上)を集めて、
- 朝にプロテインを飲む
- 朝にプラセボのプロテインを飲む
- 夜にプロテインを飲む
- 夜にプラセボのプロテインを飲む
みたいに割り振ったらしい。プロテインを飲んだグループは、1回あたり10gのミルクプロテインを摂取し、実験の前と後に筋肉の量をチェックしたんだそうな。
また、別の調査として、219人の高齢者を対象とした横断研究も行われていて、朝にタンパク質を多く食べる人と、夜にタンパク質を多く食べる人を調べ、筋肉量や握力などの量をチェックしたとのこと。
でもって、結果はこんな感じになりました。
- 横断研究の結果=朝のタンパク質と夜のタンパク質を比べたところ、朝にタンパク質が多い人は、夜にタンパク質が多い人に比べて握力が高かった。また、朝と夜のタンパク質摂取量の比率が高くなるにつれて、筋肉量と握力が増加する傾向がみられた。
- RCTの結果=こちらも横断研究と同じで、朝にプロテインを摂取したほうが、夜よりも筋肉量がより増加しやすかった。
というわけで、朝にタンパク質を多めに摂取したほうが、夕食時よりも筋肉量に影響を与えるのかも?って結果になってますね。
もちろん、これは高齢者向けの研究なので、それより若い人で同じ結果が出るかは謎なんですけど、年を取るほど朝のタンパク質が大事になるのでは?って説はずっとありますからねぇ。私は朝飯は食べてないので、昼にプロテインを飲むかな……。