抗うつ剤で逆に不安や鬱が悪化しちゃうんじゃないか説
若い子は抗うつ剤で逆に自殺願望が?
ここんとこ、「抗うつ剤って逆に自殺の原因になってるじゃない?」 って論文が立て続けに出まして、いろいろ驚いております。
ひとつめはオックスフォード大の研究で、過去に行われた抗うつ剤の実験34件をまとめたもの(1) 。対象になったのは9〜18才までの男女5,260人で、「若い人に抗うつ剤って効くの?」がテーマになっております。つまり、科学的な信頼性はかなり高め。
その結果わかったのが、
- プラシーボより効果がありそうなのはプロザックだけ
- SNRI系の抗うつ剤は、逆に自殺願望を増やす可能性があった
みたいな感じ。かろうじて効果がみられたのはプロザックだけで、しかもその作用は結構小さめだったらしい。
もともと「若い子には抗うつ剤って効かないんじゃない?」って話はあったんですが、それどころか自殺願望を増やす可能性もあるんじゃないか、と。もちろん、これで「抗うつ剤はムダ!」って結論にはならんのですが、とりあえず注意は必要かも。
成人でも抗うつ剤で悪影響が出まくる
で、もうひとつは北欧コクランセンターの研究(2)で、過去に出た13件の抗うつ剤データをまとめたもの。こちらは612人の健康な成人を対象にしてまして、「抗うつ剤って本当はメンタルに良くないんじゃない?」ってあたりを調べたんですね。これまた、科学的な信頼性は高め。
その結果、なにがわかったかというと、
- 抗うつ剤を飲んだ成人は、54パターンの副作用を体験しやすかった
- プラシーボにくらべて、副作用の発生率は2倍だった
みたいな感じ。具体的な副作用の内容は、
- 悪夢
- 焦りの感覚
- ムカムカ
- 神経過敏
- 不安
- 鬱
などなど。抗うつ剤を飲んで鬱や不安が増えちゃう人も、結構いるもんなんですねぇ。
とにかく抗うつ剤と一緒に炎症や栄養対策を
研究者いわく、
抗うつ剤は、健康な成人が自殺や暴力につながる状態の発生率を2倍にする
とのこと。なんだか恐ろしげな結論になってますが、あくまで「自殺や暴力につながりやすい状態」の話なんでご注意ください。この論文では、実際に自殺願望が出たかどうかまでは書いてないんで、そのあたりは不明であります。
とりあえず、ここまでの話をまとめると、
- 若いヒトには抗うつ剤の効果は少なそう
- 成人にも、抗うつ剤の悪影響は結構ありそう
って感じ。もちろん、だからといって抗うつ剤の服用を止めちゃいけませんが、少なくとも、副作用の対策として炎症対策や栄養不足の解消をしとくのは超大事かと思われますね。