あらためて「太陽光」の素晴らしさを並べてみる
つい最近も「太陽の光を浴びないのは喫煙と同じぐらい悪影響!」ってデータが出たりして、紫外線対策のやりすぎは体に良くないって風潮が高まりつつある昨今。その後も、太陽のメリットを示す論文がいろいろ出てますんで、ざっくりまとめておきます。
1.太陽光を浴びると幸福になる
太陽の光は気分を良くするためにも必須。そのメカニズムには諸説ありますけども、
- 太陽でセロトニンが増える:セロトニンは脳の神経伝達に必要な物質で、太陽光によって増減することがわかっております(1)。セロトニンの増加で幸福になれるかはまだハッキリしてないものの、多いほうが気分が上昇し、集中力が高まるってデータは割りと多め(2)。
- 太陽でドーパミンが増える:ドーパミンは「やる気」の源になる物質。強い光にはドーパミンを増やす働きがありまして(3)、7,000ルクスのブルーライトを10分浴びたら、参加者のモチベーションがグンと上がったなんて実験データも(4)。
あたりが有力視されております。また、最近では「ビタミンDでメンタルが改善!」ってデータも多いので、このあたりも大きく関係してそうです。
2.太陽光を浴びると頭が良くなる
昔から、太陽の光を浴びないと脳の機能が下がるってデータは多め(5)。逆に、太陽光を短い時間だけ浴びたら注意力と思考力が上がったなんて話もあったりします(6)。
上の論文によれば、太陽の光には脳の視床を刺激する効果があるとのこと。脳の視床は、人間が見たものや聞いたものを、さらに高次のエリアに送りこむ働きをしてまして、結果として頭の働きがよくなるんだそうな。
ちなみに、脳の情報処理や記憶をつかさどるエリアには、ビタミンDのレセプターが多いこともわかってるんで(7)、これまた太陽と知性の関係に大きく影響してそうであります。
3.太陽光を浴びるととにかく眠れる
これは1970年代から言われてることですが、太陽光には体内時計をリセットする効果がありまして、睡眠の質に大きな影響をあたえております。具体的には、
- 目から太陽光が入る
- 太陽光が脳の視交叉上核を刺激
- 体内時計が正常化!
みたいな感じ。要するに、日中にどれだけ目から太陽光を入れるかが、体内時計をコントロールするカギになってるんですね(8)。
で、太陽の光で体内時計が正常化すると、夜中に睡眠ホルモン(メラトニン)が出やすくなり(9)、眠りの質がガツンとアップしていく流れ。実際、日中に太陽を浴びるほど早い時間に眠くなるってデータ(10)もありまして、「朝は起きれないのに夜は眠れない!」みたいな人は、まずは太陽光を浴びる時間を長くしてみるといいかも。
4.太陽光を浴びると癌予防になる
紫外線といえば皮膚癌が心配ですが、近年では太陽光による発症リスクは意外と低いって見解のほうがメジャー。どころか、太陽光を浴びないと他のタイプの癌にかかりやすくなるってデータが増えております。
たとえば、
- 2008年のレビュー論文(11)によると、緯度が高い地域に住んでいる人ほど大腸癌、膵臓癌、前立腺癌、乳癌などの発症率が高かったとか
- 1日に400〜2,400IUのビタミンDを摂った人は、癌の発症率が50〜77%も低くなった(12)。言わずもがな、ビタミンDを増やすには太陽光を浴びるのがベストであります
みたいな感じ。ビタミンDは免疫システムの正常化に必須なんで、太陽光を浴びないと自然と発癌リスクが上がっちゃうみたい。
5.太陽光を浴びると心疾患の予防になる
近年では、太陽の光を浴びないと心臓病や高血圧になる!ってデータも多め。2009年のレビュー論文(13)によれば、太陽光が少ない冬季や高緯度に住む人は、心疾患で命を落とす確率が 30〜50%ぐらい高くなるそうな。
いっぽうで、太陽光が豊富な地中海沿岸や南ヨーロッパ地方では、心疾患による死亡率が激減するとのこと。同論文によれば、体内のビタミンDレベルが中央値より多い人は、心疾患リスクが57%も減るそうな。やっぱビタミンDのおかげなんですねー。
また、2008年のレビュー論文(14)では、高血圧の人に3カ月ほど紫外線を浴びてもらったところ、血圧が平均 6 mm Hgも改善したなんて話も。これは、太陽光によって体内の一酸化窒素が増え、血管を広げてくれるからだと考えられております。
6.太陽光を浴びると虫歯予防になる
太陽と虫歯の関係は、実は1950年代から言われてきた話。多くの観察研究(15)で、太陽光が多い地域ほど虫歯が少ない傾向がハッキリ出てたんですね。
その原因になるのは、やっぱりビタミンD。たとえば2013年に出たメタ分析(16)では、2,827人の子供のデータを調べたところ、ビタミンD3サプリを飲んだほうが明らかに虫歯の発症率が少なかったんですね。
実験だと、だいたい1日800IUのビタミンDを追加するだけで、虫歯のリスクは大幅に減るとのこと。健康な歯のためにも太陽光は欠かせないみたい。
7.太陽光を浴びると糖尿病の予防になる
これもビタミンDが大きく関わる話。ビタミンDが足りない人ほどインスリン感受性が悪く、糖尿病やメタボの発症と大きく関連してるってデータが多いんですね(17)。
ある実験(18)でも、ビタミンD療法を行った患者はインスリ感受性が60%も改善したとか。これはメトフォルミンのような専門薬にも匹敵する効果でして、やっぱり太陽光を浴びるのは大事。
8.太陽光を浴びるとテストステロンが増える
太陽光でテストステロンが増えるのは有名な事実。たとえば1548人の男性を調べた研究(19)だと、光が多い夏の方が、冬よりもざっくり20%ほどテストステロンが多かったそうな。
さらに、2011年の実験(20)では、紫外線療法を行った参加者はテストステロンレベルが2倍になったとか。言わずもがな、テストステロンは毎日を疲れ知らずで過ごすために必須のホルモン。しっかり太陽の光を浴びて、分泌量を増やしたいもんです。
まとめ
そんなわけで、太陽のありがたさを見てきましたが、そのメカニズムを簡単にまとめると、
- ビタミンDが増えるのが一番大事
- ドーパミンやセロトニンなどの脳内物質が増える
- 赤外線によりミトコンドリアが活性化
- 一酸化窒素の増加により血管が広がる
といったあたりが大きい感じ。この他にも、炎症を抑える作用も高いので、いろいろひっくるめて「太陽の光を浴びないと老ける!」とは言えそうであります。
具体的な太陽光の浴び方については、「太陽の光を浴びよう!」にくわしくまとめておきましたので、合わせて参照していただければ幸いです。とにかく、アウトドア最高ってことで。