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今週半ばの小ネタ:HIITでメンタルを改善するポイント、嫌な体験に強くなるコツ、家事をすれば脳が衰えにくくなる?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

最強エクササイズHIITでメンタルを改善するポイント

みんな大好きHIITは、ご存じこのブログの最頻出エクササイズのひとつ。くわしくは「ランニングより体力がつきまくる!いまさら聞けない「HIIT」超入門」をご覧いただければと思いますが、最近では「HIITでワーキングメモリ改善するかも?」や「内臓脂肪が激減するかも?」などと言われております。

 

 

でもって、新しいメタ分析(R)もまたHIITのメリットに関する話で、まずは結論から言ってしまうと、

 

  • HIITで一般人のメンタルが改善する!ストレスが減る!幸福になる!

 

みたいになります。まぁ運動がメンタルによいのは周知の事実でしょうが、HIITにもかなりの効果があるんじゃないかってことですね。

 

 

そこで研究チームは、HIITとメンタルに関する53件の過去データをピックアップ。これらをまとめて大きな結論を出してくれております。全体的なデータの質はそこそこながら、割と信頼性が高い結論になってるんじゃないかと。

 

 

というわけで、分析の結果わかったことを見てみましょうー。

 

  • HIITは他の運動よりも幸福感を高める働きが強そう
  • HIITは抑うつとストレスを改善する効果もある
  • ただし不安の軽減には役立たないっぽい

 

不安の数値に違いが出なかったのが謎ですけど、全体で見れば「やはりHIITはメンタル改善に使える!」と言えそうな結論じゃないでしょうか。

 

 

ちなみに、HIITとメンタルの関係につきましては、

 

  • HIITは週に2回は行わないとストレスが減らないから注意!
  • HIITは週2以上を7週間続けたあたりから幸福度が上がりやすくなるよ!

 

なんてあたりも指摘されておりました。週の頻度はそこまで多くなくてもいいから、とにかく長く続けるのが大事だよーってところですかね。

 

 

 

嫌なことの前に「運動」をすることでストレスに強くなる!という小技

「これから嫌いなプレゼンをせねば!」とか「これから上司に怒られる!」といったように、未来にネガティブなことが待ち受けているような状況は誰にでもあるもの。そんな時は、事前に呼吸法などで心を鎮めておくのもよいですが、ハーバード大学などのテスト(R)によると、

 

  • 嫌な経験をする前に運動をしておくといいよ!

 

って結論になってておもしろいです。具体的にどんな調査だったかと言いますと、

 

  1. 参加者にネガティブな内容の映画を見てもらう

  2. その際、参加者の半分には30分の適度なジョギングを指示

  3. 残り半分にはストレッチだけをしてもらう

 

といった感じでして、当然ながら、映画のあとは大半の人はネガティブな気持ちになったものの、ジョギングをしたグループほどメンタルの回復が早かったらしい。つまり、将来に嫌なことがあるとわかっている状況では、事前に少しキツめの運動を30分ほどやっておくとよいわけっすね。

 

 

研究チームいわく、

 

誰もが動揺することがある。このような心の苦痛が生じたときに、その苦痛からスムーズに注意をそらし、それによってすぐにメンタルを回復できる人がいるが、そうでない人もいる。

 

メンタルの回復ができないグループは、感情のコントロールが慢性的にうまくいかず、否定的な感情が持続し、極端な場合には、うつ病や関連する精神病理学に陥りやすい。

 

しかし、30分の適度な有酸素運動を終えた参加者は、運動をしなかった参加者に比べて、研究が終わった時の悲しみの報告が少なく、知覚的な困難の影響を受けにくかった。

 

とのこと。なんでも、運動ってのは、肉体的なエネルギーを与えてくれるだけでなく、精神的なエネルギーも与えてくれる働きがあるので、嫌な状況に対処するのに役立つリソースの量を増やしてくれるらしい。

 

 

つまり、運動はいまのメンタルを改善するだけではなく、未来の嫌な体験のワクチンとしても働いてくれるってことでして、いやー、本当に素晴らしいものですね。

 

 

 

家事をすれば脳が衰えにくくなるかもよー

家事は健康によい!」ってデータ(R)がおもしろかったのでメモ。

 

 

これは米国神経学会などによって発表された研究で、英国バイオバンクの501,376人(平均56歳)のデータを分析し、11年間にわたって追跡調査しております。参加者には、運動量、教育レベル、他者とのコミュニケーションなど、日常生活のいろんな要素について答えてもらったんだそうな。

 

 

すると、研究期間の終わりには5,185人が認知症を発症してまして、彼らのライフスタイルをあらためて調べてみたところ、

 

  • 研究スタート時の年齢や裕福さなどの要因を補正しても、日ごろからよく身体活動をしている人は、認知症になる確率がかなり低かった(これは驚くことではないですな)。

 

  • いろんな人とコミュニケーションをたくさん取っている人も、認知症になる可能性が非常に低かった(これも驚くことではないですな)。

 

  • 認知症の可能性を減らす最も効果的な方法のひとつは「家事」で、リスクの21%減少につながっていた(これはちょっとビックリ)。

 

という結果だったそうな。ちなみに、いろんな身体活動のうち5つのパターンが全分散の50.2%を占めてまして、

 

  1. 激しい運動
  2. 家事
  3. 移動
  4. 仕事関連の活動
  5. 趣味のウォーキング

 

という順番に認知症リスクの低下と関係があったらしい。激しい運動が1位ってのは納得ですけど、そこに家事が続くのはすごいもんですな。

 

 

ただし、家事に限らず「本当に軽いレベルの運動を少しずつ積み重ねるのが大事だよー」ってのは、ここ数十年の研究でもよく言われる話ではあります。このブログで、はよくNEATという名前で紹介している観点ですね。

 

 

簡単に言えば、掃除や洗濯、皿洗いのように負荷が低い活動でも、毎日しっかりと積み重ねることで認知症リスクは下がるかもよーってことでして、忙しくて運動ができないような方には良いニュースでしょうね。家事は単なる雑用ではなくて、心身の健康をガッツリ高めてくれる有益な運動のひとつとして捉えるのがいいのかもですねー。

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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