高負荷の運動をがんばるよりも、ハビット・スタッキングで運動の頻度をあげようぜ!という話
「運動はどれだけやるかではなく、どれだけ頻繁にやるかだ!」みたいなデータ(R)がおもしろかったんで、メモっておきましょう。運動というと「1日3時間やったぜ!」とか「激しい運動を毎日してるぜ!」みたに、1回あたりのエクササイズの量や、トレーニングのハードさにこだわる人が多いですが、この考え方は違うんじゃないのかって話ですね。
これはエディス・コーワン大学(ECU)と、日本の新潟大学、西九州大学が共同で行った研究で、
- 参加者を3つのグループに分ける
- みんなに腕の筋トレを指示する
- 4週間後に筋力と筋肉の厚さの変化を測定する
みたいな感じで筋トレの効果をチェックしてます。このときに全体を2つのグループにわけて、ひとつめのグループは1日6回のトレーニングを週に5日で行い、もうひとつのグループは1日30回のトレーニングを週1回に詰め込んだそうな。そのうえで、4週間後の違いをチェックしたところ、
- 1日に30回のトレーニングをしたグループは、筋肉の厚みが6%近く増加したものの、筋力の増加は見られなかった。
- しかし、6回×5回のグループは筋力が10%以上も向上し、筋肉の厚みも30回×1回のグループと同様に増加した。
ということで、詰め込み型の筋トレと高頻度な筋トレは、筋肉量の増え方こそ変わらないものの、筋力の増加量には違いが出てくるわけですね。これは従来の報告とも整合性が取れているんで、わりと納得の結果じゃないでしょうか。
研究チームいわく、
多くの人は、ジムで長時間の筋トレを行わなければならないと考えているが、そうではない。重いダンベルを1日1~6回ゆっくり下ろすだけで十分なのだ。
とのこと。もちろん、この研究はダンベルカールだけしか調査してないんですけど、研究チームは、ある程度は他の筋肉にも当てはまるだろうと考えているそうな。
ちなみに、今回のように「週に1〜2回に運動を詰め込むよりも、適度な運動を週にできるだけ多くこなすほうがずっと良い」って見解は過去にもいろいろ出ていまして、
- 死亡率、心臓病、肥満、その他の病気リスクを減らすためには、毎日を通して定期的に動き続け、軽いジョギングぐらいの軽い運動を週に約150分ぐらいやっておくのがよいっぽい。
- 実際、1回1分の「マイクロトレーニング」でも十分に意味はあるんだぜ!という見解も多い。「1日15分ずつ毎日筋トレを行うマイクロトレーニング」を支持するデータもある。
ってのはよく言われることなんすよね。要するに、軽い運動を頻繁にやるのが重要ってことでして、そっちのほうが長期的にはいいんじゃない?って気がするわけです。まぁ高負荷運動はケガも増えるしね……。
ということで、まだ運動をしていない人は「毎日細かく体を動かすぞ!」ぐらいに考えておくのがよさげ。その際には、こないだ話したハビット・スタッキングを使うのがいいんじゃないでしょうか。簡単に言うと、
- 自分がやりたい運動を選び、最小限の目標(調子が悪い日やモチベーションが低い日でも成功できるぐらい簡単な目標)を設定する。
- 1日のうちで、すでに自動的に行っている活動を選び(歯磨きとか朝食とか)、『歯磨きをするたびに、スクワットを最低2回する』のように、ハビット・スタッキングを設定しておく。
- 目標を目に見えるところに書き留め、あとは淡々と実践する。ほとんどの人は、いったん運動をスタートさせると、自然にモチベーションが上がるので、たいていは当初の目標よりうまくいく。
- ハビット・スタッキングを達成したら、「すきな音楽を聞く」や「自分をめちゃほめる」などの簡単な方法でお祝いする。研究によると、運動の習慣化に成功しているのは、「体重を減らすぞ!」みたいに長期的な目標を立てた人ではなく、何らかの短期的な報酬を設定できた人であることが示唆されている。そのため、運動が終わったあとに報酬を設定しておくのは、習慣を強化するにはかなり重要な方法だと思われる。
みたいになるでしょうね。いったんこのルーチンが成立したら、あとは時間をかけて回数を増やし、重量を増やし、別の運動を追加していくといいでしょう。最終的には、これが自分なりの巨大なルーチンに育っていきますんで。どうぞよしなにー。