1回1分の「マイクロトレーニング」でも十分に意味はあるんだぜ!というアメリカ政府の主張
「もっと運動をしてね!」ってのは多くの国が推奨している話。その最適量は政府によって異なるものの、たいていの場合は、
- 週に150〜300分の運動をしようね!(早歩きとか庭仕事とか)
- あとは週2ぐらい筋トレをするといいよ!
ってガイドラインが多いと思います。いろんなデータを見てると、だいたいこれぐらい体を動かせば健康を維持しやすいみたいなんですよね。
ただ、近ごろアメリカ政府が「ちょっとだけガイドラインを変えてみたよ!」って論文(1)を出してて、ちょっとおもしろかったです。
いまのガイドラインが定まったのは2008年なんで、アップデートは実に10年ぶりのこと。そのあいだに出てきた新しいデータを組み込んで、ちょっと改訂したんですな。
では、具体的になにが変わったのかと言いますと、
現在までの科学的な調査によれば、中高強度身体活動(MVPA)には大きな健康効果があるのは間違いない。この時、1回のエクササイズの時間は健康効果とは関係がない。
って感じ。ちょっとわかりにくいかもですが、簡単に言えば、
- どんなに短時間の運動でも、「1日の運動時間」にカウントしていいよ!
ってことです。さらに研究チームの言葉を引用すると、
デスクワークの時間を減らし、もっと体を動かす。すべての行動は運動時間として考えていい。
だそうで、エレベーターを階段に変えたり庭仕事をしたり、ちょっと部屋を雑巾がけしたりなど、どんなに日常的で短時間の運動でも、それは立派にエクササイズと捉えていいんだ、と。こりゃあナイスな改訂ですねー。
となると、「そうは言っても具体的な運動の例が知りたいなぁ」と思う方もいらっしゃいましょうが、ありがたいことに米国医師会雑誌が具体的な処方せんをまとめた動画(2)を公開してくれております。そのポイントをざっくり抜き出すと、
- とりあえず初心者はウォーキングから始めるのがベスト。歩くスピードは時速4km以上が望ましい
- GoogleやAppleの地図アプリは「到着予想時刻」が早めなので、歩くスピードのベンチマークにするといいよ!
って感じでして、とりあえず早歩きが基本。さらに、エクササイズとしてカウントできる運動の例を挙げていくと、
- 通勤中などに時速4km以上のウォーキングを5分ほど続けられる時間を作り、これを週に5回やると全体のエクササイズ推奨量の17%になる
- 買い物や散歩などを利用して、時速4km以上のウォーキングを20分できる時間を週1で作ると、推奨量の13%分になる
- 週1で庭仕事を30分やると、推奨量の20%分の運動になる
- 1日1分だけ階段を上がる作業を毎日続けると、1週間の運動推奨量の9%分になる
- 週1で時速10km以上のサイクリングを10分やると推奨量の13%分の運動になる
- 週1で30分のダンスをすると、推奨量の40%分の運動になる
のようになっております。こうしてみると、日々の通勤と家事の時間を活かすのが大事になってきますなぁ。「会社からひとつ手前の駅で降りて歩こう!」みたいなアドバイスがよくありますけど、あれはかなり正しいのだと申せましょう。
もちろん、上記のやり方だけだと「筋トレ」の要素が少ないんで、身体の最適化を目指す時は物足りないところではあります。が、とりあえず1回1分のマイクロトレーニングでも十分に意味はありますんで、心がけていきたいとこっすねー。