誰でも天才になれる「1万時間の法則」が間違いだった件
https://yuchrszk.blogspot.com/2014/03/1.html
マルコム・グラッドウェルの「天才! 成功する人々の法則」で有名になった「1万時間の法則」ってのがありまして。
これは、1万時間の集中的な練習を行えば誰でも一流になれる!と主張する法則。元ネタは1993年に心理学者のエリクソンが発表した論文で、グラッドウェルいわく「1万時間は成功へのマジックナンバー」だとか。
が、この法則を真っ向から否定するのが、近ごろ発表されたミシガン州立大学の研究。ハイライト部分をざっくり意訳しますと、
- エキスパートの能力に関するエリクソンの主張(1万時間の法則)は、実証データにより否定できる。
- 集中的な練習はエリクソンが言うほど大事ではない。
- エリクソンが行った反論には矛盾と間違いがある。
- エキスパートの能力に関する研究は、1万時間ではなく「他に何が重要か?」に焦点を移すべきだ。
かなりコテンパンに否定しております。
今回の研究は、チェスの名人とプロ音楽家のデータをあらためて調べなおしたもので、その結果、各人の練習量とパフォーマンスには大きな差が出たというんですな。
たとえば、あるミュージシャンが2年でたどりついたレベルまで行くのに、他のミュージシャンは20年もかかっていたりとか、とにかくエラい数の例外が見つかっちゃった。とにかく、練習量が少なくても一流になれる人はなれちゃうんだ、と。
研究者によれば、1万時間の練習では天才が生まれる理由の3割ぐらいしか説明できず、エリクソンの研究は、本物のエキスパートじゃなくて、たんなる初心者にリサーチを行った可能性が高いらしい。ちなみに、天才を決める残り7割の要素はまだ不明とのこと。
うーん、なるほど。もともとグラッドウェルの本については、進化心理学者のスティーブン・ピンカーが「都合よく選んだエピソード、筋がとおらないこじつけ、デタラメな二分法でできている」とメッタ斬りしてたんで未読のままでしたが、そもそも元ネタの論文に不備があったんですねぇ。