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日本人の7割は注意しないと夜ふかし型に |「8時間睡眠のウソ。」


「8時間睡眠のウソ。」を読みました。 

国立精神・神経医療研究センターの三島和夫さんの話を、科学にくわしい作家の川端裕人さんがまとめた一冊。日本における睡眠研究の総本山の解説なので、とにかく科学的な根拠はバッチリで、「これさえやれば眠れる!」という安易な処方箋を出さないあたりにも逆に信頼がおける感じであります。




というわけで、本書で勉強になったポイントをまとめておきます。 



 

 

何時間眠ればいいかは答えられない

ヒトにとって必要な睡眠時間は個人差がとても大きいので、いちがいに「8時間寝ればよし!」って話はできないらしい。

 

 

日本人の睡眠時間は7時間半がいちばん多いので、いちおうの目安にはなるものの、やはり断言はできないのが難しいところ。個々人に最適な睡眠時間を判断する指標を開発するのは、睡眠学における最大の問いなんだそうな。

 

 

いまのところは、日中の眠気で困らないレベルの睡眠がとれていればOKと考えて、自分にとって最適なリズムを探していくしかなさそう。

 

 

こま切れの睡眠はよくない

健康な睡眠は、90分おきにレム睡眠があらわれて、ノンレム睡眠でははじめのほうに「徐波睡眠」という深い睡眠が出て後半は浅くなるサイクルをくりかえす。これは「メジャースリープ」と呼ばれているが、日中に30分以上眠ると、かなりの確率で深い睡眠が出てしまうので、夜の睡眠の質が下がるらしい。その意味で、過度な昼寝はよろしくないみたい。

 

 

また、脳は深い睡眠のときによく冷えて成長ホルモンを出す性質があるので、こま切れに寝るとアンチエイジング効果も出なくなっちゃうそうな。

 

 

眠りやすい時間は体内時計で決まっている

ある人にとって眠りやすい時間は、体内時計でガッチリ固定されている。これは遺伝の要素がかなり大きいので、自由に動かすことはまず不可能らしい。

 

 

で、現代の方法でちゃんと測ると、体内時計の一日の周期の平均は24時間11分。24時間に近い体内時計を持っていれば、毎日苦労しなくても同じ時間に眠たくなるので、目覚ましなしでも起きられちゃう。

 

 

一方で体内時計が長いと、気をつけないとどんどん夜ふかしのほうへズレていくので、こまめに調整しなきゃならないらしい。体内時計が24時間の人、すごいうらやましいっすな。

 

 

三島さんの測定では、日本人の4人に3人は24時間を超える体内時計を持っているそうなので、大半の人は体内時計を調整しないと、どんどん生活時間が夜型にズレていくことに。その対策としては、通勤時間になるべく強い光(7,000〜8,000ルクス)を浴びるように意識するのが大事とのこと。

 

 

不眠には認知行動療法が効く

不眠の対策に関してはかなり進んでいて、いまは認知行動療法がよく効くことがわかっているそうな。具体的には、

 

  1. 睡眠日記を1週間つけて、実質睡眠時間(ベッドに入ってから寝るまでの時間を引いた、実際に寝てた時間)を計算
  2. ベッドに入る時間を実質睡眠時間+30分程度に制限する
  3. 床上時間の90%以上眠れたら30分以上延長する
  4. 床上時間の85%なら短くする
  5. 日中は眠くなっても昼寝をしない



「この時間に寝なさい」と指示を出すんじゃなくて、「この時間までは絶対に寝ない」と決めることで、睡眠への不安を少しずつ消していくのが目的みたい。こういうところでも認知行動療法ってのは使えるんですねぇ。

 

まとめ

そんなわけで、「8時間睡眠のウソ。」のご紹介でした。いろいろ要点はありますが、ひとまずは自分の睡眠タイプを理解するのが重要。三島さんが「睡眠に関するセルフチェック」を公開していますので、自分の傾向を調べてみちゃいかがでしょ。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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