グルテンフリーダイエットって効果あるの?2016年8月バージョン
https://yuchrszk.blogspot.com/2016/08/20168.html
「グルテンフリーダイエットってやったほうがいいですか?」みたいな質問をいただくことが増えてきました。
普通の人がグルテンを抜く意味ってあるの?
グルテンフリーは、そのなの通り「グルテンは食べない!」って食事法のこと。グルテンは小麦にふくまれるタンパク質で、 こいつがカラダの老化や不調を引き起こすと言われてるんですね。そもそもはセリアック病みたいな難病のためにできたメソッドなんですが、ここ数年で「普通の人でもグルテンは抜くべき!」みたいな風潮が出てきまして、最近だと「ジョコビッチの生まれ変わる食事」なんかでも大々的に取り上げられておりました。
が、「普通の人がグルテンを抜く意味ってあるの?」って問題については、まだ決着がついてなかったりします。ジョコビッチさんみたいなグルテンに弱い人には効果が大きいだろうけど、万人にメリットがあるわけじゃないんじゃないの?という。
このあたりは研究データにもバラつきがありまして、特定のアレルギーがなければ小麦を食べても問題ない!って論文が出たかと思ったら(1)、「やっぱ普通の人でもグルテンは良くない!」みたいな話も出てきたりとか(2)。
つい最近も、「グルテンで体調を崩す人って、実はグルテンじゃなくて特定の食物繊維に弱いだけなんじゃない?(FODMAP)」なんて説(3)も出たりして、なにがなんだかわからなくなっております。
とにかく今の時点でハッキリ言えるのは、
- 科学的には、「グルテンフリーが普通の人も有効かどうか?」は誰にも断言できない
- つまり、「グルテンが老化の原因!」みたいな本はうさん臭い
- いっぽうで、「グルテンフリーは無意味!」とも言い切れない
って感じ。要するに、「まだわからん!」としか言いようがない段階なわけですね。
そんな状況下、「これがグルテンフリー問題の真相じゃないの?」って感じの論文(3)が出おりました。
これはコロンビア大学の実験で、グルテンで悪影響が出やすい人と出にくい人の違いはなに?って疑問を調べたもの。160名の参加者を対象にしてまして、その内訳は、
- 80名=健康体なのにグルテンに弱い人
- 40名=セリアック病にかかっている人
- 40名=グルテンをとっても不調が出ない健康な人
って感じ。それぞれにグルテンをとってもらい、みんなの炎症反応をチェックしたんですね。
そこで起きた現象は、以下のとおりです。
- グルテンに弱い人たちがグルテンをとると
- 腸内のダメージを示す数値があがった
- 体内の毒素の量が一気に増えた
- 悪いバクテリアへの抗体も増えた
- 全身の慢性炎症のレベルがあがった
グルテンと体内の毒素の量が連動していたわけですね。
ここから推測できるのは、実は「グルテン過敏症ってリーキーガットが引き起こす症状のひとつなんじゃないの?」って話であります。リーキーガットは腸に細かな穴が開いてしまう状態で、ご存じないかたは「リーキーガットについて知っておきたい知識」などをどうぞ。
実際、この実験では、グルテンに弱い人にグルテンフリーを続けてもらったら、半年でリーキーガットと炎症が同じように改善していったとか。つまりは、
- リーキーガットさえなければ、うどんやパンを食べても何の悪影響も出なさそう
- いったんリーキーガットが起きると、グルテンで腸ダメージがさらに悪化する可能性が大
みたいな感じですね。そう考えると、腸が健康な人がグルテンフリーを試す意味はあんまなさそうではあります。
たとえば「地中海式ダイエット」なんかも、日常的に大量のグルテンをとるにも関わらず、健康にはすばらしく良いわけですからねぇ。普段から腸に優しい暮らしをしていれば、全粒粉にふくまれる食物繊維のメリットのほうが大きいってことなんでしょう。
そんなわけで現時点では、「自分の腸に自信がなければグルテンフリーをやろう!」ってのが結論。個人的には、もうちょい自分の炎症レベルと相談してから、小麦を増やしていこうかなーと思っております。