人間にとって自然な暮らし方は「いっぱい食べていっぱい動く」
人間にとって自然なライフスタイルとは?
ちょい前に世界一の血管を持つ民族の話を書きまして、そこでポイントのひとつにあげたのが「高エネルギー流束こそが人間にとって自然なライフスタイル」って話でありました。
どういう考え方かというと、
- 低エネルギー流束=2,000kcalを食べて2,000kcal消費する
- 高エネルギー流束=4,000kcalを食べて4,000kcal消費する
みたいな感じです。この場合、どちらも1日の総カロリーはプラマイゼロですが、高エネルギー流束のほうが元気に暮らせるんじゃないか?と考えられているんですね。もちろん、高エネルギーと低エネルギーの明確な線引きはなくて、あくまで相対的なもんであります。
いっぱい食べていっぱい動く
要するに、
- 低エネルギー流束=あんま食べないしあんま動かない
- 高エネルギー流束=いっぱい食べていっぱい動く
みたいなイメージです。このように書くと、「そりゃあ良く食べて良く動くほうがいいんじゃない?」と思うかもですが、近年では「つねにカロリー制限をしたほうが寿命が伸びる」ってアイデアもありまして、意外と判断は難しいとこなんですよ。
高エネルギーと低エネルギー生活をくらべたら
ってところで参考になりそうなのが、コロラド州立大学の実験(1)であります。BMIが30オーバーの肥満男性6人を対象にした実験で、以下の流れで生活を送ってもらったんですね。
- 最初の12〜16週間はカロリー制限で体重を落とす(約7%の減量を目指す)
- 続く3週間はカロリーを戻して体重をキープ
- 4日だけ低エネルギー収束な生活をする
- 3日間の休止期間
- 4日だけ高エネルギー収束な生活をする
つまり、ダイエット後のメンテナンス期に「低エネルギー」と「高エネルギー」の2パターンを試して、どんな変化が出るかをチェックしたわけっすね。
高エネルギーのほうが健康指標が改善していた
ちなみに、低エネルギーと高エネルギーの違いはこんな感じ。
- 低エネルギー:安静時代謝 x 1.3のカロリーを摂る。摂取カロリーに合わせて活動量は減らす。平均2,449±406kcal
- 高エネルギー:安静時代謝 x 1.7のカロリーを摂る。摂取カロリーに合わせて活動量を増やす。平均3,191±587kcal
三大栄養素のバランスはどっちも同じで、炭水化物50%、脂肪35%、タンパク質15%ぐらい。そのうえで、全員の糖代謝やPYY(食欲を抑えるホルモン)といった健康の指標をチェックしたところ、
- 空腹時のインスリンは低エネルギーよりも高エネルギーのほうが低かった(8.3±1.1µU/ml VS. 6.4±0.8 µU/ml)。つまり、高エネルギーのほうがインスリン抵抗性は改善したわけですな。
- 参加者の安静時代謝や気分などは、高エネルギーのほうが高かった。
- PYYの数値に両グループで差はなかったが、主観的な空腹感や満腹度などは、高エネルギーのほうが2倍以上も高かった。
みたいな感じ。カロリーの収支計算はどちらの生活も同じですが、健康やアンチエイジングの指標は高エネルギーのほうが改善したみたい。
エネルギーの流れが多いほど良い結果が
もちろんこれは小規模な実験ですけども、実は過去にも似たような研究は行われてまして、いずれも似たような結果が出てたりします。
- 8人を対象にした実験では、カロリーバランスが同じでも高エネルギー流束のほうが安静時代謝は高かった(1995年,2)
- 10人の高齢者対象にした実験では、高エネルギー流束になるほどエネルギーの代謝効率が改善し続けた(2003年,3)
2003年論文の研究者いわく、
エクササイズによる高エネルギー流束な暮らしは、加齢にともなう体脂肪の増加を食い止める働きがあるようだ。
とのこと。とにかく「いっぱい食べていっぱい動く」ほうが、いろいろといいんじゃないの?ってこってすね。
個人的にも、カロリーリストリクションを試してたときよりは、いまの「たくさん食べたぶんだけ動く」スタイルのほうが、元気に暮らせてはおります。これが長寿につながるかどうかは現時点じゃよくわからんですが、とりあえず活動的に暮らせたほうがいいのかな、と。
まぁ「高エネルギー流束なライフスタイル」と言うとわかりづらいので、「わんぱくな暮らしを目指す!」ぐらいのイメージで行くといいかもしれません(笑)