30万人を調べてわかった「長生き」に最も必要な要素とは?
食事や運動より長生きに欠かせないものがあった
長生きに必要なものといえば、良い食事、睡眠、運動、遺伝といったポイントが思い浮かぶわけです。が、近ごろチェックしたデータ(1)では「食事や運動よりもっと大事なものがある!」って結論になっててちょっとビビります。
これはブリガムヤング大学の研究で、148件の観察研究をもとにしたメタ分析。およそ30万人の健康状態を平均で7.5年ほど追跡調査してまして、データとしての精度はかなり高いほう。
友達との関係がいいと早死にしなくなる
では、いきなり結論から言っちゃいますと、
- 友人との関係がいい人は、友達がいない人にくらべて早期死亡率が50%も下がる!
ってことです。凄くざっくりいうと、この数値は肥満や運動不足を改善したときのメリットよりも上。また、友人のメリットは、年齢、性別、社会ステータスに関係なく得られるとのこと。凄いもんですなぁ。
というか、このメタ分析のデータは、だいたい「社会からの孤立度」っていう単一の指標しか使ってないんで、もっと「友達との関係性」や「夫婦の仲」みたいな要素を組み込んだら、もっと数値が大きくなりそうな予感。以前に「ヒトの幸福にもっとも重要なのは人間関係」ってハーバード研究を紹介しましたが、健康面でも友達の重要性がトップに来る可能性が高いわけっすね。
「友達がいい」というよりは「孤独がマズい」
で、この効果につきましては、「友人が体にいい」というよりは、「孤独のダメージが想像以上にデカい」ってとこが大きいっぽい。研究チームいわく、
社会的な孤立と孤独は、有意に早期死亡率を高め、そのリスクは他の健康指標を大きく上回る
ってことで、前にも書いた「孤独は激しくヤバい!」って説を裏付ける内容になってますな。
友人は肉親や実の子供よりも重要
ちなみに、ここで参照されてる論文がまたおもしろくて、
- 2005年の観察研究(2)では、老人を10年にわたって追いかけたところ、友人が多い人は少ない人より22%ほど長生きする確率が高まった
- 自分の子供や親戚との関係性がよい場合にも多少は寿命が延びるが、長寿への影響がもっとも大きいのはやっぱり親友
だったそうな。肉親よりも友人のほうが大事かもしんないわけっすね。
が、友人の質を見極めるのは難しい
ただ、ここで重要になってくるのは、やっぱ友人の質の見極めであります。というのも、ここ数年のSNS研究などを見ると「FacebookやTwitterの友人はカウントされない!」って見方が優勢ですし、さらには、
- 「あなたが友達だと思ってる人の半分は、実はあなたを友達だと思っていない」(2016年のMIT論文)
- 外交的な人ほど「オレは友達が多い!」と思い込みがち(2015年のダートマス大学論文)
みたいなバイアスもあったりして、真の友達を見抜くって意外と難しいんですよ。上で取り上げたメタ分析でも、「表面的な友人関係は逆にタバコや酒の消費量をあげて逆効果!」って話なんで、そこらへんは注意したいところ。
まぁそうは言っても「どのような友人関係がいいの?」って問題についてはまだ片が付いてないんで、とりあえず「身近な人たちに徹底的に親切にしとく!」ってのが当面では最適な戦略のような気がしますが。