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マインドフルネス瞑想で良いアイデアが出るようになるの?問題のメタ分析が出てましたよー

 

マインドフルネス瞑想で良いアイデアが出るようになるの?」って問題を調べた論文(R)が出ておりました。

 

 

マインドフルネス瞑想がいいよ!って話は昔からあるものの、まだまだ良質な研究がないのが難点。「おそらく記憶力が上がるのでは?」とか「集中力が上がるかも?」みたいなデータはあるものの、正直なところ、どこまで信じていいものかはよくわからんところなんですよね。

 

 

その点、今回のデータは約30年の研究から1549人ぶんのRCTをまとめたメタ分析になってて、なかなか信頼度が高くていい感じです。

この論文では、具体的にどんなマインドフルネス訓練を行ったかまでは書いてないんですけど、一部の文章から推測すると、

 

  • 呼吸に集中するタイプの瞑想
  • ヴィパッサナー系の瞑想

 

などが創造性にあたえる影響を調べてるみたい。

 

 

ちなみに、「マインドフルネス が創造性アップに効くのでは?」って考え方は前からありまして、

 

  1. マインドフルネスは、思考の浮き沈みをジャッジせずに流すのが基本
  2. となれば、マインドフルネスの最中はいろんな思考が次々とわくはず
  3. いろんな思考がわく分だけ良いアイデアも出やすいはず!

 

みたいな推測になってます。つまり、マインドフルネスが拡散思考をうながすのではないか?と考えられてきたわけですね。

 

 

拡散思考を雑に説明すれば「とにかくいろんなことを考えつく」タイプの脳の働きのことでして、先行研究でも良いアイデアを出すためには欠かせないことがわかってたりします。要するに、良いアイデアを出すには質より量だ!ってことですね。

 

 

さて、すべてのデータをひっくるめてどんな結果が出たかと言いますと、

 

  • マインドフルネスには「ちょっとだけ」創造性をアップさせる効果がある!(r = .22)

 

みたいになってます。なんもしないよりは良いアイデアが出るけど、その効果は劇的なレベルではまったくない、ぐらいの解釈ですね。

 

 

また、このデータでは「なんでマインドフルネスで創造性が上がるの?」って問題も調べてくれていて、こちらも結論を一言で言えば、

 

  • 思考をジャッジしない態度が、もっとも創造性アップと相関していた

 

って結論になってます。「思考に善悪の判断をつけない」っていうマインドフルネスに特有の姿勢が、良いアイデアを生み出すことにつながるのではないか、ということですな。いちいちアイデアの良し悪しを判断してたら大量の思考は生み出せませんから、当然と言えば当然ではありますが。

 

 

残念なことに、この研究では「創造性を上げるにはどんなトレーニングがいいの?」ってとこまではふみこんでないものの、「思考を批判しないのが大事」って観点から言えば、呼吸瞑想よりはヴィパッサナー系のほうがアイデア出しには向いてるのかもしれません。

 

 

もちろん、「マインドフルネスこそ創造性を高める魔法の杖だ!」と言えるようなレベルではないものの、アイデア出しにお困りの方が試す価値はあるんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。