ベンチプレスは足を地面に着けないでやった方がいい!ってアドバイスはどこまで正しいのか問題
https://yuchrszk.blogspot.com/2019/08/blog-post_20.html?m=0
マニアックな話で恐縮ですが、「ベンチプレスは地面に足を上げてにやろう!」って考え方があるんですよ。ボディビルダーやアスリートのあいだで有名な考え方で、「足上げベンチプレス」などと呼ばれております。↓みたいなやつですね。
image credit:askman
この手法が本当に効くのかどうかは論争があったんですけど、近ごろいいデータ(R)が出てきましたんで、ちょっと見てみましょう。
これはアルメニア大学などの研究で、20人の若い男性が対象。まずは全員の1RMをチェックしたあと、全身にEMGの電極をつけてもらいまして、ランダムに2パターンのベンチプレスを指示したそうな。
- 普通のベンチプレス
- 足上げベンチプレス
EMGってのは筋肉が動くときに放出される電位を調べる装置で、ひらたく言えば、ここで出た数字が高ければ高いほど「筋肉が刺激を受けた!」ってことになります。筋トレの効果を調べる手法としてはもっとも定番のやつっすね。ただ、なぜだかこの論文には「どうやってEMGを分析したのか?」ってのが書いてないんですけど、たぶんセットごとの振幅の平均を出してるんだと思います。
で、どんな結果が出たのかと言いますと、
- チェックしたすべての筋肉において、「足上げベンチプレス」のほうが筋肉への刺激は大きかった!
だったそうです。ここでは胸筋、三角筋、上腕三頭筋、腹筋などの刺激レベルをチェックしてるんですけど、そのすべてで「足上げベンチプレス」が上回ったらしい。
もっとも刺激が大きかったのは大胸筋で、すべてのエリアにおいて普通のベンチプレスより9-15%ほど数字が高かったとのこと。うーん、そうだったのか……。
ちなみに、この数字を効果量で見てみると、
- だいたい足上げベンチプレスの効果量はd = 0.14〜0.42!
って感じで、「ほとんど意味がない」から「ちょっとだけ意味がある」ぐらいの範囲に散らばってます。具体的には大胸筋の上部が0.42で、大胸筋中部が0.14って感じ(上腕三頭筋は0.31)。
この数値をどう考えるかは個人の好みもありますが、まぁ「いつものベンチプレスにバリエーションを持たせるのに使うのはいいのでは?」と思いました。そこまで激しい効果ではないものの、ちゃんとやれば筋肉量のアップに役立ちそうな雰囲気はただよっております。
ただ、慣れないうちはやっぱ危険ですんで、「足上げベンチプレス」を試す際は、
- 1RMの75%より下の負荷からスタートしようぜ!(8レップス以上を行う場合ね)
ってあたりを守っていただくと安全でよろしいのではないかと思われます。自分でもやってみるかな……。