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今週末の小ネタ:学校の成績に欠かせない要素、頭がよい人はメンタルが弱い? 激しい運動で平均寿命がかなり伸びるんじゃないの?説

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

「友人とのつながり」が学業成績にめちゃくちゃ重要なんじゃないか説

SNSって学校の成績に影響するんじゃない?」みたいな研究(R)がHSE大学から出ておりました。これまでは、学生の成績に影響を与える原因といえば、「家庭の裕福さ」「自主学習に費やす時間」「趣味に費やす時間」「大学や学校の環境」の4つがデカいと言われてきたんですけど、最近の研究では「クラスメートの影響ってすごくないか?」ってのがわかってきたんで、あらためて社会環境の役割をチェックしてみたわけです。

 

 

ってことで今回の研究では、同大学の経済学部 に通う1年生117名に協力をお願いして、

 

  1. 2013年から2014年にかけてみんなのソーシャルネットワーク(クラスメートや友人とのつながり)をチェック

  2. 友人と学業成績の関係を調べ、ついでに友人が学習中の互いのパフォーマンスにどのような影響を与えるかも調査する

 

みたいな感じですべてのデータを統計処理したら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 友人を選ぶ際に、相手の成績を考慮する学生はさすがにほぼいない

  • が、時間の経過とともに(多くの場合は学年の途中で)、友人グループのメンバー全員がほぼ同じレベルの学業成績をとるようになる

 

要するに、成績が良い人に囲まれていれば時間とともに成績が上がるし、逆に成績が悪い人と仲良くしている人は成績が下がっていくらしい。 やはり通説のとおり、多くの生徒は友人の成績の影響を強く受けるみたいっすね。

 

 

あくまで小規模な調査なので注意は必要なんすけど、友人の影響のデカさは昔から知られてたので、今回の結果も「ありそうだなー」って感じはいたします。あなたという人間は親友5人の平均値だ!みたいな見解もありますしね(誰が言ったかうろおぼえですが)。

 

 

 

めちゃくちゃ頭がよい人は精神疾患のリスクが高い?

めちゃくちゃ頭がよい人は精神疾患のリスクが高いのでは?みたいな報告(R)が出ておりました。これはMENSAのメンバー3,715人を対象とした調査で、IQが130以上の人のメンタルをチェックしたものです。具体的には、

 

  1. IQ130以上の人の気分障害や不安障害のレベルを調べる

  2. 上記のデータを全米の平均値と比較する

 

って分析をしてまして、その結果なにがわかったかと言いますと、

 

  • IQが高い人ほど気分障害や不安障害のほか、ADHDや自閉症などの症状を報告するケースが多い
  • 不安障害の診断を受けた人の数は、米国平均が10%強なのに対し、メンサでは20%だった

 

だったそうです。知能の高さってのはメンタルの病気や障害のリスク要因なんじゃないか?って可能性があるわけっすね。

 

 

なんでこういう傾向があるかについてはまだ仮説の段階ですけど、研究チームは「知的な人の脳ほど過敏に反応しているからじゃないの?」と考えておられます。IQが高いと周囲の環境に対する注意力が高まるので、そのせいで脳の中枢神経系がより強く反応し、そのぶんだけ平均よりもビクビクしちゃうかもしれないんだそうな。

 

 

研究者いわく、

 

服のタグや不自然な音などの些細な違和感が、低レベルではあるが慢性的なストレス反応の引き金となり、それが身体の過敏な反応を活性化する。交感神経系が慢性的に活性化すると、身体と脳の両方で一連の免疫変化が引き起こされ、行動、気分、機能が変化する。

 

とのこと。頭がいい人は脳が興奮しやすく、それがトラブルの種になるのではないか、と。んー、ありそう……。

 

 

 

激しい運動で平均寿命がかなり伸びるんじゃないの?説

運動で寿命が延びるのは常識ですが、まだよくわからんのが「ハードな運動はどうなの?」ってとこです。過去には「週のトレーニング量が多いほど元気度は下がる」みたいな報告があり、一方では「HIITで長生きになる……かも」みたいな見解も出てますからねぇ(個人的には「限界値を少しずつ上げていくハードな運動は寿命を延ばすだろうなー」と思ってますが)。

 

 

そこで新たに公開されたデータ(R)は、オーストラリアの中高年204,542人を6年間にわたって追跡調査し、「息が切れるような運動をすると平均寿命は伸びるのか?」ってのを調べてくれてて参考になりました。

 

 

この研究では、参加者を「中程度の運動をしている人」と「全体の運動の30%以上を高強度で行っている人」の2つのグループに分けてます。ここでいう激しい運動ってのは競技用テニス、ジョギング、エアロビクスぐらいのレベルでして、対して社交用テニス、家事、穏やかな水泳などは適度な運動に分類したっぽい。

 

 

でもって、ふたつのグループにどんな違いがあったかと言いますと、

 

  • 少しだけ激しい運動をした人は、高強度の運動をしなかった人に比べて死亡率のリスクが9%低い

  • 全体の運動量の30%以上を高強度の運動に割り当てた人は、死亡率が13%低かった

 

みたいになってます。「高強度の運動は重要!やっぱ長生きに役立つ!」って結論でして、しかも「激しい運動の効果は、すべての年齢層の男女に当てはまり、運動時間の長さとは関係がなかった」そうで、こちらもおもしろいですねー。とにかく、ある程度までは高負荷の運動を取り入れたほうがよさそうっすな(オーバートレーニングにならない範囲で)。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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