自分の行動を激しく変えるために役立つ「コピペ戦略」とは?「変わる方法(How to Change)」
以前に取り上げた「変わる方法(How to Change)」って本は、有名行動科学者のケイティ・ミルクマン先生が「いかに前向きな変化を起こすか?」をまとめた有用な1冊。ここんとこ、いくつかのシリーズに分けて、そのポイントをまとめております。
で、前回は「自己効力感と習慣化」についてチェックしてみましたんで、今回は「社会規範」について触れたパートをメモしておきます。社会規範ってのは「ヤバい集中力」でも「行動の変化を起こすために欠かせないポイント」として取り上げた要素で、簡単に言えば、
- 誰かがやってるから自分もやりたくなる
って気持ちを活用する考え方です。人間ってのは社会のなかで進化してきた生物なので、まわりがやってることはつい自分もやりたくなるものなんですよね。「みんながやってるから!」ってやつですね。
なんだか自主性に欠けるような印象もありますけど、「社会規範」のパワーが相当に強いのは過去の研究で何度も確認された話。うまく使いこなせば、行動を変えたいときに激しく役立ってくれるはずであります。
というわけで、本書でミルクマン博士が提案しているのが「コピペ戦略」でして、これがどのようなものかをざっくり申し上げますと、
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自分が知らないような豊富な知識を持つ人を探し出す
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その人が使っているライフハックを意図的にコピー&ペーストする
みたいになります。自分と同じような問題を抱えているが、自分よりも知識や経験がありそうな人を探し、その人が使っている戦略や戦術を丸パクリするわけっすな。
実にシンプルですばらしいですが、博士いわく、人間ってのは「他の人がしていることはだいたい知っている」と思い込んじゃうバイアスがあるので、他の人から学べることを過小評価しがちだとのこと。しかし、実際にはウォートン・スクールなどのチームが行った研究では、
- お互いの最高のライフハックを聞いてマネしてください!
みたいに参加者へ指示したところ、運動をしたい人は運動量が増え、成績を上げたい人は勉強量が増える傾向が見られたんだとか。こいつはかなり使い勝手の良い考え方じゃないでしょうか。
博士いわく、
私の最近の研究結果から、成功した秘訣を意図的に「コピー&ペースト」することで、より多くの利益を得ることができるのではないかと考えている。幸いなことに、意図的にコピー&ペーストをするように自分を変えるのは簡単だ。
目標を達成できなかったら、成績優秀な仲間の意見を参考にしてみるといい。睡眠時間を増やしたいなら、同じようなライフスタイルを送っているが睡眠には問題がない友人に相談してみるといい。
このように、自分のやりたいことを実現している人を見つけて、その人のやり方を真似する方が、あなたはより早く進むことができるだろう。
とのことでして、無意識に実践してる人も多そうですな。
ちなみに、博士の実験でおもしろいのは「誰かにアドバイスをもらうよりも、自分でコピペできる方法を見つける方が効果的だった」って結果も出てるとこです。要するに、もしあなたが「健康になりたい!」と思ったならば、健康本を読むのもいいんだけど、それよりもすでに健康を達成した仲間を探して、彼らのアイデアを参考にしたほうが結果は出やすいかも?ってことですね。
確かに、たんにアドバイスをもらうのではなく、積極的にコピペできそうなアイデアを探すほうがライフスタイルに合った手段を見つけやすいでしょうし、そのプロセスでロールモデルと過ごす時間も増えるでしょうからねぇ。これは真理でしょうな。
さらに言えば、「コピペ戦略」を実践するにあたり、博士は以下のようなポイントも提示しておられます。
- あなたの意思決定は仲間の規範に大きく影響される。大きな目標を達成するためには良い仲間と一緒にいることが大切だし、逆に達成度の低い仲間と一緒にいることは害になるケースが多い
- 「みんなこういう行動をしていますよ」と説明されるだけでも、多くの人は実際に行動を変える確率が上がる
- 社会規範の影響は身近にいる人ほど、その人の状況が自分に似ていれば似ているほど強くなる
ということで、いずれもかなり重要な要素なので、コピペ戦略をお試しの方はぜひ頭の隅に置いといてください。