アドベンチャーセラピーとは?自然で不安や気分の落ち込みを改善する科学的メソッド
「アドベンチャーセラピー(Adventure Therapy:AT)の効果がすごいぜ!」と結論づけたメタ分析(R)が出てましたんで、内容をチェックしときましょう。ATってのはあんま耳慣れないワードですが、研究チームの定義から紹介すると、
心理の専門家が自然環境で行う冒険的な体験活動を通じて、認知・感情・行動のレベルでクライアントに働きかける方法。
みたいになります。要は「自然を冒険するとメンタルが改善する!」って考え方を基本にしてまして、具体的には、
- 長期の野外運動プログラム
- カヤックやロッククライミングなどの挑戦型アクティビティ
- 自然の中でのグループカウンセリング
- 軽いハイキングやガーデニングなど
といった幅広いパターンを使いつつ、心身の改善を狙っていくのがポイントとなります。自然の効果はこのブログでも繰り返し主張してますけど、これはセラピーのひとつとしても確立してるってことですな。
研究チームは、まず7万3,409件ものATに関する文献をスクリーニングし、最終的に12件(2,000人以上)のデータをメタ分析に使用。すべて不安症状を抱えている人たちを対象にしております。
その結果をざっくり見てみると、
- ATの効果量は中〜大:およそ90%の人が症状の改善を期待できるレベル
- 短時間でも効果あり:最短2時間半のプログラムでも有意な改善が見られた
- 副作用ゼロ:事故や悪化報告はなし
- 全年齢層で有効:若年層から中高年まで効果が認められた
みたいになります。必ずしも長期プログラムや激しい運動は必要なく、とにかく「自然の中で体を動かす」だけで大きな効果を得られるわけっすね。
では、なんでATに効果があるのかと言いますと、研究チームは3つの視点を提唱してくれております。
- 実存療法の視点:自然の中では、自分でルートを選び、天候や地形に応じて判断を下さなければならない。この「自由と責任」の体験は、実存療法が重視する自己決定感の回復につながる。
- 自己効力感が上がる:一般的な心理学では、劣等感を克服し自己効力感を高めることが重要とされる。しかし、「岩場を下りきる」みたいに、一見すると無理そうなことをやり遂げることで、自分への信頼感が強化される。
- 対人関係の強化:ATは個人の活動に加え、仲間と協力して目標を達成するチームビルディング要素が多く含まれる。この協力経験がつながり感を高め、心理的な安心感をもたらす。
- 「エコウェルネス」効果:自然とのつながりがメンタルに良いというデータは多く、木々や風、鳥の声といった自然刺激は、自律神経を整え、ストレス反応を下げることが知られている。
ってことで、自然の中で行うアクティビティは、メンタルのいろんな側面から心に良い影響を及ぼしてくれるみたいですね。これはやるしかないですなぁ。
というと、「いやー、自分は運動が苦手だし、アウトドア派でもないから…」と思う方も多いでしょうが、ご安心あれ。研究によると、活動の強度は効果の絶対条件ではありませんで、最も重要なのは自然環境で体を動かすことなんで。たとえば、
- 公園をゆっくり散歩する
- ベランダで鉢植えの手入れをする
- 軽いサイクリングに出かける
といった“ゆるめのアドベンチャー”でも、心理的メリットは得られますんで、ぜひインドア派も積極的に取り組んでいただきたいところです(というか、私もゴリゴリのインドア派ですし)。
では、このデータをもとに、「じゃあ明日からATをどう日常に組み込むか?」を考えてみると、ざっくり以下のようなステップが考えられるでしょう。
- ステップ1 小さく始める:最初は「頑張らない」のが鉄則。昼休みに10分だけ外を歩く、週末に近所の緑地を一周するだけでも十分であります。
- ステップ2 自然要素を意識する:ただ歩くだけでなく、周囲の木や空の色、風の匂いなどに注意を向けてみるのもあり。これがエコウェルネス効果を高めるんで。
- ステップ3 達成感を感じる設定にする:ほんの少しだけ「挑戦感」を入れると自己効力感が高まります。たとえば「今日は坂道を含めて歩く」「初めての公園に行く」など。
- ステップ4 誰かと共有する:可能であれば友人や家族を誘って実施。チーム感や会話が心理的安全感を増やす。
このガイドラインを守ってみれば、とりあえずATっぽいことはできるはず。こいつをもとに日常の生活に組み込んでみるならば、
- 在宅ワーク中の“自然ブレイク”:2時間ごとに5分、家の周囲を散歩する。スマホは持たず、五感を使って外の刺激を感じてみる。
- 週末の“ゆる冒険”:行ったことのないカフェまで徒歩で行くルートを、Googleマップで設定。途中に緑道や川沿いを通してみる。
- コミュニティ参加型AT:地域の清掃活動やガーデニングボランティアに参加。運動+社会的つながりのダブル効果を得られる。
みたいになるでしょう。どれもめっちゃ簡単な介入なんで、取り入れやすくていいっすね。
いずれにせよ、今回のメタ分析を参考にする限り、アドベンチャーセラピーは不安や気分の落ち込みに対して短時間でも効果的だし、明確な体力や経験も不要な非常に良いメンタル改善法じゃないでしょうか。お試しあれー。