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感染対策をしているジムは本当に安全なのか?を調べたノルウェーの実験のお話

 

新型コロナの影響で、結構なジムが対応を迫られたのはご存じのとおり。私が愛用しているエニタイムさんも、トレッドミルの間にビニールシートを垂らしたりして、いろいろと工夫を凝らしておられました。

 

 

なかには「ジムって本当にヤバいの?」と思われる方もいそうですが、その危険性についてはある程度の証拠があったりはします。パンデミックの前から、「換気の悪いジムは呼吸器感染症を蔓延させやすい」って指摘(R)はそこそこ出てたんですよね。ジム好きとしては辛い話ですが。

 

 

で、新しくノルウェーで行われた研究(R)は、「ガッツリと対策をしたジムは実際のところ感染を抑えられてるのか?」ってのを調べてくれてました。通常のジムは確かに危ないかもだが、ちゃんと対策をしてる場合はどうなのか?って疑問であります。

 

 

実験では3,764人の男女を集めまして、「ジムに通ってもらうグループ」と「ジムに行かないグループ」の2つに無作為に分けたんだそうな。ちなみに、さすがに65歳以上の人を被験者にするのはマズいので、試験からは除外されております。

 

 

実験期間は2週間で、被験者が通ったジムの対策はこんな感じです。

 

  • 他人との身体的な接触はしない
  • つねに他の客と1メートルの距離を開ける
  • 激しい有酸素運動をする場合は2メートルの距離を開ける
  • すべてのマシンと器具を消毒する
  • 使ったマシンは拭き取る
  • 施設の掃除回数を増やす
  • 施設内が混雑しないように人数を制限する
  • サウナとシャワールームは使用禁止
  • ゴミ箱のフタは取り除いておく
  • ジムの利用者は、自分の目鼻口を触らないように指導

 

ってことでなかなかの徹底ぶりではありますが、これなら日本のジムでもがんばってやってるとこは多いでしょうな。

 

 

でもって2週間後に全員にPCR検査を行い、さらに3週間後に被験者の医療記録をチェックしたら、

 

  • ジムに通っている人とそうでない人の間で新型コロナのかかり方に差はなかった

 

って結果だったそうです。具体的には、ジムを利用していないグループは0人が陽性だったのに対し、ジムを利用しているグループでは1人が陽性だったそうな。ただし、この1人についても、追跡調査をしたらジムじゃなくてオフィスで感染した可能性が高かったらしい。

 

 

そんなわけで、ジム利用者としてはなかなか良いニュースだなーとか思うわけですが、この話はあくまで予備的なものとお考えください。というのも、今回のデータは、

 

  • 査読前のプレプリントである
  • COVID-19は自分で綿棒を使う手法でテストされてるんで、エラーが起こっている可能性はある
  • 観察された感染者の数が少ないので、どこまで信頼していいものやらわからない(研究チームも、ここまで感染率が低いとは思ってなかったらしい)

 

って問題がありますんで、例えば感染率が高いエリアで調査したら、また違う結果が出る可能性も大であります。いちおうジムの安全性を担保する有望なエビデンスのひとつではありますが、あまりに信じすぎるのも危険だよーってことで。

 

 

まぁそうはいっても、ジムは個人の健康を保つ施設として機能してますし、ここらへんはどうしてもトレードオフで考えるしかないっすよねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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