呼吸はすごい!寒冷はすごい!ならば両方を組み合わせたらさらに健康レベルが上がるのでは?
「呼吸トレーニングは体に良い!」って話は昔からいろいろとあるわけです。呼吸ペースをコントロールするトレーニングにより、リラックスやら集中力アップやらのメリットを得られるらしいんですよね。
で、もうひとつこのブログでおなじみなのが、「寒さは体に良い!」みたいな観点です。どうも人間の体ってのは寒冷の刺激で免疫やら体脂肪の燃焼やらが刺激を受けるらしいんですよね。
それでは、この呼吸トレーニングと寒冷刺激を組み合わせたら、もっとすばらしい成果を挙げられるのでは?って考え方が出てくるのは自然なわけで、「呼吸+寒冷」の効果を調べたデータ(R)が出ておりました。
ここでは2種類の試験が行われてまして、
- 最初の試験では、40人の男性を集めて、異なる種類の呼吸法を行うように無作為に割り当て、アドレナリンの分布レベルを調べる
- ふたつめの寒冷試験では、48人の男性を集めて、寒冷にさらす、呼吸トレーニング、寒冷+呼吸トレーニングの組み合わせ、またはトレーニングなしのいずれかに割り当てる。その後で軽い毒素を体内に入れて、炎症がどうなるかを調べた
みたいになっております。寒冷+呼吸によってアドレナリンが増えてテンションがあがるかどうかってのと、体内の炎症を抑えてくれるかどうかをチェックしてくれたわけですね。
では、ここで使われた呼吸トレーニングがどんなものだったかと言いますと、
- パターン1:30回ほどスピーディに呼吸を行って過呼吸の状態にする。その後、最後の呼吸で強く息を吐き出したら、そのまま2分間ほど息を止めてホールド。そこから、さらに深く息を吸い込んで10秒間ほどホールド。このサイクルを何度か繰り返す。
- パターン2:30回ほどスピーディに呼吸を行って過呼吸の状態にする。その後、10秒間だけ息止めを行い、このサイクルを何度か繰り返す。
のようになります。過呼吸をベースに2分間の息止めを行うってのは、なかなか呼吸トレーニングとしてはハードな感じっすね……。ちなみに実験の参加者は、自宅でこの呼吸トレーニングを4日間毎朝行うように指示されたそうな。
さらに、もうひとつ寒冷チャレンジがどういうものだったかと言いますと、
- 素足で雪の中に最大30分間立つ
- 短パンだけを履いて雪の中に最大20分間横たわる
- 氷のように冷たい水に最大3分間ぐらいさらされる
- 毎日のシャワーは60秒間ほど冷水を浴びる
というトレーニングを4日間行ったそうな。うーん、これもなかなかつらいぜ……。
でもって、テストの当日は呼吸トレーニングと寒冷チャレンジを行ったあと、体重1kgあたり2ナノグラムのLPS(毒素)を静脈注射して、その後の変化を1時間ごとにモニターしたら、こんな結果になりました。
- 呼吸トレーニングの試験では、どちらのタイプの呼吸運動でも、血中のアドレナリン濃度が同じぐらい上昇した。トレーニングの時間はアドレナリンの増加に大きな影響を与えなかった。
- 体内の炎症を調べたところ、寒冷チャレンジそのものは炎症反応に有意な影響を与えず、呼吸トレーニング単体では、いくつかの炎症性サイトカインレベルが有意に抑制された。
- 寒冷と呼吸の組み合わせは、さらに炎症性サイトカインが抑制され、抗炎症性サイトカインIL-10のレベルも有意に増加させた。
ってことで、わかりづらい用語もいろいろ出てきましたけど、シンプルに言えば寒冷チャレンジと呼吸トレーニングの組み合わせが、もっとも強力な抗炎症効果を持っていたってことです。
まー、この研究で使われたトレーニングは、いずれもハード気味な設定なので、そのまんま真似るのは非常に難しいとは思うんですけど、
- 日中に1回1分の水風呂を3〜5セットぐらい
- 夜寝る前にボディスキャンなどをしつつ、軽く深呼吸のトレーニングをする
ぐらいの運用をしていこうかと思っております。