集中力を上げるためにも呼吸をトレーニングしようではないか!みたいな実験
「呼吸法ってストレスにいいよねー」ってのはもはや常識で、「超ストレス解消法」でも20ページぐらいを割いて解説しております。
で、新たに出た論文(1)は「呼吸法で集中力をあげようぜ!」って内容になってて実生活にも使えそうな感じでした。
これはダブリン大学の実験で、14人の男女に20分のメンタルタスク(難しいパズルみたいなやつ)を解いてもらったんですな。その際、全員に計測器具を着けてもらいまして、
- 呼吸のペース
- 瞳孔の開き具合
- 血中の酸素濃度
- ニューロイメージング(脳の活動を画像で計測)
みたいなのを調べたらしい。いずれも人間の緊張感や集中力の指標になるポイントであります。
でもって、これで何がわかったかと言いますと、
- 集中をキープできる人は呼吸と注意力がシンクロしている!
って事実です。当然ながら人間の注意力は一定ではありませんで、短い時間のあいだにも上がり下がりをくり返してるわけです。集中力を長く維持できる人は、この上下運動が呼吸のペースと一致してるらしいんですな。
つまり、どういうことかと言いますと、
この結果は、集中力が呼吸の影響を大きく受けている事実を示している。人間の集中力は、呼吸のサイクルに従って上昇と下降をくり返しているのだ。
呼吸のコントロールによって集中力を最適化できる可能性は大いにある。それと同時に自分の集中力レベルに意識を向けることで、呼吸のペースもより最適化されていくだろう。
って感じです。実は私たちの集中力は呼吸によって支配されているのではないか?と。
もちろん、この研究だと「集中できるから呼吸が安定していくんじゃないの?」って可能性もあるんですけど、研究チームは「呼吸トレーニングで集中力を最適化できるのだ!」って可能性を示唆しておられます。
ノルアドレナリンは、脳内であらゆる働きをしている。ストレスが高まればノルアドレナリンが必要以上に分泌され、集中力は大きく低下してしまう。
つまり、ノルアドレナリンにはスイートスポットがある。このスイートスポットに収まれば、感情、思考、記憶などはよりクリアになるのだ。
要するに、呼吸によって脳のノルアドレナリンって神経物質の量が「ほどよい量」 に調整されるかもしんないわけっすね。これはいい話ですなぁ。
そんなわけで、集中力の最適化に効く可能性があるトレーニングは2つです。
- 呼吸瞑想:呼吸をコントロールしようとはせずに、じっと呼吸の出入りだけに意識を向け続けるタイプのトレーニング。仏教では一番定番の瞑想法っすね。
- プラナーヤマ:ヨガ行者がやるように、意識して呼吸のペースを一定に保つトレーニング。くわしくは「超ストレス解消法」にいろいろ書いてますんで、ご参照ください(露骨な宣伝)
この2つのどちらがいいってことはないんで、自分がやりやすい方を選んでもらえればOK。個人的には、普段は呼吸瞑想でトレーニングしておいて、急な不安やストレスに襲われた時はプラナーヤマを使うような使い分けをしてますが。
通常、歳を取るほど脳のボリュームは失われていくが、長く瞑想を実践している人には同じ現象が起きにくい。呼吸法で脳の若さを維持できるなら、痴呆症のリスクなども減らせるだろう。
ってことなんで、呼吸法がノルアドレナリンの最適化に効くかも?ってのは新しい視点でしたねー。