ビタミンDでメンタルの不調は改善するのか?のメタ分析が出てたよー
ビタミンDってメンタルにいいんじゃないの?って話がちょくちょくあるんですよ。
正直、まだよくメカニズムはわかってないんですけど、ビタミンDが抗酸化物質を産むからでは?とか、脳内ホルモンのレセプターに作用してるから?とか、いろいろ言われております。もともとビタミンDって神経系の発達に欠かせないんで、さもありなんという気がするわけですが。
もっとも、ビタミンDとメンタルの研究って、「こんなに飲んで大丈夫か?」と心配になるレベルの成分量を使ってるケースが多くて、いまいち現実的には参考にならなかったりするんですよ。さすがに1日1万IU近くも飲むのはどうかなーと思いますからねぇ。
とか言ってたら、ビタミンDとメンタルに関するメタ分析(1)が出てまして、かなり良い感じになっておりました。
これはメリーランド大学の研究で、2011〜2016年の間に行われたビタミンD実験をまとめたもの。おもに「ビタミンDのサプリで鬱って改善するの?」って問題を調べてくれております。研究者いわく、
鬱に苦しむ患者の多くは、ビタミンDのレベルが低いことが多い。そして、彼らにビタミンDを渡すと、鬱病の症状はもちろん、疲労感や活力まで改善した。
ってことで、治療の現場では、ビタミンDサプリによってメンタルが改善するケースが意外と多いみたい。
で、このメタ分析で取り扱うデータは、参加者が40〜746人で実験期間は3〜52週間の範囲です。しかし、それぞれの結果は割と食い違っていて、
- 2011年に行われた実験では、1日5000IUを若者に飲んでもらったがメンタルは改善しなかった(2)
- 2013年に行われた実験では、1日1500IUのビタミンDとフルオキセチン(抗うつ薬)を一緒に飲んでもらったら、フルオキセチン単体よりもメンタルが改善した(3)
- 2013年に行われた実験では、150000IUを静脈注射したところ、うつ病の症状が改善した(4)
- 2016年に行われた実験では、週に50000IUのビタミンDを52週間ほど続けて飲んでもらったがメンタルは改善しなかった(5)
みたいになっております。うーん、これは判断が難しいですねー。
ってことで、以上のデータをプール解析したところ、こんな結果になりました。
- ビタミンDはメンタルの改善に効く! (SMD, 0.495; 95% [CI], 0.190 - 0.801; P = 0001)
なかなかいいですねぇ。効果量としては「まぁ劇的じゃないけどそれなりに有効ですよ」ぐらいのイメージでして、メンタルの悪化が長引いたときには十分に試す価値があるレベルかと思われます。
研究者いわく、
ビタミンDの作用には非常に個人差があるが、全体的に見れば、間違いなく効果はある。全ての医師は患者のビタミンDレベルをチェックし、必要に応じてサプリを使うべきだろう。ビタミンDにはほぼ副作用がないし、たいていの人はビタミンDが不足しているからだ。
とのこと。かなり人によって効果が違うみたいなんですが、とりあえず使ってみるも良さげですね。
ちなみに、この研究だと「どれぐらいのビタミンDを飲めばいいの?」ってとこまではわからないものの、 2014年に出た別のメタ分析(6)などを見てると、「1日に800IU以上を飲めばいいかも?」みたいな話ですんで、まずはこれぐらいを目安にしていくのもいいかと思われます。個人的にもビタミンDは飲み続けるつもり。