自分の写真がキモい!見てられない!現象の原因と対策
こんなご質問をいただきました。
写真の自分と鏡の自分について。
自分は写真に写るとかっこ悪いのに、鏡で見ると悪くなく見えます。 なぜ鏡の自分と、写真の自分では顔が違うのでしょうか?
写真は緊張するからでしょうか?写真写りが悪いということなのでしょうか?
ということで、自分の写真が良くないように感じられるのはなぜか?ってことですね。めちゃくちゃあるあるですな。
この問題については、昔から「おそらくこういう理由だろうなー」ってのが心理学の世界で提唱されてますんで、そこらへんをお伝えしておきましょう。具体的には、
- 自己強化バイアス
- 単純接触効果
っていう2つの心理現象が関わってると考えられてまして、これがどのようなものかと言いますと、以下のようになります。
自己強化バイアス
これは名前のとおりの現象で、簡単に言えば「私たちは自分のことを実際より少しイケてると思っている」って心理のことです。これについては2008年の研究(R)が有名で、参加者に自分の写真と他人の写真を何枚か見せたうえで「本当の自分が映し出された写真を選んでください」と指示したんだそうな。すると、
- 自分の写真を選ぶときは、みんな一貫してイケメン/美女に加工された写真を選んだ
- 他人の写真を選ぶときは、みんな一貫して加工されていない写真を正確に選んだ
って結果だったんだそうな。つまり、みんな脳内で自分の映像に加工アプリをかけているので、実際の写真を見るとその落差で「自分の写真キモ!」って印象が生まれるわけですね。
単純接触効果
こちらは、「特定のものを見れば見るほど、その対象を好きになりやすい!」って心理のことで、昔から一貫して確認されている現象であります。これがどのように自撮り嫌いを引き起こすのかと言いますと、
- だれでも鏡に映る自分をよく見るので、みんな鏡の自分をより魅力的だと感じるようになる
- しかし、鏡に映る自分の姿は反転しており、写真に写る自分の姿は反転していない
- 写真の自分はなじみがないので、「キモ!」って印象になる
みたいな感じです。まぁいずれの効果にせよ、みんな脳内では自分のことを実態よりも良いと思ってるから落差に落ち込むって話でして、他人の目には写真に映るあなたこそが正しいあなたなんですよーってことでもあります。
そう考えると、自分の写真への違和感を減らす方法も見えてくるわけでして、
- 定期的に自分の未加工の画像を見るようにすれば、「特定のものを見れば見るほど、その対象を好きになりやすい」って心理現象が働いて、自分の写真に魅力を感じるようになってくるはず(R)。
- とにかく笑顔の練習をしまくる。基本、人間は笑顔の顔ほど魅力的だと判断する傾向があり、イケメン/美女の顔よりも、笑顔な一般人の顔のほうが魅力的だと評価されることも少なくなかったりします。ちなみに、私の場合は、写真を撮られるときはだいたい脳内に「自分の飼い猫が腹を出して寝てる映像」を浮かべて、自然と微笑みが浮かんでくるように仕向けております。
- 写真を見るときは、「これは自分の脳内だけで起きている現象だ!」とくり返しまくるのも手。単純接触効果や自己強化バイアスはすべて自分の脳内にしか存在していないし、他の人は気にしてないんだよなーってのを自分に言い聞かせるだけでも、少しずつ脳が調整されてくるはずであります。
といったあたりが有効だと思われます。個人的にも、そもそも写真を撮られるのが嫌いだったし、自分の画像を見るのも嫌なタイプでしたが、「これは自分の映像が脳内で美化されているからだ」と自分に言い聞かせるようになってから、だいぶ普通に見られるようになった次第です。