オンラインのレビューなど当てにならない!では、我々はどうすればいいのでしょうか?
「オンラインレビューは客観的な品質を反映してないから気をつけよう!」って報告(R)が出ておりました。
これはワシントン大学などの研究で、チームは、Amazon.comの120の製品カテゴリーを調べ、1,272の製品をピックアップ。これをもとに、合計で344,157のオンラインレビューを集めたんだそうな。
さらに、チームは、コンシューマー・レポートという製品の価サイトから客観的な品質スコアを取得し、これに加えて、価格、ブランドイメージ、中古品市場におけるリセールバリューといった別の情報源を収集し、Amazonレビューと照らし合わせたらしい。
その結果、どんなことがわかったかと言いますと、
- オンラインレビューの平均的な評価とコンシューマーレポートのスコアの相関は低かった(つまり、オンラインレビューはあてにならない)。
- ユーザー評価の高いアイテムが、ユーザー評価が低いアイテムよりも客観的に良い製品である可能性は、わずか57パーセントしかない。
- レビューの評価が星1つ分だけ離れた商品を比べた場合、星が多いほうの商品をコンシューマーレポートが好意的に評価したのは、約3分の2に過ぎなかった。
- ユーザーの平均評価は、中古品市場でのリセールバリューも予測できなかった。
って感じだったらしい。3つめのポイントがわかりづらいですが、たとえば、5点満点で4点を取ったスマホと、3点を取ったスマホを比べた場合、4点のスマホが客観的に見て優れているケースは約65%だって話です。確かに、商品選びの基準にするには心もとないっすね。
オンラインレビューが当てにならない理由は謎ですけど、おそらく以下のような感じかなーと。
- サンプル数が小さいから:多くのレビューは数十件の小さな書き込みにもとづいているため、平均点がブレるのは当然の話。実際、上記の調査でも、サンプルサイズが大きくなるほど、レビュー平均とコンシューマーレポートのスコアの相関は高くなったんだそうな。
- レビューを書く人が特殊だから:ノースウエスタン大学などの2014年研究(R)によると、オンラインレビューを書く人というのは、平均的な消費者よりも異なるサイズの商品を買い、返品率が多く、若くて裕福でなく、セール品を買う確率が50%高く、一般の人よりも4倍以上の商品を購入するんだそうな。
また、そもそもオンラインレビューを書く人の数そのものが少なく、全体の約1.5パーセントしかないとのこと。つまり、オンラインレビューってのは、1000人中15人しか書かないし、さらには一般から離れた好みを持っているので、平均的な意見が反映されないケースが多いんだそうな。
- 買わないのにレビューを書く人がいるから:上との研究では、実際には購入も使用もしていないしてもいない商品をレビューする人も多いんだそうな。チームの計算では、その割合は15人に1人だそうで、これもレビューの信頼性が低い原因になっていると思われるわけです。
ただし、たいていの消費者ってのは、このような偽レビューを見抜くのが苦手で、簡単にダマされてしまいやすいとのこと。買わないで書いたとっぽいレビューって、大量にありますもんねぇ。
- レビューの内容は感情に影響されるから:旅行サイトを対象にした別の研究(R)では、125,076件のオンライン・レビューを調査した結果、好きな人と旅行している人ほど肯定的なレビューを書き、一人旅やビジネスでの旅行では否定的な意見が多くなる傾向があったとのこと。これは、好きな人との旅行はポジティブな感情が生まれるため、それが旅行先の印象を上げてくれるからでしょうね。
ということで、今のオンラインレビューってのは不確実な要素が多すぎるので、どうしても信頼度は低くなりがちなんですよね。ワシントン大学などの研究チームいわく、
他のユーザーの推薦は、あまり当てにしないことをお勧めしたい。世の中の評価は、不完全な状況で製品を評価する、不完全な人々の小さな偏った部分集合から生まれていることを認識すべきだ。
とのこと。オンラインレビューってのは、特殊な人たちが、特殊な状況で書き込む世界なので、参考にしないほうがいいよーってことですね。
が、かといって何の判断基準もないのも困るので、研究チームは「星3つのレビューに注目せよ!」と指摘しておられました。なんでも、星3つのレビューは、5つ星や1つ星よりも穏健で、詳細で、正直なレビューである可能性が大きいんだそうな。確かにそうかも。
ただ、人間ってのは、ほっとくと5つ星か1つ星の極端なレビューを好みがちなので、そこはお気をつけあれ。結局は、中庸が一番参考になるというお話でした。