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運動のメリットを最大化する最適な時間はいつですか?

 

 

こんなご質問をいただきました。

 

以前にもあった質問だったらすいません。結局、運動をするベストな時間はいつなのでしょうか?

 

自分でも調べてみましたが、朝のほうが痩せるとか、夕方のほうが運動の能力が上がるとか、いろんな意見が出てきてわかりませんでした。

 

ということで、「運動のベストタイミングはいつなの?」って問題ですね。この疑問については、過去にブログでも何度か書いたことがあるものの、統一見解は書いていなかったので、ここでまとめておきましょう。

 

 

さて、まずは「運動のベストタイミング」について、大きな結論から申し上げますと、以下のようになります。

 

  • 目的によって最適な運動のタイミングは異なる!

 

どうにも玉虫色の結論で恐縮ながら、エクササイズのメリットってのは、午前、午後、夜によって違うものですから、「このタイミングでやろう!」と結論を出すのは非常に難しいんですよ。

 

 

では、具体的なポイントを見てみましょうー。

 

 

ベストな運動タイミングについて、いろいろ考えてみる

ポイント1. 1日の生産性を高めたいなら朝トレ!

体を動かすと、エンドルフィンやドーパミンといったホルモンが分泌されるのは有名な話。これらの化学物質は、人間のエネルギーレベル、覚醒度、集中力を高め、仕事の生産性と注意力を上げてくれるんですよ(R)。

 

また、普段から朝にを運動することで体内時計が調整され、乱れた睡眠と覚醒のサイクルをリセットできるのも大きなメリットですね。夜ふかしが多い人などは、無理やりにでも朝の運動を続けることで、午前の覚醒度が上がり、夜はよく眠れるようになり、結果として仕事のパフォーマンスも上がりやすくなるはずであります(R)。

 

 

ポイント2. 健康な肉体を作りたいなら午後トレ!

朝トレーニングの弱点は、どうしてもエクササイズのパフォーマンスが上がりづらいところです。朝ってのは、筋肉がこわばってるし、体内にためたカロリーも減ってるし、体温も低めなので、運動のパフォーマンスが上がらないんですよ。

 

なので、エクササイズで万全の力で行いたいときは、午後に運動するほうがよさげ。早くとも午後1時から運動を始めたほうが、身体機能はアップしやすくなるはずであります。

 

事実、ノーステキサス大学などの研究(R)では、若い男性にサイクリングを指示したところ、午前中よりも午後のほうが、20%も長く走ることができたんだそうな。また、別の研究(R)でも、筋力、パワー、スプリント能力は午後のほうがピークで、午前中のパフォーマンスを3%〜20%も上回ったそうな。

 

また、2018年の予備論文(R)では、早朝や深夜に比べ、午後の遅い時間に体が自然に約10%多くカロリーを消費していたそうで、午後に動けば、少し余分にエネルギーを消費できる可能性があるかもですね。

 

ここらへんを考えると、身体機能をアップさせたいなら、午後になってから運動をしたほうがいいだろうなー、とか思っております。

 

 

ポイント3. どうしても時間がないなら夜間のトレーニングもあり

最後に、どうしても朝と午後は運動できない場合は、夜間に運動するのもありでしょう。かつては「夜間の運動は睡眠を阻害する!」とか言われたもんですが、近ごろは、この定説にも疑問符がついてまして、2019年の研究(R)によると、

 

  • 夜間のトレーニングは睡眠を妨げない
  • 夜にエクササイズをすると、空腹ホルモンであるグレリンのレベルが下がる

 

とのこと。つまり、夜のエクササイズは、減量や体重管理に役立つかもしれないわけですな。

 

もちろん、寝る1時間以内に激しい運動をしたら寝つきが悪くなるのは間違いないんですが、運動から就寝まで90分もあれば、意外と問題はなさそうだと申せましょう。

 

 

まとめ

 

ということで、いろいろ書いてきましたが、ここで見てきた話はあくまでガイドライン。基本的に、運動しちゃいけない時間帯なんてのは存在せず、最も重要なのは、自分が続けられる時間を見つけることなんで、そこはご注意ください。

 

また、2021年にユタ大学などのチームが行った研究(R)だと、トレーニングのタイミングは、朝だろうが昼だろうが夜だろうが、ある程度まで一定の時間帯にそろえ続けるのが重要だとの報告も出ております。どうやら、毎日同じ時間にトレーニングをしたほうが、人体のパフォーマンスが安定するみたいなんですよ。

 

そう考えると、自分にとって続けられそうな時間を選び、それをひたすら守り続けるのがベストなのかも?って気もするわけです。ちなみに、私の場合は、基本的には朝に有酸素運動をやって、午後に筋トレをするパターンを続けております。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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