心と体を数分で癒す方法のトップ5はこれだ!って本を読んだ話。
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『ストレス・リセット(Stress Resets)』って本を読みました。
名前どおり「ストレスの減らし方」をまとめた一冊で、「数分で心と体を癒す方法(How to Soothe Your Body and Mind in Minutes)」ってサブタイトルが良い感じですね。
著者のジェニファー・L・テイツ先生は臨床心理学者で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で助教授を務めているそうな。認知行動療法と弁証法的行動療法の専門家でして、本書も認知の働きの焦点を当てたストレス解消法がメインになってます。データの取り扱いはバッチリでして、ストレスの科学を知りたい方には良書じゃないでしょうか。
では、本書から勉強になったところをピックアップしてみましょうー。
- 圧倒されそうな問題が起きると、人間は本能的に、自分や状況を悪化させるような行動をとってしまうことが多い。たとえば、空港に向かう途中に予想以上の渋滞に遭遇したとき、それだけでも十分なストレスなのに、さらには「飛行機に乗り遅れるかもしれない……」「電車を使わなかった自分は大バカ者なのだ……」などと自分に語りかけまくってしまう。
ただし、ここで自分の思考に気を配り、マイクロマネジメントをすることなく、自分の行動を変えて、自分が生きたいと思う価値観に少しずつ近づいてくことはできる。そうすれば、ストレスは私たちを苦しめるものではなく、ただ過ぎ去るものになる。
- 人間の生活はストレス源に満ちているが、私たちは、それについて心配したり、苦労を予期したり、反芻したりすることで自分自身を苦しめることがある。反芻に関する研究のパイオニアであるスーザン・ノレン=ホークスマ博士の研究によれば、自然災害に出くわした人たちを計測したところ、反芻が多い人ほど心的外傷後ストレスが増える傾向があった。
- 困ったことに、多くの人たちは、ストレスに反応して大脳辺縁系(脳の感情的な部分)に火がつき、前頭前皮質(より良い判断力を司る部分)はシャットダウンする。
しかし、このときに、アクセスしやすく具体的な指示があれば、私たちは思考、生理、行動を改善できる。どんなにストレスが激増した瞬間でも、人間関係、そして人生を素早くリセットし、変えることは不可能ではない。
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この問題に立ち向かうために有効なテクニックは、「なぜ」という思考を「どのように」という思考に置き換えることである。たとえば、「なぜ私はこんなに不安になるのか?」「なぜこの問題が起きたのか?」という思考が浮かんだら、「どのようにすれば不安を和らげられるか?」「どのようにこの問題を解決できるか?」という思考に置き換えてみる。これにより、脳が反芻モードから解決モードに切り替わるため、メンタルが前向きになっていく。これは研究に基づいた実証済みの戦術であり、かなり効果が高い者だと考えられる。
- もうひとつ有効なテクニックとしては、「エクスプレッシブ・ライティング」と呼ばれる方法で日記を書くことである。こちらも研究で効果が照明されている方法であり、ネガティブな感情の処理に有効であることがわかっている。
研究によれば、考えすぎる傾向のある人が、この方法(20分間、数日間)で書くと、考えすぎが減り、うつ病の症状も軽減された。具体的な実践の方法については、「書くだけで幸福度と認知機能が高まる『筆記開示』初級ガイド」を参照。
- ストレスでパニックを起こす人はとても多いが、実は、パニックは治療が最も簡単な問題のひとつである。といっても、世間でよく言われる深呼吸やクロノピンやザナックスのような抗不安薬は、ベストな選択肢とは言えないので注意が必要となる。
そもそも、パニックのときは呼吸を整えるのが困難になるのに、そこで呼吸を整えろと言うのはレベルが高すぎる。また、ベンゾジアゼピン系薬物には中毒性があり、認知機能の低下につながる可能性があるので、これも使用の判断が難しい。
そこで、最も効果的なのは、パニックが不意に現れる前に、自分の身体感覚を歓迎し、受け入れることを学ぶことである。この練習は「内感覚曝露」と呼ばれ、自分が恐怖を感じる身体感覚を、意図的に再現してみる形で行う(例:心拍数の増加、息切れ、めまい)。たとえば、息切れが怖いなら過呼吸や息を止める練習をする、めまいが嫌なら頭を速く回したり、体を激しく振ることで、めまいや失神感を再現する。
- さらには、「行動活性化」のように、ストレスからの回復力を高めるような生活を積極的に作っていくのも有効である。この手法は、中程度のうつ病の治療において、抗うつ薬と同じくらい強力であり、災害後の対処にさえ影響を与えることが、研究によって何度も明らかになっている。くわしくは「良い子のための『行動活性化療法』入門」シリーズを参照。
- 連鎖分析や行動分析と呼ばれる手法も有効である。テイツ博士は、遅刻から飲み過ぎまで、あらゆる悩みを持つクライアントに、このテクニックを推奨している。
この手法は、なんらかの失敗や問題が始まる前に起こったことを、最初からじっくり観察していくというものである。
その際は、どのような状況がより失敗や問題の発生率を上げたのか 問題が「たぶん起こる」から「確実に起こる」に変わったのはどのポイントだったか? そのときに、どのような思考や感情が存在していたか? 問題の結果はどうだったか? などの疑問について考えていくとよい。
プレイ・バイ・プレイでじっくり観察することで、悲観的になりすぎずに、それぞれのポイントで解決策を生み出すことができる。これは、細部に注意を払うことで、可能性の感覚が生まれることによって発生する現象である。
- これらのテクニックは、実践の効果が出るまでにはかなりの時間がかなるので注意されたい。変化は絶対に直線的には発生しないため、挫折するのは普通のことである。しかし、もし上記の方法に挫折しても、「私は正しい対策を知っているのだ」と思っていれば、それ自体がストレスのバッファとして働く。これもまた、ストレスに立ち向かうための基本的な考え方だと言える。