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今週の小ネタ:ハゲ対策にハーブは効くのか?コラーゲンやポリフェノールで肌は本当に若返るのか?断食に運動をプラスすると「心臓と代謝」にもっと効く?

 


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

ハゲ対策にハーブは効くのか?

ここ数年、「ハーブで髪が生える!」みたいな話をよく聞くんですが、実際のところ“植物エキスって頭髪に効くの?”という疑問には、あまり明確な答えが出てないんですよね。これが本当に効くなら、かなり素晴らしい話なんですが。

 

そんな中で、最近発表された系統的レビュー(R)では、16件のRCTをもとに「ハーブ vs. ハゲ」の現状をざっくりまとめてくれてて有用だったんで、その内容を見ていきましょう。

 

まず一番大事な結論を先に言っちゃうと、

 

  • 植物エキスによる薄毛改善に、強い科学的根拠は見つからなかった!

 

みたいになります。「やっぱそうか…」と思った方も多いでしょうが、ただし完全に希望がなくなったわけではなく、いくつかの成分については「ちょっとだけ効果あるかも?」という希望が見え隠れしてますんで、そこらへんを紹介しときます。ちょっとだけ希望が見えた成分は3つありまして、

 

  1. ローズマリーオイル:ある試験では、100人の男性に対して2%ミノキシジルと比較したところ、ローズマリーオイルも同程度の発毛効果を示した。ミノキシジル+ローズマリーオイルを組み合わせると、もしかしたら相乗効果があるかも?という感じ。


  2. チークリーフエキス:男性対象の研究では、プラセボよりは発毛効果が高かったけど、5%ミノキシジルには劣った。ちょっと効くかもしれないけど、「本命」にはなりづらい印象があるかな……。


  3. エーデルワイスエキス:女性メインの試験で、プラセボよりも髪の密度を改善した。こちらも「かすかに希望がある」くらいの位置づけ。

 

といった感じになります。いずれも個人的には「使ってみよう!」ってレベルじゃない気がしますが、一方で全部切り捨てるのは早いとも思ってたりします。それと言いますのも、

 

  • ハーブは副作用が少ない:医薬品と違って刺激が少ない成分が多いので、肌が弱い人や、まずは様子見したい人にはアリ。

 

  • 相乗効果の可能性:今回のローズマリーの例のように、「ミノキ+ハーブ」の組み合わせで効果が高まる可能性もなくはない。

 

ぐらいのことは言えそうだからであります。植物エキスとハゲの研究はまだ初期段階なので、とりあえず今後の研究でブレイクスルーが起きるのを期待したいですねぇ。

 

というわけで、今回の系統的レビューのまとめとしては、

 

  • 単体のハーブ成分に“確かな効果”はまだ見つかっていない
  • ただし、ローズマリーオイルなど一部には“かすかな希望”がある
  • 他の対策(ミノキ、生活改善など)と組み合わせるなら悪くない

 

みたいになります。あくまでミノキシジルやフィナステリドのサポート役として試すのはありかもですねぇ。

 

 

 

コラーゲンやポリフェノールで肌は本当に若返るのか?

「コラーゲンとポリフェノールはお肌に良いのか?」ってのを調べたメタ分析(R)が出ておりました。

 

今回のメタ分析では、主に「サプリメントで肌の弾力は変わるか?」ってポイントを調べてまして、まずはおおまかな分析結果を見てみましょう。

 

  •  コラーゲンの効果:8本の研究を分析したところ、8〜12週間の使用で肌の弾力性がアップしていた。ただし、多くの研究では、ビタミンCやグルコサミンなど他の成分と一緒に使われている。

 

  • ポリフェノールの効果:2本の研究を分析したところ、緑茶抽出物やローズマリー、オリーブ葉、レモンバーベナ、エンジュ(ニセアカシア)などの植物抽出物を12週間使うことにより、肌の弾力性がアップしていた。

 

  • ココア由来フラバノールの効果:4本の研究を分析したところ、ココアのフラバノールを1〜24週間を使用することで、肌の紫外線耐性がアップしていた(=日焼けしにくくなる)。

 

  • 一方で、「効果なし」だった成分もあり、リコピン、カロテノイドの混合成分、ヒアルロン酸については、それぞれ2本の研究をもとに分析したものの、はっきりした効果は確認されなかった。

 

ってことで、どうもコラーゲンとポリフェノールは肌によさげなんですけど、今回のデータにはいくつかの「注意点」があるのでご注意ください。どういうことかと言いますと、

 

  • 研究数が少ない:ポリフェノールはわずか2本、フラバノールも4本と、まだまだ検証が足りないのが難点。
  • 成分が混ざってる:コラーゲン系サプリの多くは、ビタミンCやL-カルニチンといった他の成分とセットになっていて、「何が効いたのか」が特定しにくい。
  • 参加者の背景がバラバラ:年齢や肌の状態、生活習慣などがバラついており、結果に影響している可能性もある。

 

といったところが難しく、いまんとこ「効果があるかもしれないけど、断言するにはまだ早いよなー」というのが正直なところっすね。

 

それでも使ってみる価値はあるか?と言われると難しいんだけど、個人的には「期待値はそこそこ。プラセボ効果も込みでやるならアリ!」といったところでしょうか。食事改善やUV対策とあわせて補助的に使いたい方は、ちょっと試してみるのもよいかもですねー。

 

 

 

断食に運動をプラスすると「心臓と代謝」にもっと効く?

「最近ちょっと太ったかも…」とか「健康診断の数値が微妙に気になる…」なんて思ったときに手軽にできるのが「プチ断食」であります。特に「リーンゲインズ(16時間断食)」とか「5:2ダイエット(週2日は大幅カロリーカット)」あたりは、すでに実践してる方も多いかもしれませんね。

 

で、新たに発表されたメタ分析(R)もプチ断食の話で、

 

  • 「断食+運動」の組み合わせは、断食単体よりもずっと体に効く!

 

という結論を出してておもしろかったです。

 

まずは研究の基本データから見てみると、

 

  • 対象は肥満または過体重の成人616人
  • ランダム化比較試験(RCT)が12本
  • 実験の期間は4〜16週間で、プチ断食の種類は「隔日ファスティング(5本)」や「5:2ダイエット(4本)」など
  • 運動内容は、「HIIT(高強度インターバルトレーニング)」や「 有酸素運動+筋トレ」の組み合わせが主流

 

みたいな感じ。その上で、「断食単体」と「断食+運動」の効果を比較してみたところ、

 

  • 「断食+運動」のほうがほぼすべての項目で良い結果になった!
  • 具体的には、「断食+運動」のほうが……
    • 体脂肪の減少:−0.93kg
    • ウエストサイズの減少:−2.51cm
    • インスリン値の改善:−3.10 µIU/mL
    • HOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)の改善:−0.57
    • LDLコレステロールの低下:−10.67 mg/dL

 

ってことで、どうやら断食と運動の組み合わせが思いのほかよろしいらしい。特に注目したいのが、インスリン感受性(=糖の代謝効率)と脂質代謝の改善でしょう。このあたりは将来の糖尿病や心疾患のリスクに関わる部分なんで、こいつが改善できるならかなりありがたいんですよね。

 

まあ、空腹時血糖やその他の血中脂質(HDL、TGなど)については、両グループに差がなかったみたいなんで、過度な期待は禁物でしょう。あと「断食+運動」と言っても、やり方はいろいろありまして、研究の傾向を見ると、

 

  • 断食スタイルは5:2か隔日断食が王道
  • 運動は週2〜3回のHIIT or 筋トレ+有酸素の組み合わせが多い
  • 期間はまず4週間〜を目安にするとよさげ

 

って感じになりますね。とくにHIITは短時間で効果が出やすく、ファスティング中でもやりやすいんでおすすめであります。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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