「限界の先までやる筋トレ」は本当に効くのか? 部分レップの筋肥大効果を考えよう!
最近の筋トレ界隈で、ちょっと面白いトピックが盛り上がってまして、それが「限界超えトレーニング(beyond-failure training)」 ってやつです。筋トレをやっている方なら、「限界までやれ!」というアドバイスはおなじみなはずで、実際多くの研究でも「限界の近くまで筋肉を追い込むこと」が重要なことが何度も実証されております。
となると、当然多くのマッチョたちは「じゃあ、限界を超えたらどうなるの?」って疑問を持つわけですよ。「いやいや、限界を超えたら筋肉は動かないでしょ。まったくマッチョはわけわかんないこと言って……」と思うかもしれませんが、実は近年は、ガッツリ筋肉が疲れるまでトレーニングしたあとでも、ちょっとでもいいから動かせる範囲でさらに筋肉を使うと、さらに筋肉が増えるのでは?って考え方もありまして、これが意外とバカにできないんですよ。
「限界の先までやる筋トレ」は本当に効果があるのか?
ってことで、新しく出た研究(R)では、「限界後に部分動作を続けると、筋肥大は増えるのか?」って疑問を掘り下げてくれててナイスでした。「部分動作」ってのはフルレンジ(関節をフルに動かすタイプの筋トレ)では筋肉を動かせなくなったあとに、腕や脚を動かせる範囲だけでさらに動作を続けるやり方のことで、要するに限界までやったあとに部分動作を追加すると、筋肉がもっと増えやすくなるのかを調べたわけですね。
実験の内容をざっくり説明すると、これは18〜35歳の男性16人を対象にした研究で、筋トレ初心者だけを集めたんだそうな。そのうえで、みんなに以下のようなトレーニングを指示しております。
- トレーニング期間は10週間
- すべての参加者に、以下のように片脚ずつ違うトレーニングをやってもらう。
- A:普通の限界トレーニング
- フルレンジのカーフレイズ
- 10〜14回で限界
- 限界になったら終了
- B:限界の先トレーニング
- フルレンジで10〜14回 → 限界
- そこから部分動作でさらに限界までトレーニングする
ということで、「右脚は普通の限界までやる」と「左脚は限界+部分動作である」という感じで、いろいろと比べたわけです。おもしろい研究ですなぁ。
では、結果を見てみましょう。10週間後、ふくらはぎ(腓腹筋)の筋肉の厚さを測定したところ、こんな違いが見られたんだそうな。
- 筋肥大については、両方とも約8%増加していたので、「普通の限界トレーニング」と「限界+部分動作のトレーニング」は、どちらも同じように筋肉が増えたってことですな。
- というと、「じゃあ限界を超えてトレーニングしても意味ないじゃん!」と思っちゃうかもだけど、この研究では「総ボリューム(重量×回数×セット)」を同じにするために、「普通の限界:96セット」「限界の先:48セット」にしてたりします。つまり、「限界の先トレーニング」は「限界トレーニング」の半分のセット数しかやってなかったりします。それでも筋肥大は同じなので、1セットあたりの効率は「限界の先トレーニング」のほうが高いってことになりましょう。
ここで大事なのは2つめの「セット数効率」のところで、研究者の計算によりますと、
- 通常トレーニング:1セットで筋肉が0.08%成長
- 限界の先トレーニング:1セットで筋肉が0.16%成長
って感じになってまして、ざっくり言えば「限界の先トレーニング」のセット効率は約2倍ってことになりましょう。もちろん、この数字をそのまま信じるのは危険なんだけど、少なくとも「限界の先までやると「少ないセットでも同じ筋肥大が起きるのかも」とは言えるでしょうね。という可能性はありそうです。
じゃあ、なんで「限界の先トレーニング」が効く可能性があるのか?ってことですけども、おそらく以下のような理由があるんでしょうな。
- ボリュームが多いから:部分動作を追加すると、単純に回数が増えるってのが一番大きそう。筋肉は「どれだけ働いたか」に反応しやすいんで、動かせば動かすほど増えるわけっすね。
- 限界付近の刺激:筋肉ってのは限界に近いとこまで動かすと増えるので、部分動作を追加すると、「フルレンジの限界」と「部分動作の限界」って感じで2回「限界」を経験することになりますからね。こちらも大きなポイントなんでしょう。
- 伸ばされたポジション:最近かなり注目されているのが、長い筋長(筋肉が伸びた状態の負荷)も筋肉を増やすのには大事だよーって観点。たとえば、ふくらはぎでいうと、かかとを下げたポジションのことで、このあたりは筋肥大刺激が強い可能性が高いと言われております。部分動作はこのレンジでやることが多いので、この刺激を増やせる可能性があるんですな。
ってことで、「限界の先トレーニング」は、筋肥大に大事なポイントをかなりきっちり押さえたテクニックなわけです。その意味では、「限界の先トレーニング」は試してみる価値がありましょう。
なので、実践するならこの使い方がよさそう
ということで、これを見て「限界の先トレーニング」を試してみたくなったら、以下のガイドラインをもとに進めてみるといいんじゃないでしょうか。
- すべてのセットでやらない:たとえば、「カーフ4セット」「アームカール4セット」って感じで全てをやろうとすると、一気に80レップ増えるとかが普通に起きますんで、これはちょっとやりすぎでしょう。おすすめは最後の1〜2セットだけやるぐらいの感じっすね。
- マシン種目でやる:これは安全性の問題でして、たとえば「ベンチプレス」や「スクワット」で限界を超えるとケガの危険が高まっちゃうので注意したいところ。なので、基本的には「カーフレイズ」「レッグプレス」「チェストプレス」「レッグカール」みたいなマシン種目のみでやるのがお勧めであります。
- 部分動作は「下側」でやる:上でも書いたとおり、筋肥大の研究では、最近ストレッチ側の刺激が重要視されてますんで、「カーフ:下半分」「カール:伸びた側」などで部分動作をやるとよい可能性があります。
ってことで、最後にあらためて今回の研究をまとめておくと、
- 「限界の先トレーニング」の筋肥大量は普通のトレーニングと同じ
- ただし、「限界の先トレーニング」はセット効率が高い可能性がある
- 「限界の先トレーニング」は、ボリュームを増やす方法としては優秀だと思われる
みたいになります。つまり、「限界の先トレーニング」は「筋肥大のゲームチェンジャー」とかではないけど、それなりに合理的なテクニックだと言えるんじゃないでしょうか。個人的には、
- カーフ
- アームカール
- レッグカール
あたりで試すと、それなりに良い成果が得られるんじゃないかと思ってまして、私も自分のトレーニングでちょっと試してみようかなーと思っております。



