AIで創造性が上がる人、上がらない人の決定的な違いを調べたぞ!という研究の話
「AIでクリエイティブになれる人の条件とは?」みたいな問題を調べた研究(R)が出ておりました。世の中には、「生成AIで創造性が爆上がりだ!」みたいな論調もあるわけですが、これはどこまで事実なのか、と。
これは中国のコンサル会社で働く250人を対象にした実験で、ここで研究チームが注目したのは「なぜAIは一部の人の創造性だけを高めるのか?」という問題であります。というのも、いま多くの企業はAIの導入に前のめりになっているものの、これまでに行われた調査によると「AIのおかげで自分の創造性が上がった!」と感じている社員は、そこまで多くないらしいんですよ。まぁChatGPTを開いたところで、いきなり天才的なアイデアが降ってくるわけじゃないから、これは当然でしょう。
実際のところ、AIに「新しい企画を考えて」と投げたところで、たいていは「どこかで見たことあるやつ」だったり「悪くはないけど刺さらないやつ」だったりすることが多いので、その素材をどう料理するかは人間側にかかってますからね。AIを使ったからとて、すぐに創造性に結びつくはずもないわけです。
ということで、研究チームは、社員たちをランダムに2グループに分けております。
- AI使用グループ:ChatGPTアカウントを与えられ、日常業務で使えるようにする
- 対照グループ:研究の期間中はAIを使わない
その後、参加者の上司にインタビューを行ったり、外部の評価者に参加者のアイデアを評価してもらったりして、みんなの創造性をチェックしたとのこと。実験の期間は1週間であります。
で、その結果がどうだったかと言いますと、
- ChatGPTを使った社員は、上司から「クリエイティブだ!」と評価されやすくなり、外部の評価者から見てもアイデアの新規性が高く評価された。
だったそうな。なので、ここだけ見ると、「やっぱりAI最高じゃん!」となるわけですが、重要なのはその先でして、研究チームがさらに詳しく分析したところ、
- AIによる創造性アップの効果が大きかったのは、メタ認知戦略が高い人だけだった
って感じだったんですよ。AIのメリットを得たいならメタ認知が必要だって結論であります。
簡単におさらいしておくと、メタ認知ってのは「自分の考え方を観察する力」のことでして、たとえば、
- いま自分は何がわかっていないのか?
- この進め方で本当に合っているのか?
- どこで詰まっているのか?
- AIに聞くべきなのは、情報収集なのか、別視点なのか、反論なのか?
- いまは考え続けるべきか、一度タスクを切り替えるべきか?
みたいに、自分の思考プロセスを上から眺めて調整できる能力のことです。この能力が高い人は、AIを「なんとなくの相談相手」にするのではなく、自分の思考の穴を埋める道具として使うことができ、結果として創造性も高まるわけっすね。
この研究で大事なのは、AIが人間の創造性を直接生み出しているわけではないってとこでしょう。そもそも創造性ってのは、いろんな知識を探し出し、それらを新しい形で組み合わせるプロセスのことでして、たとえば「新しい健康サービスを考えたい!」って場面なら、
- 栄養学
- 行動科学
- アプリ設計
- 高齢化社会
- ユーザー心理
- 価格設計
みたいにいろんな知識を集めて、「これとこれを組み合わせたら面白いんじゃない?」と考える必要があるじゃないですか。しかし、人間の脳には限界がありまして、情報を探すだけで疲れちゃうし、資料を読むだけで集中力が削られるし、複数の視点を維持しながら考えるのはなかなかしんどいものなんですよね。
そこで役に立つのがAIで、AIってのは情報を探したり、要約したり、別の視点を出したり、たたき台を作ったりするのに向いてるんで、そのおかげで人間の脳に余白を作ってくれる働きが大きいんですよ。が、その余白を「創造的な組み合わせ」に使えるかどうかは、やはり人間側のメタ認知にかかってまして、たんに「丸投げ」してるだけでは、たんにつまらないアイデアを量産して終わっちゃう可能性が大きいわけです。
なので、この研究をもとにAIとの正しい付き合い方を考えるのであれば、「AIを自分の思考を調整するコーチとして使おう!」みたいになるんでしょう。たとえば、いくつか例を挙げてみると、
- まず自分の目的を明確にする:いきなりAIに聞く前に、「自分は何を作りたいのか?」「誰に向けたアイデアなのか?」「何が新しければ成功なのか?」「どの制約は絶対に守るべきか?」を軽く整理する。この段階で、AIはまだ使わなくてもOK。
- AIには「足りない部分」だけを頼む:メタ認知が高い人はAIに全部を頼まない傾向があり、「この企画の弱点を10個出して」「異業種の事例から似た構造を探して」「このアイデアに反対する立場から批判して」「初心者が誤解しそうな点を挙げて」「もっと意外性のある切り口を5つ出して」のように、自分の思考の穴を埋めるために使うことが多い。こんな感じで、思考の盲点を探すためにAIを使うのが吉。
- 出てきた答えをそのまま信じない:AIの出力は基本的に「素材」なので、「この案は本当に新しいのか?」「読者にとって役に立つのか?」「どこがありがちなのか?」「自分の経験や知識とどう接続できるのか?」をチェックする作業はマスト。このチェック作業こそが人間側の創造性だと言える。
みたいになりますね。AIというと「プロンプトエンジニアリングが大事だ!」みたいな話になりがちなんだけど、今回の研究を見る限り、本当に重要なポイントはもう少し手前にあるんでしょうな。要するに、AI時代に必要なのは「プロンプト力」より「自分を観察する力」だよなー、って話です。
ってことで、今回の研究をざっくりまとめると、
- AIは創造性を高める。
- ただし、思考を管理できる人に限る。
という感じになりましょう。そう考えると、AIはすべての人を平等にクリエイティブにしてくれるわけではなく、むしろ「自分の頭の使い方がうまい人」により大きなメリットがあるってことなのかもですなぁ。


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