今週の小ネタ:「脈ありかも?」は、性欲が見せる幻である。嫉妬は「浮気」よりも「リソースの流出」に反応する。「恋愛に期待しすぎる人」ほど、独身生活に満足しにくい

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
「脈ありかも?」は、性欲が見せる幻である
「この反応は脈ありなのかも……」みたいに思ってしまうケースはよくあるでしょう。「目が合ったときにニコッと笑ってくれた」とか「LINEの返信がやけに丁寧でテンションも高い」みたいな状況で、「これはもう自分に気があるでしょ!」と考えちゃうようなケースですな。
で、この問題について近ごろ面白いデータ(R)が出てまして、まずはこの研究の結論から言っちゃうと、
- 性的に興奮していると、人は相手の拒絶サインを見落としやすくなるから気をつけよう!
みたいになります。この実験で、研究チームは、独身の参加者に「性的な動画」または「性的じゃない動画」を見せたあと、魅力的な異性とオンラインでやり取りさせ、相手が自分に興味を持っていると思うかを調べたんだそうな。この実験における「魅力的な異性」ってのは、実は研究チームの協力者で、参加者とコミュニケーションする際に「あたたかい反応」と「微妙な拒絶サイン」を混ぜ込むように指示してたんだそうな。要するに、「性的に興奮した人は、相手の脈ありサインを誤解しやすくなるのでは?」ってところを調べたわけです。
すると、結果は研究チームの読みどおりで、「性的に興奮していた参加者ほど、曖昧なやり取りを楽観的に解釈しやすかった!」って感じだったそうな。たとえば、相手から「あなたは魅力的だけど、今は恋愛を考えていない」と言われたとしても、こちらの気持ちが高ぶっていると、「魅力的って言ってくれた!」「今は、ってことは将来はあるのでは?」みたいに、都合のいい部分だけを拾ってしまうわけっすね。
この現象について、研究チームは「興奮によって相手がより魅力的に見え、そのぶん相手も自分に興味があるはずだと思いやすくなる」みたいに言ってまして、どうやら私たちは自分の欲望の高まりによって、脳の冷静さを手放してしまうみたいっすね。これはわかりますなぁ。
ってことで、この結果から教訓を得るならば、以下のようになるでしょう。
- とりあえず、自分が性的に興奮してるときは、目が曇ってる可能性が高いので、相手の脈あり・脈なしを判断しない。もしジャッジしたい時も、相手の言葉よりは行動をベースにするのが吉で、たとえば「『会いたいね』と言うけど予定を決めない」とか「『楽しかった』と言うけど次の誘いに乗らない」みたいな時は、言葉よりも行動を重視したほうがよさげ。
- 相手を拒絶したいときは、下手に優しい言葉や曖昧な言葉を使わないのが吉。「あなたは素敵だけど……」「タイミングが悪いだけで……」「また機会があれば……」みたいな表現は、相手が興奮している場合には逆効果になっちゃうことがあるので注意したい。もちろん、相手を傷つける必要はないものの、「恋愛対象としては考えていない」「デートするつもりはない」といった核の部分は、ちゃんと明確にするほうが吉。
こうして見ると、恋愛で大事なのは「脈ありサインを探す力」ではなく、「脈なしサインを受け止める力」なのかもなーって気もするわけで、くれぐれも欲望によって判断力を落とさないようにしたいところっすねー。
嫉妬は「浮気」よりも「リソースの流出」に反応する
「多くの人はどんな時に強い嫉妬を感じるのか?」を調べた研究(R)が出ておりました。恋愛の嫉妬というと「恋人が他と性的な関係を持つかどうか」に反応する感情だと思われがちですが、実際には「恋人の時間・お金・注意・労力が他人に流れているかどうか」にもかなり敏感に反応するようなんですな。
この研究は異性愛カップル79組、合計158人を対象にしたもので、だいたい以下のような実験をしてます。
- 参加者にコンピューターを使った「独裁者ゲーム」をやってもらう。これは、ある人が一定額のお金を受け取り、それを相手にどう分けるかを決めるゲームで、参加者は「自分の恋人」と「異性の見知らぬ人物」がオンラインでやり取りしていると思い込むように誘導された。この見知らぬ異性が、恋のライバル候補になっている。
- 実験では主に2つの場面が用意されていて、ひとつは、恋人がライバル候補にお金の75%を渡し、自分には25%しか残さないというもの。つまり、「恋人が自分よりも異性の他人に多くのリソースを与えている」状況と言える。
もうひとつは、恋人がライバル候補から多くのお金を受け取る場面。これは、「異性のライバルが自分の恋人にリソースを注いでいる」状況をモデル化したものになる。
で、実験の結果はかなりハッキリしてまして、
- もっとも強い嫉妬を引き起こしたのは、男女ともに、恋人がライバル候補にリソースを与える場面だった。
って感じだったんだそうな。つまり、男性でも女性でも、恋人が自分ではなく異性の他人にお金を多く配ると、「これはヤバい!」と嫉妬を感じやすかったわけですね。まぁ、恋人が自分から異性の相手にお金や時間や労力を渡していたら、そりゃヤバいと思っちゃうでしょうなぁ。
そう考えると、ここから得られる知見は簡単で、
- 恋愛で嫉妬が起きるとき、私たちはつい「相手が浮気しそうだから不安なんだ」と考えがち。しかし、実際には、相手の時間・注意・お金・感情が、自分以外に流れているように見える場面で起きやすいと考えたほうがよい。
- たとえば、恋人が異性に長時間の相談に乗る、自分より他人の予定を優先する、特定の相手にだけプレゼントをする、SNSで特定の異性にばかり反応する、みたいな行動は、本人に浮気のつもりがなくても、パートナーには「投資の移動」に見える可能性があるので注意されたい。
もちろん、これは「だから異性に親切にするな」という話ではなくて、大事なのはリソースの流れがパートナーからどう見えるかを理解しておくことであります。嫉妬を減らすためには、言葉で潔白を説明するよりも、自分の主要なリソースがどこに向いているかを行動で示したほうが有効かもしれないんで。それは、たとえば「忙しくても予定を先に確保する」「他人に親切にしたなら、あとで説明する」「異性との距離感について、先にルールを共有しておく」みたいな小さな調整が大事だってことになりましょう。
「恋愛に期待しすぎる人」ほど、独身生活に満足しにくい
「恋愛に振り回されるより、独身のほうが気楽でいい!」みたいな話は、現代ではよく聞くところであります。実際のところ、昔に比べると、結婚や恋愛は「人生の必須イベント」ではなくなってまして、独身を積極的に選ぶ人も増えてますからね。
が、当然ながら、同じように独身でも幸福に暮らせる人とそうでない人がいるわけでして、新しい研究(R)ではその理由をくわしく調べてくれておりました。この研究は、ドイツの大規模縦断データを使い、5113人の独身者を対象に、「恋愛への期待」と「独身生活の満足度」、さらにその後の恋愛結果を追跡した内容になっております。簡単に言えば、「恋愛にどんなイメージを持っている人が、独身生活を楽しめるのか?」を調べたわけですね。
そこでどんな結論が出たのかと言いますと、
- 恋愛に対して、「愛情を得られる」「安心感がある」「一緒に活動できる」みたいなイメージを強く持っている人ほど、独身生活への満足度は低めだった。
恋愛に対して、「恋愛すると退屈になる」「ストレスが増える」「自由が制限される」みたいなイメージを持っていても、独身生活の満足度が長期的に大きく上がるわけではなかった。
- 恋愛に対して、「親密な関係を築きたい!」という期待が高い人は、その後に恋愛関係に入りやすく、関係満足度も高めだった。
- 一方で、恋愛にネガティブな期待を持つ人は、その後も恋愛関係に入りにくく、仮に関係に入っても満足度が低めだった。
って感じだったそうな。恋愛にポジティブなイメージを持っていると独身の満足度は下がるが、恋愛にネガティブなイメージを持っていても目立った影響はないものの、その後の恋愛にはダメージがあるってことですね。まぁなんとなくわかる話ですな。
じゃあ、この知見を現実に活かすにはどうすりゃいいのかってことですが、とりあえず「自分は恋愛に何を期待しているのか?」を考えてみるといいんじゃないでしょうか。たとえば、恋人がほしいと思っている人でも、
愛情がほしい
安心感がほしい
生活を共有したい
社会的に認められたい
みたいに、期待しているものは人によって違いますからね。ここが見えていないと、「恋人ができれば全部解決するはず!」みたいな雑な期待になりやすいんで。
同じように、独身のままでいたい人も、「恋愛が嫌だから独身でいる」のか、「独身生活に積極的な価値があるから独身でいる」のかを考えたほうがいいでしょうな。前者だけだと、恋愛への否定で自分の生活を支えることになるんで長期的な満足にはつながりにくいだろうし、一方で後者なら、「自分の時間を創作に使いたい」「仕事や学習に集中したい」みたいに、独身生活そのものにポジティブな軸ができますんで。いずれにせよ、自分の中にある恋愛イメージを棚卸ししてみるのがよいってことですなー。

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