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まじめすぎる人は『人生の楽しさ』を逃しているのか?問題

 

 

「まじめなのは良いことだ!」ってのは、昔からよく言われる話。時間を守る、約束を守る、やるべきことをコツコツ進めるみたいな人は周囲から信頼されるし、ビジネスでも人間関係でも成功しやすいってのは、多くの研究でも実証されているところです。

 

これは心理学でいうところの「誠実性」って特性にあたりまして、こいつが高い人は、ざっくり言えば、

 

  • 計画的
  • 責任感が強い
  • 整理整頓が得意
  • 衝動に流されにくい
  • 目標に向かって努力できる

 

みたいな特徴を持っております。なので、誠実性が高い人ほど、学校の成績がよかったり、仕事で成果が出てたりするのは、わかりやすいところでしょう。

 

そんなわけで、誠実性は高いに越したことはない……と思われるわけですが、ここで気になるのが、

 

  • 誠実すぎる人って、人生の楽しさを失ってない?

 

という疑問であります。たとえば、何でも予定どおりに進めたい人は急な誘いに乗りにくいだろうし、ルールを守ることに意識が向きすぎると冗談や偶然の面白さを味わいにくいんじゃないか?みたいな問題ですな。マジメであることは人生の安定に役立つ一方で、人生の「遊び」を削ってしまうんじゃないか、と。

 

で、この問題に関して、最近おもしろい研究が2つ出てたんで内容をチェックしておきましょう。ひとつは「誠実性と感情」の研究(R)、もうひとつは「誠実性とフロー」の研究であります(R)。

 

 

 

誠実性が高い人は、日常の喜びを感じにくい?

1つ目は、アイルランド国立大学などの研究で、研究チームは203人の成人を集め、怒り、嫌悪、恐怖、喜び、悲しみ、驚きといった感情が、それぞれの性格とどう関係するかをチェックしたんですよ。その結果、なかなか興味深いパターンが確認されまして、

 

  • 誠実性が高い人、とくに「秩序性」が高い人ほど、楽しい映像を見ても喜びを感じにくい傾向があった。

 

って感じだったそうです。この実験では、ある映画のコメディシーンを被験者に見てもらったんですが、秩序性が高い人ほど、このシーンをあまり面白がらなかったというんですな。つまり、誠実な人ってのは、「人生をちゃんと管理する能力」は高いんだけど、そのぶん、ちょっとしたバカバカしさや偶然の笑いを受け取りにくくなっている可能性があるわけです。これはちょい困っちゃう感じですな。

 

一方で、もちろん誠実性が高い人にはメリットもありまして、

 

  • 秩序性が高い人ほど、日常的な悲しみを感じにくい。

 

って傾向も見られたそうな。なんでも、誠実性が高い人は秩序だった生活を送るので、そのおかげでネガティブな出来事の総量が減ってるかもしれないらしい。たとえば、

 

  • 締切を守るからトラブルが少ない

  • 物をなくさないから、余計なストレスが減る

  • 生活リズムが安定しているから体調を崩しにくい

  • 人間関係でも無責任な行動をしにくい

 

みたいな感じで、人生の中に「悲しみの原因」が発生しにくくなるわけっすね。誠実性は人生の事故率を下げてくれる性格ってことですな。

 

 

 

誠実な人は、フローに入りやすい?

で、2つ目はルーベン・カトリック大学などの研究で、性格特性と「フロー」の関係を調べたメタ分析になっております。ご存じのとおり、フローってのは何かに完全に没頭して、時間の感覚が消えるような状態のことで、楽器を弾いていたら周囲の音が消えた!みたいな感覚のことですな。

 

それでは、フローに入りやすい人にはどんな特徴があるのか?ってことで、研究チームは24本の研究をまとめて、性格とフロー傾向の関係を分析したんですよ。その結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 誠実性が高い人は、フローに入りやすい傾向があった!

 

って感じだったそうです。これはぱっと見意外な結果でして、さっきの研究では「誠実な人は喜びやユーモアを感じにくいかも?」って話だったんで、フローのような楽しさも苦手なんじゃないかと思っちゃいますからね。ところが実際には、誠実性の高さはフローと相性がいいわけです。

 

まぁ、よく考えてみればこれも納得できる話で、フローってのは、

 

  • 集中を維持する力
  • 目標に向かう力
  • 難しい課題に粘る力
  • 自分の行動をコントロールする力

 

が必要ですからね。誠実な人はここらへんが得意なので、「深い没頭」に入りやすい特性を持ってるんでしょう。

 

なので、これら2つの結果をまとめてみると、誠実性が高い人ってのは、

 

  • その場のノリやバカバカしい楽しさには少し弱い
  • しかし、その一方で、長期的な達成感やフロー体験には強い

 

って可能性があるわけですね。要するに、誠実性が高い人ってのは、日々の作業やトレーニングの中に楽しさを見出すのが上手いよってことなんで、これはこれでナイスな人生でしょうな。

 

ちなみに、これらのデータをもとに、誠実性が高い人が気をつけたいポイントをまとめると、

 

  • 予定がズレる、部屋が散らかる、タスクが終わらない、他人がルールを守らない、急な変更が入るみたいに、秩序が崩れる状況で、誠実性が高い人は必要以上にストレスを感じやすい

 

って感じになるでしょうね。誠実な人にとって秩序はメンタルを守る大事な要素なので、それが崩れると自分の安心感まで崩れちゃうんですよ。なので誠実性が高すぎる人たちは、

 

  1. 定期的に「予定外の行動」をする:目的なしに散歩するとか、予定を決めずにカフェに入るとか、その日の気分で映画を選ぶとか。

  2. フローに入れる作業を大事にする:誠実性が高い人はフローに入りやすい可能性があるので、これは積極的に使ったほうがいいでしょうな。とくに、文章を書く、楽器を弾く、勉強するみたいな、技術と集中が必要な活動は相性がいいはずなんで。

  3. カオスを少量だけ許す:誠実性が高い人は「ちゃんとしてない自分」が苦手なんで、「少し部屋が散らかっていてもいい!」「タスクが1個残ってもいい!」「返信が少し遅れてもいい!」「完璧な食事じゃなくてもいい!」みたいな、ちょっとした小さなズレを許容するように心がけたほうが吉でしょう。

 

というわけで、繰り返しになりますが、誠実性そのものはめっちゃ大事な能力であります。が、そこにこだわりすぎると人生が少し窮屈になっちゃうんで、まじめな人ほど、少しだけバカバカしいことをするメンタリティを念頭に置いとくといいでしょうね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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